東京都美術館や東京都江戸東京博物館にはシルバーデーがあるのを知らない人がけっこういます。第3水曜日に、65歳以上の人は無料になる日です。これを利用して私は江戸東京博物のダ・ヴィンチ展に行ったことがあります。今回はブリューゲル「バベルの塔」展〔東京都美術館〕でした。HPには次のようにあります。
※4月19日(水)、5月17日(水)、6月21日(水)はシルバーデーにより65歳以上の方は無料。当日は大変な混雑が予想されます。
5月17日(水)、「大変な混雑」を覚悟して、開館(9:30)の45分前に美術館前に並びました。かなりの人出を予想したのですが、ざっと数えて並んでいる人は100人といったところでした。もちろんシルバー世代が圧倒的に多いのですが、修学旅行生と思われる中学生も数人混ざっていました。
新書本を読んで待っていると9:20に開場されました。その時、私の後ろにはシルバー世代がさらに200人といったところでしょうか。
さて今回の展覧会、予想をはるかに超えて見所が多かったために、一時間半もじっくり鑑賞してしまいました。2箇所ぐらいで作品や作家紹介、所蔵美術館紹介などのビデオが流されていてじっくり鑑賞したこともその理由のひとつです。
東京都美術館のHPを次に紹介しましょう。私の大好きなネーデルラント美術のオンパレードでした。
■ボイマンス美術館所蔵 ブリューゲル「バベルの塔」展〔東京都美術館〕
16世紀ネーデルラントの至宝-ボスを超えて-
2017年4月18日(火)~7月2日(日)
○副題に「16世紀ネーデルラントの至宝―ボスを超えて」とある通り、ブリューゲルのみならず、彼が手本とした先駆者ヒエロニムス・ボスの油彩2点、そして彼らが生きた時代、16世紀ネーデルラントの絵画、版画、彫刻を全体で約90点の出品作でご紹介します。
迫真の写実と輝くような美しい色彩が印象的な油彩絵画、ボスの怪物モチーフが所狭しと、描かれる版画作品、そして木彫の粋を尽くした彫刻作品など、16世紀ネーデルラント美術の精華をご覧いただきます。
また、今回の展覧会では新しい試みとして作品を美しく見やすく展示することに加え、東京藝術大学COI拠点の特別協力により芸術と科学技術を融合させ、原寸を約300%拡大したブリューゲル「バベルの塔」の複製画を制作・展示します。また、同拠点は「バベルの塔」の3DCG動画も制作し、多様なメディアを駆使してこの傑作の魅力に迫ります。
○みどころ
まず、ブリューゲル1世作、《バベルの塔》の驚異の写実を実見できます。一説には画面上に描かれた人々の数は1,400人と言われています。細密なだけでなく、圧倒的なボリュームと迫真性を備えた世紀の傑作をご覧ください。
次に、「奇想の画家、ボス」の油彩画2点が初来日します。2016年はボス没後500年に当たり、欧米ではボス・ブームが起きています。世界中で約25点しかないとされるボスの真作2点が日本で初めて鑑賞できる、めったにない機会です。
そして、ボスの影響を受けた16世紀の銅版画、とくにブリューゲル下絵の銅版画を多数見られます。その中で、私たちの想像力を刺激するたくさんの怪物(モンスター)が登場します。頭足人間(グリロス)など、奇怪な生き物の数々をぜひ実際に確認してください。
最後に、16世紀ネーデルラントの絵画、彫刻の歴史を一覧できます。15世紀後半から16世紀にかけて、ネーデルラントの美術の中心は南から北に移り、それまでの宗教絵画から風景画、風俗画に変わっていきました。この変遷を優れた作品でたどれるまたとないチャンスです。
○主な作品
ピーテル・ブリューゲル1世 《バベルの塔》1568年頃 油彩、板
ヒエロニムス・ボス 《放浪者(行商人)》1500年頃 油彩、板
ヒエロニムス・ボス 《聖クリストフォロス》1500年頃 油彩、板
ディーリク・バウツ 《キリストの頭部》1470年頃 油彩、板
今回の見所は何と言ってもピーテル・ブリューゲル1世の《バベルの塔》です。
