カラスといちごとクロッカスと

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オカトラノオと、トラノオ一族たち

2022年09月03日 08時02分14秒 | サクラソウ科
2020.07.26撮影

これは、オカトラノオ(丘虎の尾 Lysimachia clethroides)です。小さい花がたくさん集まって房状に咲くのを「虎の尾」にたとえたものです。でも、この房は、「虎の尾」と言うより、「狸の尾」の方が近いと思うけど、「タヌキ」では気品がつかない、と言うのでしょうか。

タヌキ(Nyctereutes procyonoides)さんたちについてのおもしろいサイトがありましたので、ご紹介します。「東京タヌキ探検隊!」という、微笑みを誘うサイト名で、個人の方の経営ですが、たいへん真面目な研究です。

タヌキ? それともハクビシン? アライグマ?

タヌキさんのふさふさ尻尾を、ロープみたいなトラさんの尻尾と比べてみてください。

シベリアトラ(Panthera tigris altaica)

オカトラノオは、次のような感じで花が開いていきます。まず、茎に近い方が白く膨らんできます。この時点で、すでに房が垂れ下がりかけているのと、画像のように房が垂れ下がっていないのがあります。

2021.06.31撮影

次の画像の左側の背景にある花房3つは、ツボミの膨らみ具合が進んだもので、垂れ下がり方が大きくなってきます。画像中央の房は、茎に近い方(視覚的には「上」の方)が開花して、その部分が「狸の尻尾」に変化し始めます。

2021.07.08撮影

次のようになると、もう立派な尻尾の出来上がりです。

2020.07.26撮影

房の8割がたの花が開いたのを、斜め上から撮ったのが次の画像。花は、真っ白ではなく、オシベとメシベがピンクがかっています。英名 Gooseneck loosestrife で言うところの gooseneck「ガチョウの首」と言うのが、うなずけます。

2021.07.25撮影

「トラノオ」と名前につく植物は、かなりあります。

まず、オカトラノオ(Lysimachia clethroides)の属するサクラソウ科(Primulaceae)オカトラノオ属(Lysimachia)から拾うと、「丘」「沼」「沢」「野地」のように、生育しやすい地を表すと思われる修辞がつくのが多いようです。

* サクラソウ科(Primulaceae)オカトラノオ属(Lysimachia)
・オカトラノオ(丘虎の尾 Lysimachia clethroides)
・ヌマトラノオ(沼虎の尾 Lysimachia fortunei)
・サワトラノオ(沢虎の尾 Lysimachia leucantha)
・ノジトラノオ(野路虎の尾 Lysimachia barystachys)

次に、オオバコ科(Plantaginaceae)ルリトラノオ属(Veronica)。日本では、別名の「ニセオカトラノオ属」とも訳せる Pseudolysimachion で通っていることも多いようです。流通名は、ベロニカ。

* オオバコ科(Plantaginaceae)ルリトラノオ属(Veronica)
・ルリトラノオ(瑠璃虎の尾 Veronica subsessile)
・ハマトラノオ(浜虎の尾 Veronica sieboldianum)

ベロニカの「ハマ」トラノオと名前を読み違えそうな「ハナ」トラノオという花もあります。

* シソ科(Lamiaceae)ハナトラノオ属(Physostegia)
・ハナトラノオ(花虎の尾 Physostegia virginiana)別名、カクトラノオ(角虎の尾)

さらに、お互いに血縁関係のないこれら「トラノオ一族」には、タデ科(Polygonaceae)のイブキトラノオ属(Bistorta)の花々もあります。

* タデ科(Polygonaceae)イブキトラノオ属(Bistorta)
・イブキトラノオ(Bistorta officinalis)
・ハルトラノオ(Bistorta tenuicaulis )

「ハル」トラノオというのもあるんですね。

その他、挙げると、
・海藻のウミトラノオ(海虎の尾 Sargassum thunbergii)
・シダのトキワトラノオ(常磐虎の尾 Asplenium pekinense)
・観葉植物の流通名「トラノオ」(虎の尾 Dracaena trifasciata)

観葉植物の「トラノオ」は、葉に縞々が出ているのが命名の由来。別名、サンセベリア、あるいは、サンスベリア。

Dracaena trifasciata (旧学名 Sansevieria trifasciata)(画像)

以下は、オカトラノオが群れて茂っているところです。花は、2ヶ月以上咲いています。オカトラノオは、もと植えられたところからご自分で引っ越ししながら増えていきますので、植物を植えたところに管理しておきたい方は、お気をつけて。この群れも、この画像の左側の位置から、2メートルほどお引っ越しなさいました、20年ほどかけて、ですが。



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