後期ゴシック彫刻・市民運動・演劇教育

小学校大学教師体験から演劇教育の実践と理論、憲法九条を活かす市民運動の現在、後期ゴシック彫刻の魅力について語る。

〔736〕「評価できる首相なんていません。逆に評価できない首相が3人までなんて少なすぎる!」(朝日新聞掲載)という意見に共感しきり。

2024年10月20日 | テレビ・ラジオ・新聞

 土曜日の朝日新聞に「be」という別紙が付いてきます。昨2024年10月19日(土)のランキング欄は「歴代首相、評価するのは?」でした。自分が同じ質問を受けたら誰も思い当たらないので途方に暮れたことでしょう。下掲のような声が紹介されていて、いたく共感した次第です。
「『まだまし』と仕方なく選んだだけで、評価できる首相なんていません。逆に評価できない首相が3人までなんて少なすぎる!」(静岡、52歳女性)

  それでもこんな人が選ばれていました。
1位、田中角栄 601票   
2位、小泉純一郎 547票
3位、伊藤博文 440票
4位、吉田茂 408票
5位、村山富市 273票

   ちなみに「評価が低い歴代首相」のランキングは以下の通りです。
1位、安倍晋三 1114票
2位、森喜朗 714票
3位、東条英機 597票


〔734〕第3回福田緑写真展「祈りの彫刻 リーメンシュナイダーと同時代の作家たち」がアサココに紹介されました。

2024年10月18日 | テレビ・ラジオ・新聞

   アサココは第1・第3木曜日に多摩地区(町田市と稲城市は除く)に配布される朝日新聞と一緒に届けられる多摩地区のタウン紙です。8頁の決して大きくはない新聞ですが、私たちに多くの有益な情報をもたらしてくれます。全体的にはリベラルな傾向に心落ち着きます。
  前回の第2回写真展(国分寺、司画廊)の時にも一面に大きく取りあげてくれました。アサココを読んだという読者数人が、開館前にいらしていたということを鮮明に覚えています。
  今回も編集長の長田米子さんが我が家に来てくださって、緑にインタビューをしてくれました。読みやすい記事に纏めてくれました。感謝です。

■アサココのサイトです。クリックすると記事が実に鮮明に見ることができます。

http://asacoco.jp/wp-content/uploads/2024/10/2024_1017_286_01.pdf


〔724〕どうやら「団地のふたり」(NHKテレビドラマ)の舞台は東久留米市の滝山団地のようですね。

2024年09月10日 | テレビ・ラジオ・新聞

 新しく始まった「団地のふたり」(NHKテレビドラマ)を録画してとりあえず見てみました。特別関心があったわけではありません。面白かったら引き続き見てもいいかな、ぐらいのスタンスでした。
 第1回を見始めて気を引かれたのは、はて、ここの団地は見覚えあるなということでした。小泉今日子役の短大講師の中年女性が、花小金井のバス停でバスが来ないので、歩いて団地に帰宅するのです。そこは滝山団地に違いありません。以前より整備された印象の団地内ですが、やはり面影は残っています。つい最近も行った団地内の料理店「おまかせ田中」の目と鼻の先でしょう。
 1980年代から15年間勤めていたのが東久留米市立滝山小学校と東久留米市立第九小学校でした。いずれも学区域が滝山団地でした。懐かしさに釣られて2回目も見てしまいました。小林聡美が素晴らしいですね。

■「団地のふたり」(NHKホームページより)
50代、独身、実家暮らし。
団地で生まれた幼なじみのふたり。
心がざわつくことがあっても、ふたりなら大丈夫。
小泉今日子×小林聡美の名コンビで送る、温かくユーモラスな友情の物語。

【あらすじ】
団地で生まれた幼なじみのノエチと奈津子。
結婚したり羽振り良く仕事したり、若い頃は色々あったけれど、わけあって昭和な団地に戻ってきた。
小さな恥も誇りも、本気だった初恋のゆくえもお互いよく知っているから、今さらなにかを取り繕う必要もない。
一緒にご飯を食べてバカなことを言い合いながら、日々へこんだ心をぷーぷー膨らませている。

古くなった団地では、50代でも十分若手。
子どもの頃から知っているおじちゃん・おばちゃんの家の網戸を張り替えてあげたり、昭和な品をネットで売ってあげたり。
時代遅れの「ガラクタ」でも、どこかにいる誰かにとっては、きっと「宝物」。
運よく高値で売れたら、その日のご飯はちょっとだけ贅沢にする。
一方、新たに越してくる住人たちもそれぞれにワケありで。
助け合いながら、変わらないようで変わっていくコミュニティがそこにある。

まったり、さらり、時々ほろり。
幸せってなんだろう。
今日もなんとか生きていく。

【放送予定】2024年9月1日(日)スタート
NHK BSプレミアム 4K/NHK BS 毎週日曜 夜10時~10時49分
【原 作】 藤野千夜
【脚 本】 吉田紀子
【音 楽】 澤田かおり
【出 演】
小泉今日子 小林聡美 /
丘みつ子 由紀さおり 名取裕子 杉本哲太 塚本高史 ベンガル / 橋爪功
<第3回ゲスト>仲村トオル 島かおり
<第4回ゲスト>ムロツヨシ
<第5回から登場>田辺桃子 前田旺志郎
<第7回ゲスト>眞島秀和 市毛良枝
【制作統括】 八木康夫(テレパック) 勝田夏子(NHK)
【演 出】松本佳奈/金澤友也(テレパック)


  学区域の近隣に児童文学者の古田足日さんが在住されていて、受け持ちの子どもたちが訪ねたら家に入れてくれたと話していました。その時子どもたちは絵はがきをいただいたそうです。
 そういえば、現在、古田足日展が行われていましたね。企画展「没後10年 古田足日のぼうけん」(神奈川近代文学館)でした。