そもそも私はオランダのボイマンス美術館所(ロッテルダム)に行ったことがないのです。だからこの《バベルの塔》は初めて見るのです。ピーテル・ブリューゲル1世はもう一枚の《バベルの塔》を描いています。ウィーンの美術史美術館にそれはあります。ここは3回ばかり訪ねてはいるのです。しかし今回の《バベルの塔》は美術史美術館蔵のそれより後に描かれたもので、しかもブリューゲルの最高傑作と言われているものです。確かに、色合い・構図・描写…いずれを比べても文句ない「最高傑作」でした。
ブリューゲルは40作品ほど残されていると言われています。たぶん私は30数作品は見たことになるでしょう。
もう一つの見所は、ヒエロニムス・ボスの作品が2点来ていることです。ボス(ボッシュ)はブリューゲルよりもさらに現存作品が少なくて、その数は20数点だそうです。 私の師匠のひとり、故・村田栄一さん主宰の「飛ぶ教室」というスペイン旅行に行ったとき、マドリッドのプラド美術館で初めてボスの絵を見ました。それから奇想の絵師・ボスの虜になったのでした。未見はあと数点に迫っているはずです。ボスやブリューゲル作品をラインアップするのを楽しみにしているところです。
他の作品ではもちろんボスやブリューゲルの絵を基にした銅版画はなかなか見応えがありました。村田栄一さんはボスの絵がお気に入りでした。
ディーリク・バウツの絵を日本で見るのは初めてかも知れません。ベルギー、オランダ、オーストリア、ドイツなどでは頻繁にお目にかかれるのですが。相変わらずの細密描写には心引かれるものがあります。
《四大ラテン教父:聖アウグスティヌス、聖アンブロシウス、聖ヒエロニムス、聖グレゴリウス》の彫刻も質が高いものでした。小ぶりの作品なのですが、人間味あふれる彫刻でした。
全体を通して、十分満足できる展覧会でした。私にとっては、共謀罪反対、アベ友問題批判、憲法改悪阻止などに疲れたからだを癒やすのにはもってこいの展覧会になりました。
*ディーリク・バウツ(ハールレム 1410/1420年?ルーヴァン 1475年)
《キリストの頭部》1470年頃油彩、板36×27 cm
*アルント・ファン・ズヴォレ?(1460年頃?1492年にズヴォレとカルカールで活動)
《四大ラテン教父:聖アウグスティヌス、聖アンブロシウス、聖ヒエロニムス、聖グレゴリウス》1480年頃オーク材各約74×21 ×16 cm
※4月19日(水)、5月17日(水)、6月21日(水)はシルバーデーにより65歳以上の方は無料。当日は大変な混雑が予想されます。
5月17日(水)、「大変な混雑」を覚悟して、開館(9:30)の45分前に美術館前に並びました。かなりの人出を予想したのですが、ざっと数えて並んでいる人は100人といったところでした。もちろんシルバー世代が圧倒的に多いのですが、修学旅行生と思われる中学生も数人混ざっていました。
新書本を読んで待っていると9:20に開場されました。その時、私の後ろにはシルバー世代がさらに200人といったところでしょうか。
さて今回の展覧会、予想をはるかに超えて見所が多かったために、一時間半もじっくり鑑賞してしまいました。2箇所ぐらいで作品や作家紹介、所蔵美術館紹介などのビデオが流されていてじっくり鑑賞したこともその理由のひとつです。
東京都美術館のHPを次に紹介しましょう。私の大好きなネーデルラント美術のオンパレードでした。
■ボイマンス美術館所蔵 ブリューゲル「バベルの塔」展〔東京都美術館〕
16世紀ネーデルラントの至宝-ボスを超えて-
2017年4月18日(火)~7月2日(日)
○副題に「16世紀ネーデルラントの至宝―ボスを超えて」とある通り、ブリューゲルのみならず、彼が手本とした先駆者ヒエロニムス・ボスの油彩2点、そして彼らが生きた時代、16世紀ネーデルラントの絵画、版画、彫刻を全体で約90点の出品作でご紹介します。
迫真の写実と輝くような美しい色彩が印象的な油彩絵画、ボスの怪物モチーフが所狭しと、描かれる版画作品、そして木彫の粋を尽くした彫刻作品など、16世紀ネーデルラント美術の精華をご覧いただきます。
