生きてるだけで丸儲け!
㉙ 西条凡児 「素人名人会」
現在、漫談家というジャンルは絶滅の危機だ。ピン芸人と呼ばれる人たちを「漫談」とは言わない。ほとんどがモノマネを主体に笑いを取る。諷刺の効いた高度な笑いを売り物にした本格漫談は、この人をおいて他に知らない。昔は、プロダクション所属だけではなく、放送局専属タレントという人も多かった。ダイマル・ラケットはABC朝日放送専属だった時代が長かった。西条凡児は毎日放送専属だった。
ゆっくりしたテンポで、しゃべりだしたものだ。「こんな話があります。」と、そこらにいる普通のおじさんのような風貌で大概和服だったような気がする。しかし、なんと言っても有名なのは、「素人名人会」(毎日放送)の司会者としてである。素人が(NHKのど自慢のように)鐘連打の名人賞を狙って挑戦する番組で、関西の芸人の登竜門のような番組だった。枝雀(当時前田兄弟)・三枝(後の文枝)・千里万里などお笑いから、天童よしみ・坂本冬美などの歌手もここから出た。因みにMrマリックもここから世に出た。なんと、ダウンタウンも!
審査員の顔ぶれが凄い、林家染丸(3代目)桂米朝(3代目)桂小文枝(3代目 → 5代目桂文枝)月亭八方 大久保怜 中沢寿士 笠置シヅ子 花柳芳兵衛 山村楽正 西川鯉矢 柏貞子 小西延女 春日とよ子 京極利則 林家染丸・山村楽などなど。ほとんどが鬼籍におられる。染丸が二度出て来るのは、当代の染丸が舞踊の審査員で参加したものだろうと思われる。もちろん、月亭八方・当代文枝も含めて存命である。
後半は、西川きよしが司会をしていた。
その後、金銭トラブルで降板し、復帰して「おやじバンザイ」や「娘をよろしく」という素人参加型番組で名司会者ぶりを見せたが、往年のブレイクはなかった。現在も活躍している浜村淳と双璧で、お笑い番組の司会者としても欠かせない存在だった。