 偶然は重なるものです。
 本日、2024年9月10日、朝日新聞の夕刊に「生きるを支えるアートコレクション」という大きな記事が掲載されていました。「3500点超収集 医師・髙橋龍太郎さん」とあります。 
 こんな件があります。
「東日本大震災を境に、日本のアートシーンが大きく変わってきたと髙橋さんはみる。『若い作家たちが、ストリートを中心に自由な発表の場をどんどん作り上げている』。その動きに高橋コレクションも同伴し、鈴木ヒラクや村山悟郎といった『表現の根源を掘り返す作業をしている作家に光を当てるようになっている』という。」
 村山悟郎君は九小での教え子です。都心のギャラリーや東京都現代美術館で彼の作品を鑑賞したことがあります。紐を幾重にも編んだ大きな独特の作品群でした。武蔵美や芸大を経て、海外留学も果たしたと聞いています。今後の更なる活躍に期待したいと思います。


〔698〕ホロコーストを体験した民族がなぜガザで虐殺の行為に及ぶのか、田浪亜央江さんのインタビュー記事に合点がいきました。

2024年06月04日 | テレビ・ラジオ・新聞

 ドイツ国内に残るホロコーストの爪痕、ダッハウ強制収容所、強制収容の会議が行われたバンゼー、アウシュビッツに囚人を移送する16番線のあるグリューネヴァルト駅等々、さらにポーランドまで足を伸ばしてアウシュビッツも訪ねました。ホロコーストの犠牲になった人は600万人を超えるといわれています。

 私が常々疑問に持ち続けてきたことは、ホロコーストを体験したユダヤの民がなぜガザなどでの虐殺の行為に及ぶのか、ということでした。
  その1つの回答を得ることができたのは、「イスラエル 強行世論の背景は?」「入植地が増加 右傾化の核に」  という田浪亜央江さんのインタビュー記事でした(東京新聞、2024年5月29日、「考える広場」)。このブログではその部分を紹介させていただきますが、東京新聞のサイトではその全文を読むことができます。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/330157

   私が合点がいったのは以下の箇所です(田原牧さんは論説委員)。

田原 イスラエルは国際社会で孤立を深めています。それでも国民の多数が報復攻撃に前のめりになる原因として、ホロコースト体験を指摘する声があります。敵に一歩でも引けば、やられかねない。世界の良識も頼りにならないという感覚が染み付いているという解釈です。
 田浪 ホロコーストを結び付ける言説はあります。でも、それは体験というより「物語」だという点に注意すべきです。
 ホロコーストは欧州で発生しましたが、国民の多数派はアラブなどそれ以外の地域の出身者たちです。親や祖父母もホロコーストは体験していない。
 実際、建国当初はホロコーストを強調しませんでした。むしろ、それは民族の弱さと見なされ、否定的に扱われました。
 それが1960年代に変わります。世界各地から集まった国民を統合するナショナリズムや対外的に政策を正当化する道具として利用していきます。
 中身も悲劇一辺倒ではなく、欧州の迫害にいかに抗(あらが)い、周囲のアラブ諸国を破って「建国の奇跡」を成し遂げたかという抵抗の物語として語られています。 


   余談ですが、田浪亜央江さんの御尊父は田浪政博さんで、昔からの知人でもあります。我が家からほど近い、武蔵野線の新秋津駅前でかつて秋津屋ラーメンを開業されていました。かん水などの添加物を使わない美味しいラーメンとして有名でした。私のクラスを授業参観した大学院生たちと、土曜日に月1回ぐらいここのラーメンを食べ語るのが常でした。
 彼は、かつて文部省が戦後すぐに発行した『憲法のはなし』を復刻出版され、新聞やテレビなど多くのマスコミで取り上げられました。開店の周年記念に国民学校の記憶を記した大部な本も出版されました。
  私が東久留米九小で教師をしているときに、平和集会で彼に東京大空襲の話を伺ったことがあります。
 かつてこのブログでも、彼のユニークな封書の年賀状を紹介したことがありました。
  
 田浪亜央江さんの話をいつか聞きたいと思っています。


〔672〕我らがマティアス・ヴェニガーさん、ついに朝日新聞「グローブ」に登場! しました。

2024年03月25日 | テレビ・ラジオ・新聞

  昨日、2024年3月24日、このブログでも数回紹介してきたミュンヘン・バイエルン国立博物館の研究者、マティアス・ヴェニガー(博士)さんが、朝日新聞「グローブ」でその活動を紹介されました。
  「グローブ」は月2回、発行されます。以前本紙とは別に製本されていましたが、今は本紙に組み込まれています。昨日号で299号になりました。
 
  ところで、ヴェニガーさん(新聞ではウェーニガーとなっているが ヴェニガーが正しい)はミュンヘン近くのフライジングにお住まいです。自宅に招待していただいたこともあります。ここ数年、ドイツに行くたびにご夫婦共にお目にかかっています。ドイツの研究者のなかでは、最も親しくさせていただいていて、福田緑の写真集第Ⅳ巻『完・祈りの彫刻 リーメンシュナイダーと同時代の作家たち』の巻頭言もお願いしました。また彼は写真家でもあって、この巻ではエラスムス・グラッサーの写真を数枚掲載させていただいています。

 さて、ヴェニガーさんは毎日新聞の電子版でもその活動が掲載されたことはこのブログで紹介済みです。
 今回の「グローブ」は、ナチスドイツの犯罪を追求する「ナチハンター」の特集です。ここには今もなお、戦争犯罪を問い続ける数人のドイツ人が登場します。戦争責任を曖昧にしたままの日本との格段の差異を感じない訳にはいきません。
  我が家の保存版にしたいこの特集のなかで、ヴェニガーさんのナチスが奪った銀製品を持ち主に返す活動が紹介されています。博物館に置かれていた111点のうち半数は持ち主に返したといいます。今年中にはなんとか終了させたいとも書かれています。
 世界中を飛び回って、こうした地道な活動を展開するする知人を、私たちは畏敬の念を持ってお付き合いさせていただいています。2025年秋には再会なるでしょう。