また、今回の展覧会では新しい試みとして作品を美しく見やすく展示することに加え、東京藝術大学COI拠点の特別協力により芸術と科学技術を融合させ、原寸を約300%拡大したブリューゲル「バベルの塔」の複製画を制作・展示します。また、同拠点は「バベルの塔」の3DCG動画も制作し、多様なメディアを駆使してこの傑作の魅力に迫ります。
○みどころ
まず、ブリューゲル1世作、《バベルの塔》の驚異の写実を実見できます。一説には画面上に描かれた人々の数は1,400人と言われています。細密なだけでなく、圧倒的なボリュームと迫真性を備えた世紀の傑作をご覧ください。
次に、「奇想の画家、ボス」の油彩画2点が初来日します。2016年はボス没後500年に当たり、欧米ではボス・ブームが起きています。世界中で約25点しかないとされるボスの真作2点が日本で初めて鑑賞できる、めったにない機会です。
そして、ボスの影響を受けた16世紀の銅版画、とくにブリューゲル下絵の銅版画を多数見られます。その中で、私たちの想像力を刺激するたくさんの怪物(モンスター)が登場します。頭足人間(グリロス)など、奇怪な生き物の数々をぜひ実際に確認してください。
最後に、16世紀ネーデルラントの絵画、彫刻の歴史を一覧できます。15世紀後半から16世紀にかけて、ネーデルラントの美術の中心は南から北に移り、それまでの宗教絵画から風景画、風俗画に変わっていきました。この変遷を優れた作品でたどれるまたとないチャンスです。
○主な作品
ピーテル・ブリューゲル1世 《バベルの塔》1568年頃 油彩、板
ヒエロニムス・ボス 《放浪者(行商人)》1500年頃 油彩、板
ヒエロニムス・ボス 《聖クリストフォロス》1500年頃 油彩、板
ディーリク・バウツ 《キリストの頭部》1470年頃 油彩、板
今回の見所は何と言ってもピーテル・ブリューゲル1世の《バベルの塔》です。
そもそも私はオランダのボイマンス美術館所(ロッテルダム)に行ったことがないのです。だからこの《バベルの塔》は初めて見るのです。ピーテル・ブリューゲル1世はもう一枚の《バベルの塔》を描いています。ウィーンの美術史美術館にそれはあります。ここは3回ばかり訪ねてはいるのです。しかし今回の《バベルの塔》は美術史美術館蔵のそれより後に描かれたもので、しかもブリューゲルの最高傑作と言われているものです。確かに、色合い・構図・描写…いずれを比べても文句ない「最高傑作」でした。
ブリューゲルは40作品ほど残されていると言われています。たぶん私は30数作品は見たことになるでしょう。
もう一つの見所は、ヒエロニムス・ボスの作品が2点来ていることです。ボス(ボッシュ)はブリューゲルよりもさらに現存作品が少なくて、その数は20数点だそうです。 私の師匠のひとり、故・村田栄一さん主宰の「飛ぶ教室」というスペイン旅行に行ったとき、マドリッドのプラド美術館で初めてボスの絵を見ました。それから奇想の絵師・ボスの虜になったのでした。未見はあと数点に迫っているはずです。ボスやブリューゲル作品をラインアップするのを楽しみにしているところです。
他の作品ではもちろんボスやブリューゲルの絵を基にした銅版画はなかなか見応えがありました。村田栄一さんはボスの絵がお気に入りでした。
ディーリク・バウツの絵を日本で見るのは初めてかも知れません。ベルギー、オランダ、オーストリア、ドイツなどでは頻繁にお目にかかれるのですが。相変わらずの細密描写には心引かれるものがあります。
《四大ラテン教父:聖アウグスティヌス、聖アンブロシウス、聖ヒエロニムス、聖グレゴリウス》の彫刻も質が高いものでした。小ぶりの作品なのですが、人間味あふれる彫刻でした。
全体を通して、十分満足できる展覧会でした。私にとっては、共謀罪反対、アベ友問題批判、憲法改悪阻止などに疲れたからだを癒やすのにはもってこいの展覧会になりました。
*ディーリク・バウツ(ハールレム 1410/1420年?ルーヴァン 1475年)
《キリストの頭部》1470年頃油彩、板36×27 cm
*アルント・ファン・ズヴォレ?(1460年頃?1492年にズヴォレとカルカールで活動)
《四大ラテン教父:聖アウグスティヌス、聖アンブロシウス、聖ヒエロニムス、聖グレゴリウス》1480年頃オーク材各約74×21 ×16 cm