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2021.10.04撮影(ルリジサ)
花を構成する花弁・花被片全体を「花冠」といいます。その花冠の内側に、小さい花のような突起があることがあります。その突起を「副花冠」といいます。副花冠を持つ花は、結構多いものです。
副花冠の目立つ花と言えば、スイセン(Narcissus)です。左下の画像のラッパズイセン(園芸種名 'Loveday')には、黄色い花びらを背景にオレンジ色の副花冠が突き出ています。 右下はフサザキスイセン(Narcissus tazetta)で、どの亜種までかはわかりませんが、このスイセンでは、花弁が白、副花冠が薄いクリーム色です。
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2023.04.18撮影(ラッパズイセン) 2023.03.12撮影(フサザキスイセン)
キジカクシ科(Asparagaceae)ツルボ亜科(Scilloideae)の花にも、副花冠のあるものがあります。これらの副花冠は、スイセンのようにカップ状に見えますが、切れ込みがあります。また、スイセンのカップが外へ向かって開いているのに対し、ツルボ亜科のカップは先がつぼんでいます。あるいは、観察資料が十分でないので、そこまで一般論は引き出せないかもしれません。
なお、スイセン属はヒガンバナ科(Amaryllidaceae)、ツルボ亜科はキジカクシ科(Asparagaceae)ですが、両者とも、キジカクシ目(Asparagales)に属します。
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2023.03.28撮影(プシュキニア) 2022.03.24撮影(チオノドクサ)
また前置きが長くなってしまった。
今日は、ムラサキ科(Boraginaceae)の花で、副花冠のあるのを紹介しよう、ということなんです。ここから本文が始まります。汗
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2022.05.13撮影(ワスレナグサ)
これは、ワスレナグサ(Myosotis)です。種名の推定は、Myosotis sylvatica です。ここでは、花の中央をご覧ください。プクッと盛り上がっています。これが副花冠です。副花冠は、スイセンのようなカップ状でなくていいのです。
ワスレナグサの副花冠は、リング状のものだけをいうのか、花びらの間の区切りのようなものも含めるのか、、、というと、含めるのではないか、とわたしは思います。なぜなら、線状のものが副花冠である花もあるようなので。(今後の課題として、調べます。)
学名 Myosotis(種の推定は、Myosotis sylvatica)
英名 Forget-me-not「我な忘れそ」
和名 ワスレナグサ
ムラサキ科(Boraginaceae)ワスレナグサ属(Myosotis)
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2023.04.03撮影(ブルンネラ)
2番目のムラサキ科の花は、ブルンネラ(Brunnera)です。ワスレナグサではありません。花だけ見たら、よく似ていますね。花冠も副花冠もそっくりです。でも、葉がかなり異なります。
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2022.04.11撮影(ワスレナグサ) 2023.04.03撮影(ブルンネラ:斑入り)
学名 Brunnera(種の推定は、Brunnera macrophylla)
和名 ブルンネラ
ムラサキ科(Boraginaceae)ブルンネラ属(Brunnera)
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2023.04.10撮影(オンファロデス)
3番目のムラサキ科の花は、オンファロデス(Omphalodes)です。この花も、ワスレナグサによく似ています。花冠も副花冠も。花の咲き方は、花柄の上にパラパラと咲く感じです。
学名 Omphalodes verna
和名 オンファロデス
ムラサキ科(Boraginaceae)オンファロデス属(Omphalodes)
最後にもうひとつムラサキ科の花を。ワスレナグサとは異なる形の花です。
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2021.06.25撮影(ルリジサ)
これは、ルリジサ(Borago officinalis)です。冒頭の画像もルリジサです。冒頭の画像の方が、若い花です。
学名 Borago officinalis
和名 ルリジサ
ムラサキ科(Boraginaceae)ルリジサ属(Borago)
直前の画像をご覧ください。花の中央に、白い飛び出したものがありますね(冒頭の画像には見えません)。それは、メシベです。花が開いてすぐには、メシベはオシベの中に隠れています。メシベの周りにある暗色のものが、オシベのヤクです。
今度は、花の中央からではなく、花びらの方から見てください。花びらの根本に、白い歯のようなものがぐるっと並んでいます(冒頭の画像では、青っぽい)。これが、副花冠です。
さらに、白いものが取り囲んでいます。その白いものには、紫の突起がついています。さて、これも副花冠なのかどうか。これは、調べましたがわかりませんでした。(これも、今後の課題といたします。)