〔648〕「いのちの音楽  あるハンセン病の音楽家を追って」「らじるらじる」で聴けます。(1月2日まで)

2023年12月29日 | テレビ・ラジオ・新聞
 矢部顕さんからの情報です。まだ聴くことが可能です。

◆NHKラジオ第1 12月26日(火)午後6時05分~6時50分

愛生園の青い鳥楽団楽長近藤宏一さんの特集がありました。
見逃し配信で聴くことが出来ます。
インターネットで「らじるらじる」を検索して、
日付12月26日で調べると、下記の番組を聴くことが出来ます。
(1月2日まで可能のようです)

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いのちの音楽  あるハンセン病の音楽家を追って
R1ラジオ第1  12月26日(火)午後6時05分~6時50分
NHKドラマ「らんまん」の音楽担当で作曲家の阿部海太郎さんが、
長年追い続けているのが「青い鳥楽団」。ハンセン病療養所の元患者が、
70年前に結成したハーモニカ楽団です。その録音に圧倒される熱量を
感じた阿部さんは、更に楽団リーダーで、作詞作曲も行った全盲の
近藤宏一さん(2009年没)の埋もれていた楽曲を調査の中で発見しました。
「分断」が更に色濃くなった2023年。貴重な音源を元に、近藤さんたちが
音楽に込めていたものを探っていきます。
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                         矢部 顕

〔605〕マティアス・ヴェニガー博士「ナチスによってユダヤ人家庭から盗まれた銀の家宝を返す使命を担う」の巻

2023年07月27日 | テレビ・ラジオ・新聞
 このブログに再三登場していただいてるマティアス・ヴェニガー博士は、バイエルン国立博物館の学芸員です。福田緑の写真集『祈りの彫刻』全Ⅴ巻の発刊に際してはお世話になりっぱなしの恩人です。とりわけ第Ⅳ巻『完・祈りの彫刻-リーメンシュナイダーと同時代の作家たち』では巻頭言をいただきました。ご自宅にも2回招いてくださり、親しくさせていただいています。
 そのヴェニガー博士の記事がThe Mainichi に掲載されました。緑の解説とともに紹介します。

■私たちの友人、ドイツ、ミュンヘンにあるバイエルン国立博物館のマティアス・ヴェニガー博士の記事が The Mainichi に掲載されたので紹介したいと思って書いています。彼がとても大事な仕事をしていることがわかり、とても忙しそうにしている理由に深く納得しました。
 以下、Deeple翻訳で訳した内容に手を加えて貼り付けました。福田 緑

https://mainichi.jp/english/articles/20230614/p2g/00m/0in/022000c
1 von 3 20.06.2023, 20:38


◆The Mainichi 2023年6月14日

ドイツ人学芸員、
ナチスによってユダヤ人家庭から盗まれた
銀の家宝を返す使命を担う

ミュンヘン(AP)--マティアス・ヴェニガー氏は、白い布の手袋をはめて変色した一対の銀の燭台を慎重に持ち上げ、その底に付いている黄ばんだステッカーを見つめた。

この燭台は、バイエルン国立博物館にある111点の銀製品の一点である。これらの銀製品は1939年の第三帝国時代にナチスがユダヤ人家庭から盗んだものだった。ナチスは政権を取ると、すべてのドイツ系ユダヤ人に対して彼らが所有している銀製品を質屋に持ち込むように命じた。これはユダヤ人を辱め、罰し、排除するために作られた多くの法律のひとつである。

1933年、ナチスがドイツで政権を握った後、ユダヤ人に対する差別と迫害が始まった。そして1945年にドイツが降伏して第二次世界大戦が終わるまでの間に、ナチスはヨーロッパのユダヤ人やその他の人々600万人を収容所(ホロコースト)で殺害するに至ったのだ。

ミュンヘンのバイエルン国立博物館の学芸員であり、返還活動を監督するヴェニガー氏は、できるだけ多くの銀製品を元の所有者の子孫に返還することを使命としている。
「質屋に持ち込まれたこれらの銀製品は、ホロコーストで一掃された人々から残された唯一の生存の証であることが多いのです」。ヴェニガー氏はAP通信のインタビューに答えた。そのインタビューは今後返還されるはずの銀食器が展示された博物館のワークショップで行われたものだった。
「それゆえ、遺族を探し出し、彼らに返還することが本当に重要なのです」と彼は付け加えた。

ユダヤ人家庭から持ち去られた何千もの品々は、約135トンの銀に溶かされ、ドイツの戦争を助けた。しかし、いくつかの博物館には、安息日の前夜にロウソクを灯すための燭台、ワインを祝福するためのキドゥシュ・カップ、銀のスプーン、ケーキ・サーバーなどの数百の銀製品が残されたのだった。

1950年代から1960年代にかけて、ホロコーストの生存者が名乗りを上げ、盗まれた品々を積極的に取り戻そうとすれば、返還されるものもあった。しかし、持ち主の多くはホロコーストで殺害されたり、またナチスから逃れることができたとしても、世界の遠く離れた場所で亡くなった。
「最後の所有者の3分の2はホロコーストを生き延びることができませんでした」とヴェニガー氏は言う。

ヴェニガー氏は、このような困難な状況にもかかわらず、綿密な調査、献身的な活動、そして歴史に関する深い知識を駆使して、これまでに約50点の品々を元の所有者の家族や親戚に返すことに成功した。
氏は、今年中に残りの遺品をほぼすべて返還できると確信している。

