Leucanthemum × superbum(シャスタ・デイジー)
撮影者:Jamain
撮影日:2012.07.08
オリジナルからの改変、なし
この花は、シャスタ・デイジーです。シャスター・デイジー、とも、シャスター・デージー、とも、いいます。発音してみると、あまり変わりませんが。また、書くときには、「・」を入れたり、入れなかったりします。
学名 Leucanthemum × superbum
英名 Shasta daisy「シャスタ・デイジー」
和名 シャスタ・デイジー
キク科(Asteraceae)フランスギク属(Leucanthemum)
学名に現れる「×」は、その植物が交雑種であることを表します。
シャスタ・デイジーの場合は、それに superbum が続きますが、これは、英語で言えば、superb あるいは superior で「すばらしい」という意味です。「花がすばらしい、目が覚めるようだ、大きい」ということです。
2023.07.08撮影(シャスタ・デイジー、ご近所の庭から)
シャスタ・デイジーの作出は、アメリカの園芸家、ルーサー・バーバンクによって、1880年代から1900年代にかけて行われました。
使われた種は、キク科(Asteraceae)の、フランスギク属(Leucanthemum)に属する「デイジー」3種と、ハマギク属(Nipponanthemum)の「デイジー」1種の、合計4種です。これらを順次交配し、さらに、選別して、完成させました。
『ガーデニングの図鑑』シャスターデージー
Leucanthemum × superbum(英文+画像)
親種1(フランスギク)
Leucanthemum vulgare(フランスギク)
撮影者:Chiswick Chap
撮影日:2021.06.16
オリジナルから、トリミング
ルーサー・バーバンクは、まず、第1の親種となるフランスギク(Leucanthemum vulgare)を育成して形質の選抜を行いました。
学名 Leucanthemum vulgare
英名 Ox-eye daisy「雄牛の目のようなデイジー」
別名 Marguerite「マーガレット」(フランス語名から)
和名 フランスギク
原産 ヨーロッパ、温帯アジア
移入 北アメリア、オーストラリア、ニュージーランド
この花は、わたしの住むカナダにも、野原や道端に、上の画像のような感じで夏にたくさん咲いています。野草という捉えられ方をしています。
親種2(中国名:大滨菊)
Leucanthemum maximum(中国名:大滨菊)
撮影者:xcabale
撮影日:2006.03.04
オリジナルからの改変、なし
ルーサー・バーバンクは、次に、選りすぐったフランスギク(Leucanthemum vulgare)に、中国名ででいうところの「大滨菊」(Leucanthemum maximum)を交配して、2種間交雑種を作りました。
学名 Leucanthemum maximum
英名 Max chrysanthemum「大きいキク」
和名 ないもよう
中国名 大滨菊(大浜菊)
原産 フランス、スペイン
親種3(レウカンテムム・ラクストレ)
Leucanthemum lacustre(レウカンテムム・ラクストレ)
撮影者:Alvesgaspar
撮影日:2012.08.15
オリジナルからの改変、なし
フランスギク(Leucanthemum vulgare)と「大滨菊」(Leucanthemum maximum)の2種間交雑種に、バーバンクは、さらに、レウカンテムム・ラクストレ(Leucanthemum lacustre)を交配し、3種間交雑種を作りました。
学名 Leucanthemum lacustre
英名 Portuguese daisy「ポルトガルのデイジー」
和名 レウカンテムム・ラクストレ(和名は、ないもよう)
原産 ポルトガル
ここまでで、フランスギク属(Leucanthemum)の3種が交配されたわけです。
親種4(ハマギク)
Nipponanthemum nipponicum(ハマギク)
撮影者:KENPEI
撮影日:2008.09.23
オリジナルからの改変、なし
フランスギク属(Leucanthemum)3種の交配種に、さらに交配されたのは、同じくキク科(Asteraceae)ではあっても、属の異なる、ハマギク属(Nipponanthemum)の「デイジー」、ハマギク(Nipponanthemum nipponicum)です。
ハマギクは日本原産・固有であり、ハマギク属に属する種は、このハマギクだけです。
学名 Nipponanthemum nipponicum
英名 Nippon daisy「日本のデイジー」
和名 ハマギク
原産 日本(青森県〜茨城県の太平洋側)
野生化 アメリカ、ニューヨーク州とニュージャージー州の海岸線
これで、4種間交雑種のできあがりです。
なんだ、同じような花ばかりかけ合わせたのか・・・と言っても、花と姿の美しく、また、栽培するのに丈夫な品種を求めたわけですね。
2023.07.08撮影(シャスタ・デイジー、ご近所の庭から)
ここから先も、園芸種は、どんどん開発されていきます。
なお、Shasta daisy「シャスタ・デイジー」という命名は、アメリカ、カリフォルニア州の、頭に白い雪をかぶったシャスタ山(Mount Shasta)に因むそうです。