㉛ 今いくよ・くるよ 「ドやさ、ドヤさ。」
やせて首に筋が出て、厚化粧のつけまつげの「いくよ」と、太った愛嬌のある顔の「くるよ」のコンビは、漫才の人気以上に芸人仲間に慕われた。いくよの「お別れの会」は難波NGKで行われたが、それは創業者の林正之助以来の事であった。
漫才コンビは、プライベートでは仲が悪いことが多いが、この二人は最後まで親友だったようだ。漫才自体は、くるよのド派手な衣装と、いくよの首の筋をいじる(御堂筋・堺筋わかるかなあ?)程度で、話術は他の漫才師には及ばなかった。しかし、いくよの鋭い突っ込みは、ぐいぐい二人の世界に引き込んだ。いくよ「あんたそんなところから足出してんの?」くるよ「足ちゃうわ、腕や!」(笑い)くるよ「ドやさ、ドヤさ。」こんな感じである。
ギリギリ漫才ブームに乗ったコンビで、当時数少ない女流漫才師であった。千里・万里(現在の上沼恵美子)以来、大看板の出ない中での貴重なコンビであった。絶頂の時に、くるよが、心筋梗塞で倒れ、その後体重の減ったくるよはややパワーが落ちたように見えた。そこで、「ドやさ、ドヤさ。」は、パンチの効いたギャグとなった。
しかし、いくよの胃がんによる死亡後は、一人で出ていたが笑えるようなものではなかった。中川家などと3人で出たりしているが、最近は見かけない。(悲)
お通夜で、くるよは、「日本一の相方で、ほんま幸せでした」と号泣した。