まず、彼は元の所有者の身元を探す。いくつかの作品に貼られている小さな黄ばんだ紙のステッカーが彼を助けているのだ。それは質屋によって貼られたもので、独裁政権と戦争の時代にあっても、ドイツ人の執拗な官僚主義が残っていたことを物語っている。ステッカーに書かれた番号は、80年以上前の文書にも銀製品の保存を諦めて質屋に差し出した人々の名前が記載されているのだ。時には、何世代にもわたって家族に受け継がれてきた愛着のある家宝でもある。

ヴェニガー氏は元の持ち主の名前を見つけると、ユダヤ人の死亡記事と系図のデータベースを調べ始める。直系の子孫やもっと遠い親戚がネット上に名前を載せているかもしれないと期待して。

「そうして電話帳を通じてある世代から次の世代への繋がっていき、LinkedIn、Facebook、InstagramやEメールアドレスなどなどが、その家族の若い世代に対応していくことになります。」
と研究者は説明した。
ほとんどの場合、ヴェニガーは幸運にも正しい親族を探し出すことができているという。

子孫の大半は米国とイスラエルに住んでいるが、同博物館はすでに、あるいは現在進行形でフランス、イギリス、オーストラリア、メキシコに住む遺族にも銀製品を返還している。
そしてヴェニガー氏は個人的に遺族に作品を届けるようにしているのだ。彼は今年の早い時期にアメリカに渡った。また先週はイスラエルの遺族に19点の品物を返還してきた。

そのイスラエルでヴェニガー氏は、テルアビブの北にあるクファール・シュマリャフの自宅を訪ね、ヒラ・グートマン(53歳)と彼女の父ベンジャミン・グートマン(86歳)に会い、小さな銀の杯を手渡した。

ヴェニガー氏は、マゲン・ダヴィッド・アドム(イスラエル版赤十字国際委員会)の追跡サービスの助けを借りて一家を探し出すことができたのだ。

この杯は、安息日の前夜にワインを祝福するキドゥシュに使われたものだと思われるが正確にはわかっていない。というのも、ベンジャミンの祖父母であるバイエルンの牛商人サロモン・グートマンとその妻カロリーナが元の所有者だったのだが、祖父母はナチスによってトレブリンカ絶滅収容所で殺されたからだ。
「この杯を取り戻すのは、私たちにとって複雑な気分でした。なぜなら、ご存じのようにそれが祖父母の唯一の遺品であるからです」と語った。
ベンジャミン・グートマンの祖父母はホロコーストで殺害されたが、彼らの息子マックス(ベンジャミンの父)は、ナチスから逃れてイギリス領のパレスチナ(現在のパレスチナ自治区)に逃れたため、生き延びたのだった。

銀の杯を失い、それを返された悲しみにもかかわらず、グートマン夫妻は、銀の杯を取り戻せたことを喜んでいる。そして9月のユダヤ暦の新年であるロシュ・ハシャナーには、親戚一同と共にこの銀の杯で儀式を行うことを計画してるという。

ヴェニガー氏について、グ-トマン夫妻は彼と彼の仕事を賞賛している。
「彼は本当に献身的です。」ヒラ・グートマンは言う。「彼はこの小さな杯をとても大切に扱っています。まるで聖なるもののように。」
                                       
                                                            END

〔507〕安倍氏国葬に「賛成」30%、「反対」53%(毎日新聞世論調査)は国民の冷静で至極当然な判断でしょう。

2022年08月29日 | テレビ・ラジオ・新聞
 岸田首相は安倍晋三氏が凶弾に倒れて数日で「国葬」を宣言しました。花を手向ける人が多かったり、海外メディアの報道に多く取り上げられたりしたということもその理由のようです。確か「民主主義を守るため」などということばで国葬を正当化していたように記憶しています。
 しかしながら、冷静に考えてみると、国葬に関する法律がなかったり、憲法との関連の不備も指摘されるなど、どうやらその根拠もあやふやになってきました。戦後国葬は吉田茂氏だけです。
 安倍政権が8年8か月の長期にわたったことも国葬の理由にされているようですが、評価すべきは政権の長さではなく、日本国にとってどのような利益をもたらし、利点があったかではないでしょうか。
 長らく教育の現場にいて、最も関心があり、比較的一般には忘れられている安倍政権の問題点は、教育基本法の改悪です。さらに、集団的自衛権の一部行使容認、共謀罪、特定秘密保護法、そしてモリ・カケ・サクラ疑惑などどれをとっても問題だらけです。
 アベノミクスによって労働者の実質賃金は減り、大企業の法人税率を下げ、一人当たりのGDPは韓国を下回るようになりました。
 安倍氏はプーチン政権に寛容であり、北方2島だけの返還を試みたにもかかわらず、一顧だにされませんでした。最重要課題と位置づけたはずの拉致問題では拉致被害者は一人も帰国できませんでした。
 さらに、安倍3代にわたって旧統一教会とのズブズブの関係だったことが明るみに出されてきました。
 そんなことを考えていとき、毎日新聞のこんな記事を読みました。さもありなん、と至極納得しました。

◆安倍氏国葬に「賛成」30%、「反対」53% 毎日新聞世論調査 2022/8/21

 毎日新聞と社会調査研究センターが20、21両日に実施した全国世論調査では、銃撃されて死亡した安倍晋三元首相の国葬についても聞いた。国葬に「賛成」は30%で、「反対」の53%を下回った。「どちらとも言えない」は17%だった。支持政党別で見ると、自民党支持層では「賛成」が66%で、「反対」の17%を上回ったが、公明党や立憲民主党、共産党の支持層や「支持政党はない」と答えた無党派層ではいずれも「賛成」が「反対」を下回った。(以下略)

 本日、2022年8月29日(月)の朝日新聞の世論調査でも毎日新聞と似たような数字が並んでいました。

◆安倍氏の国葬「反対」50%「賛成」41%

 他の項目でも良識的な国民の考えが反映されていて納得させられました。簡潔に紹介します。(7月16,17日調査との比較)

*岸田内閣 支持する 57%→47%  支持しない 25→39
*政治家は旧統一教会との関係を断ち切るべきか。断ち切るべき82、その必要はない12
*政治家は旧統一教会を巡る問題について、岸田首相の対応 評価21,評価しない67
*新型コロナウイルスを巡る政府の対応 評価57→45、評価しない34→49
*原発の新設、増設 賛成34、反対58

 同じ朝日新聞の「週刊ポスト」の宣伝広告には「安倍国葬に血税33億円、最大130億円超の試算も」とあります。「政府の『葬儀予算は2・5億円』に騙されるな!」とも。

 ◆いやな感じ
  「国葬」を受け入れられないのは理不尽を痛覚するからだ

                  鎌田 慧(ルポライター)

 岸田内閣の支持率は36%と急落、不支持率は54%と急増。(毎日新聞
と社会調査研究センター、8月20、21日の調査結果)。
 新型コロナの新規感染者は1日当たり20万人を超え、医療崩壊が進む。
 その一方、仕切り直しの内閣改造で、旧統一教会との汚染大臣を外し
たはずなのに出るわ出るわ、反社会的宗教への依存の実態。

 これらの報道に対し、旧統一教会本拠地のソウルで18日、「宗教
弾圧」反対集会が開かれ、安倍氏に黙祷が捧げられた。
 祖父の代からの「広告塔」としての安倍氏を悼んでいるのだが、いま
反対運動が急速に拡大しているにもかかわらず、岸田内閣が「国葬」を
強行するのは旧統一教会の追悼とどこが違うのだろうか。

 わたしが「国葬」を受け入れられないのは、やや大袈裟になるが、
魂をわしづかみにされて引きずり回されるような、理不尽を痛覚する
からだ。
 「いやな感じ」なのだ。
 汚染された内閣や党幹部を不問にして国民を統合する宗教的行事を
実行する。
 人間を無視する暴政。
 国葬実行で人気を取ろうとしても、さらに不支持率を急増させる
だけだ。

 27日(土)午後5時。新宿駅地上西口で、二度目の「国葬」反対市民
集会を開催します。発言者は田中優子(前法政大学総長)、松元
ヒロ(芸人)、古今亭菊千代(落語家)、落合恵子(作家)、佐高信
(評論家)、鎌田など。
    (8月23日「東京新聞」朝刊21面「本音のコラム」より)


◆アマゾンでの個人本屋・猫家族は事情により9,10月と閉鎖します。10月後半に再開の予定です。ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします。
◆ブログもしばらくお休みになります。

〔502〕新刊『結・祈りの彫刻-リーメンシュナイダーからシュトース』とりあえず2紙に紹介されました。

2022年08月19日 | テレビ・ラジオ・新聞
 7月末に『結・祈りの彫刻-リーメンシュナイダーからシュトース』(福田緑・福田三津夫、丸善プラネット)が出版されましたが、ありがたいことに2紙がこの本を紹介してくれました。
 まずは多摩地区のタウン紙「アサココ」です。福田緑の第2回・リーメンシュナイダー写真展(今年1月、国分寺司画廊)のことを取材して、しっかり記事にしてくださったのが「アサココ」でした。「アサココ」は第1・第3木曜日に多摩地区(町田市・稲城市を除く)に朝日新聞と一緒に届けられます。



 掲載のお礼もかねて、新刊3冊を寄贈しました。これは読者プレゼントとして活用してくださるということです。掲載紙は8月18日(木)、238号です。ネットでも応募できるので、希望の方はアプローチしてみてください。

 もう1紙は「週刊新社会」です。8月3日号に掲載されました。貴重な紙面を割いていただきました。



 先日久しぶりに池袋に行ったとき、2つの書店に立ち寄りました。
 ジュンク堂では、9階の美術コーナーに『完・祈りの彫刻-リーメンシュナイダーと同時代の作家たち』1冊と『結・祈りの彫刻-リーメンシュナイダーからシュトース』2冊が離れて置かれていました。さらに池袋駅近くの三省堂にはなんと5冊の新刊書が置かれていました。いずれも嬉しいことでした。

〔470〕徳永進「死を目前にしたとき 何思う」(朝日新聞、5月5日)に匿名で 矢部顕さんが登場しています。

2022年05月08日 | テレビ・ラジオ・新聞
 鳥取の「野の花診療所」院長の徳永進さんの記事が大きく朝日新聞に取り上げられていました。彼は同世代の尊敬すべき医師で、著書『死の中の笑み』『隔離』(ゆるみ出版)は私の愛読書です。徳永さんと矢部顕さん(このブログでお馴染みですね)が学生時代からの友人だったことを知ったのは十数年前のことでした。
 記事には「京都大の医学部時代、鶴見俊輔が同志社大で教えていた。鶴見ゼミにいた同じ下宿の先輩に誘われ、潜り込んだ。」とありますが、この先輩が矢部さんのことなのです。記事を一読してすぐにわかりましたが、矢部さんからもメールをいただきました。記事とともに紹介します。

◆福田三津夫様
福田さんは徳永進の本を愛読している。徳永進を知ったのは先輩教師の菅龍一さんから教えられたと、以前ブログに書いていらっしゃいましたよね。
その徳永進が矢部の友人だったことの驚きと不思議なご縁をお聞きして、こちらがびっくりでした。
5月5日の朝日新聞に、野の花診療所と徳永進の記事が掲載されていました。
鶴見ゼミにモグリで入り込んだのは私が誘ったからと書いてありましたが、よく覚えていません。
新聞記事はA3ですがA4に縮小しました。読みにくいと思います。拡大してお読みください。
                               矢部 顕


〔464〕NHKラジオ深夜便「明日へのことば」(祈りの彫刻を撮り続けて20年) の反響の多さにびっくりしました。

2022年04月26日 | テレビ・ラジオ・新聞
 福田緑が出演したラジオ深夜便に多くの反響がありました。
 「緑さん、楽しそうにいきいき話していたね。」と語ってくれたのは同世代の親しいお隣さん、眠れないと深夜放送をかけたまま寝床に入ってしまうのだそうです。だけどこの日はしっかり聞いてくれていました。
 私のところにも何通かのメールが入ってきましたが、緑にはかなり多くのメールや手紙、はがきが届いています。今日、ディレクターの玉谷さんからの手紙には、長野在住の深夜便ファンという方のお便りが同封されていました。
 私がアマゾンに出店している図書販売の「猫家族」には注文が殺到しました。福田緑写真集『祈りの彫刻-リーメンシュナイダーを歩く』(全4巻、丸善プラネット)、福田緑『子どもっておもしろい』(晩成書房)を合わせて20冊以上出荷しました。第1巻はお陰様で完売となりました。6月刊行予定の第Ⅴ巻には予約注文がかなり入っています。

 掲載写真は第2回写真展の時にいただいたお花です。何というランか存じ上げませんがこ堪能ください。



◆NHKラジオ深夜便

○放送日時:4月19日(火)午前4時05分頃〜50分頃(長さ40分位)
○放送波:ラジオ第1&FM放送
○番組名:「明日へのことば」
○タイトル:祈りの彫刻を撮り続けて20年
○出演者:元教員・アマチュア写真家 福田緑さん
○聞き手:玉谷邦博(ラジオ深夜便ディレクター)



〔440〕なんと、ラジオ深夜便「明日へのことば」に福田緑のインタビュー「祈りの彫刻を撮り続けて20年」登場です。

2022年03月03日 | テレビ・ラジオ・新聞
 第2回福田緑写真展が6日間で約500名を迎えて成功裏に終了したことはこのブログで触れたところです。来館者の中にはさまざまな人がいらして、多くのことを教えていただき、啓発されました。その中のお一人が玉谷邦博さん(ラジオ深夜便ディレクター)です。
 彼からの有り難い申し入れがありました。ラジオ深夜便「明日へのことば」での福田緑インタビューです。リーメンシュナイダーなど中世後期の彫刻の写真撮影だけでなく、33年の教師生活についてもご興味がおありのようです。
 ラジオ深夜便といえば、澤地久枝さん、落合恵子さん、五木寛之さんらの名前が浮かんでくるのですが、その詳細は私自身は認識していません。
 放送は「4月19日(火)午前5時05分頃〜50分頃」。注目していただければ嬉しいです。実は、再来週打ち合わせ、月末に収録という日程です。

◆福田緑のインタビュー「祈りの彫刻を撮り続けて20年」

○放送日時:4月19日(火)午前5時05分頃〜50分頃(長さ40分位)
○放送波:ラジオ第1&FM放送
○番組名:「明日へのことば」※
○タイトル:祈りの彫刻を撮り続けて20年
○出演者:元教員・アマチュア写真家 福田緑
○聞き手:玉谷邦博さん(ラジオ深夜便ディレクター)
※番組の主旨は、各界でご活躍の方に仕事や研究を通して
 得た、ものの見方や人生観などを聞くインタビュー。


鎌田慧さんの許可を得てコラムを転載します。

◆神宮の森の大伐採         鎌田慧(ルポライター)

 神宮の森の大伐採計画が、都の都市計画審議会で可決された。先週も
この欄で書いたが、辛うじて都心に残されてきた、歴史的で貴重、広大
な緑のオアシスが、あまりにも露骨な儲け主義の餌食にされようと
している。
 樹齢百年以上の老木もふくめ「開発予定地」にある樹木の半分以上が
大虐殺され、高さ190m、185mなどと、空を制圧するコンクリートの
巨大なオフィスビルが建て並べられるという。

 東京五輪にむけて、建築基準の緩和策で国立競技場の建て替えなどが
実施された。その間隙(かんげき)を縫った巨大開発計画が、三井
不動産や伊藤忠商事などが狙った千載一遇のビジネスチャンスだ。
 しかし、東京の地形が日比谷公園から皇居、神宮の森、新宿御苑へと
森と緑地が続いているからこそ、やわらかな風が流れ、花が咲き、潤い
のある首都となっている。

 森の伐採は、その繋がりの要を破壊する。
 地方の工業開発の時代は終わった。いま都心のオフィスとマンション
建設で、あらたな需要をつくりだそうとしているのが、金融業、不動
産業、建築産業の欲望である。
 かつて土地に柵を立てた囲い込み政策が今後、コンクリートの塔を
天に突き刺し、空を包囲し地上に冷たい暴力的な風を巻き起こす。
 極限の一極集中計画というべき「神宮外苑再開発」は厳しい歴史の
審判を受けるであろう。
     (2月22日「東京新聞」朝刊23面「本音のコラム」より)

〔391〕「白い灰の記憶~大石又七が歩んだ道」で高橋しのぶさんと「再会」しました。

2021年08月14日 | テレビ・ラジオ・新聞
 オリンピックを強行しコロナ禍が深刻で危機的な状況を呈している日々、皆様はいかがお過ごしでしょうか。
 私は、白梅学園大学での教育実習指導がなんとか1学期に終了して、2学期後半の新たな学年のスタートを待っているところです。残念ながらそこでは対面やリモートを織り交ぜての授業になるのでしょうか。
 外に出歩くのは買い物程度、地域の仲間との市民運動もリモートに逆戻りです。
 そんななか、録りためたビデオを見たり、ストックしていた本を読んだりの毎日です。

 今回紹介するのはテレビ番組「白い灰の記憶~大石又七が歩んだ道」です。
 大石さんは第五福竜丸の元乗組員で「ビキニ事件」で被爆した人です。他の乗組員が続々亡くなる中、「ビキニ事件」は何だったのか最期まで問い続け、様々な場所で語り続けた人でした。
 番組の概要は次の通りです。

■「白い灰の記憶~大石又七が歩んだ道」(NHK,HPより)

アメリカの水爆実験による「死の灰」で被ばくした第五福竜丸の元乗組員・大石又七さんが3月に亡くなった(享年87)。1954年に起きたこの「ビキニ事件」は、アメリカが日本に「見舞金」を支払うことで政治決着したが、乗組員の多くは事件後口を閉ざしたまま、若くしてがんや肝機能障害などで次々に命を落とした。ただひとり事件について語り続けた大石さんが抱え続けた怒りとは何だったか。家族や関係者の証言を交えて描く。


 大石さんが「ビキニ事件」について重い口を開いた切っ掛けは、ある学校の働きかけでした。子どもたちに「ビキニ事件」を語って欲しいというお願いがあったのです。番組では学校名は出されていなかったのですが、私は和光中学校ではないかと直感したのです。そして大石さんが語った本人が出演したのです。まさかの高橋しのぶさんの登場でした。大石さんはしのぶさんが全盲のため第五竜丸の模型をつくったということです。これ以降、何体もの模型をつくることになるのです。
  しのぶさんは全盲で、普通学級の和光小に入学したのです。担任は平林浩さん、次のような教育実践記録が出版され、懐かしく本棚から取り出しました。

■『しのぶちゃん日記-目が見えなくても、みんなといっしょ』平林浩、太郎次郎社、1981
■(ブックライブより)
障害をのりこえて学んでいくしのぶちゃんを囲んで、クラスの子どもたちもまた、ゆたかに育つ。彼ら三八名の二年間にわたる、授業を中心とした記録。朝日「天声人語」……教育の現場で日々、こういう心のこもった、ていねいな実践が続けられていることに敬意を表したい。
■平林浩(太郎次郎社エディタスHPより)
1934年、長野県・諏訪地方生まれ。子ども時代から野山を遊び場とする。1988年まで小学校教諭。退職後は「出前教師」として、地域の子ども・大人といっしょに科学を楽しむ教室を開いている。仮説実験授業研究会、障害者の教育権を実現する会会員。
著書に『仮説実験授業と障害児統合教育』(現代ジャーナリズム出版会)、『作って遊んで大発見! 不思議おもちゃ工作』『キミにも作れる! 伝承おも ちゃ&おしゃれ手工芸』『しのぶちゃん日記』(以上、太郎次郎社エディタス刊)など、津田道夫との共著に『イメージと科学教育』(績文堂出版)がある。


  1970年代前半のこと、新卒時に日本生活教育連盟に所属していた私は、板橋の火曜会という研究会で平林さんを講師にお招きしたことがありました。彼のことは「ひと塾」で知り合ったのでした。それからしばらくした1977年、彼はしのぶちゃんを2年間担任し実践記録を書いたのでした。
 しのぶさんは現在特別支援学校の英語教師として活躍していました。失礼ながら昔の教え子に再会したような気分でした。もちろん『しのぶちゃん日記』も再読し始めました。この本の凄さについてはいずれ本ブログで触れたいと思っています。

  大石さんの話に戻します。
 彼は残念ながら今年亡くなられました。でも「ビキニ事件」を語り継ぐ人がいるのです。第五福竜丸の展示館の学芸員の方です。小学校教師の時、数回、第五福竜丸の展示館を社会科見学で訪れたことがありましたが、今度は孫でも連れて行って彼女の話を聴いてみたいと思っています。行くとは言わないかな。

 蛇足ながら、NHKスペシャルではこんな放送もしていたのですね。

■NHKスペシャル 又七の海 ~死の灰をあびた男の38年~
放送日 : 1992年4月19日 (59分)

1954年3月1日、マーシャル諸島のビキニ環礁でアメリカが水爆実験を行った。その威力は広島の原爆の1000倍、実験場近くにいた第五福竜丸の乗組員23名が被ばくし、無線長の久保山愛吉さんが亡くなった。一般市民を巻き込んだこの実験は、世界中に大きな衝撃を与えた。死の灰を浴びた乗組員たちは、被ばくの健康への不安を抱えながらその後の人生を生きてきた。事件から37年たって乗組員の一人・大石又七さんは、自らの体験を後世に残すため、手記にして出版した。番組の中で、又七さんは、自分たち乗組員の犠牲に対するアメリカ側の責任が明確にされないまま、福竜丸の事件が忘れ去られようとしていることに不満を感じる、と語る。

〔388〕園部哲「英国で進むドイツ讃歌」(『GLOBE』)に啓発され、「戦争の記憶」(『定年時代』)は心して読んでいます。

2021年08月02日 | テレビ・ラジオ・新聞
  朝日新聞が月1回発行している20頁立ての『GLOBE』最新8月1日号の図書紹介欄に「英国で進むドイツ讃歌」という小さな記事が掲載されました。翻訳者でロンドン在住28年という園部哲さんが書いたものです。彼が取り上げたイギリスのベストセラーとは『Why the Germans Do it Better(なぜドイツ人はうまくやれるのか)』ジョン・カンプナーです。
  「その背後にはブレグジット(EU離脱)を悔やむ心情、新自由主義経済に対する忌避感、落ち着いた政治家へのあこがれ、そしてコロナ禍への対処の相違(ドイツの方が科学的だった)がある。」と綴っています。
 興味ある方は記事に当たってみてください。

 この記事が心に響くものがあり、次のような感想を編集部にメールで送りました。

*グローブ244号で一番興味を持ったのが「書店」の頁でした。「英国で進むドイツ讃歌」という見出しが衝撃的でした。
ロバート・ウェストールの作品が好きでほぼ読み尽くしているのですが、彼の作品にはドイツからのイギリス空爆の話がかなり多く登場します。実体験を下敷きにしてウェストールは書いているのですが、そうしたイギリス人からするとドイツに対する憎しみのようなものが消えているとは思えないのです。しかるに「英国で進むドイツ讃歌」とはにわかには信じられませんでした。しかし園部さんの文章を読んでなるほどと合点しました。しかもそれを裏付けるかのように英国の取り上げられたベストセラー5冊のうち3冊がドイツ関連本だったとは。
というわけで『なぜドイツ人はうまくやれるのか』を頑張って読みたいと思った次第です。
ちなみに私ども夫婦はドイツ好きで、20回弱の渡独経験があり、ドイツ人の友人も多いのです。

  朝日新聞がらみでもう1つ紹介したいと思います。月2回発行の『定年時代』というシニア向けの8頁立ての新聞です。
  夏場のこの時期、いつも待ち焦がれているのは「戦争の記憶」頁です。書かれた手記を丁寧に辿りながら反戦の思いを新たにします。今回は4人の方のうち、海中特攻の話が心に残りました。(「海中特攻『伏龍』の訓練」豊田黎一郎)
 数年前に、早稲田大学で海中特攻の体験談を生存者に伺ったことがありました。(ブログ掲載)その話とまさに重なる文章でした。他の手記も赤線を引きながら読ませていただいています。戦争体験の継承をこれからも願いたいものです。

〔360〕神奈川新聞「時代の正体 憲法考」(田中大樹記者)に啓発されました。

2021年04月22日 | テレビ・ラジオ・新聞
 普段は目にすることがない神奈川新聞の切り抜きをある人に送ってもらいました。「時代の正体 憲法考」という3回にわたる特集です。一読して鋭く時代を切り取るその先進性に目を見張りました。ネットでも調べてみるとこの「時代の正体」という記事は断続的に報道されているようで、多くの書籍にも収録されています。無知で浅学の己を恥じるばかりでした。
 今回はとりあえず、「時代の正体 憲法考」のさわりを紹介します。横浜事件と学術会議任命拒否問題は根底で通じる「排除」の論理があるというのです。田中記者は横浜事件の当事者の一人故・木村亨さんのお連れ合い木村まきさんに実に周到に取材して記事を書いています。ネットでは以下のようにその一部を読むことができますが、図書館などで実物を読むことをお勧めします。

■時代の正体 憲法考(上) 神奈川新聞| 2021年3月14日(日)
*横浜事件と学術会議任命拒否 根底で通じる「排除」の論理

 憲法の現場に立つ当事者の言葉から、自由や権利を改めて考える。

 国会はコロナ禍一色に染まっていた。
 1月28日、コロナ対策の特別措置法と感染症法の改定を巡る与野党協議が大詰めを迎える中、日本学術会議が声明を発表した。菅義偉首相が会員候補6人の任命を拒否した問題の発覚から4カ月、速やかな解決を求めた。
 翌29日、加藤勝信官房長官は記者会見で「任命権者として最終判断しており、一連の手続きは終了している」と不快感を示した。定員に満たない違法状態を放置する。
 さかのぼること1カ月半前、「戦時下最大の言論弾圧」と形容される横浜事件の被害者、木村亨さん=享年(82)=の妻まきさん(72)は東京・多摩の駅ホームでつぶやいた。
 「名簿も見ないで拒むなんて本当にひどいですね」(以下略)

■時代の正体 憲法考(中) 神奈川新聞| 2021年3月16日(火)
*ヤジ排除から考える 表現の自由 萎縮を危惧

憲法の現場に立つ当事者の言葉から、自由や権利を改めて考える。

 2月24日、札幌地裁(札幌市)で、ある訴訟の口頭弁論があった。発端は2019年7月15日、JR札幌駅南口の駅前広場だった。
 広場は群衆で埋まっていた。日の丸の小旗が揺れるその中に、横浜市出身の大杉雅栄さん(33)は身を置いていた。視線の先には安倍晋三首相(当時)。選挙カーに上り、参院選の街頭演説に立っていた。
 演説開始から1、2分が過ぎたころだった。「安倍、辞めろ」。大杉さんは声を張り上げた。直後、男たちに体をぐいとつかまれ、後方へと押しやられた。北海道警の警察官だった。法的根拠を尋ねたが、明確な回答はない。移動後もつけ回され、逃れることができたのは500メートルほど離れた札幌市時計台付近だった。
 駅前広場にいた団体職員の桃井希生さん(25)は、排除されたのが大学の先輩の大杉さんだとすぐに気付いた。自身も「増税反対」と叫んだ数秒後、同様に取り押さえられた。警察官はその後も傍らを離れようとせず、1時間以上付きまとわれた。この日、政策に批判的なプラカードを掲げた女性らも排除されていた。(以下略)

■時代の正体 憲法考(下) 神奈川新聞2021年3月17日(水)
*横浜事件と学術会議任命拒否 「学問の自由」を考える

 憲法の現場に立つ当事者の言葉から、自由や権利を改めて考える。
 「戦時下最大の言論弾圧」とされる横浜事件の国家賠償請求訴訟は、再審を認めなかった東京高裁の判断が確定した。2020年12月、東京・日比…(以下略)