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美形のフサフジウツギは、はびこる雑草

2022年08月04日 12時21分11秒 | ゴマノハグサ科
2021.07.31撮影

この小さな花の密集した房(フサ)は、フサフジウツギ(房藤空木)のものです。花が房「フサ」に咲く「フジウツギ」、ということでしょう。


クサフジウツギは、見た目も美しく、匂いも大変いいです。

学名 Buddleja davidii
英名 Butterfly bush「チョウチョウの茂み」
和名 フサフジウツギ(房藤空木)
流通名 ブッドレア
ゴマノハグサ科(Scrophulariaceae)フジウツギ属(Buddleja

英語で Butterfly bush「チョウチョウの茂み」と呼ばれるフサフジウツギは、チョウがミツを求めてやってきます。ハチも、ハチドリも、よく訪れます。


フサフジウツギの房は、下の方(茎に近い方)から順番に咲いていきます。房自体は、茎から上にか、斜め上にか、横に出ることが多いです。下の画像は、満開になる前のものです。この3メートルもの「大木」が咲き進むと、見事なものです。

2021.06.30撮影

「フサフジ」なんて言うのでフジと比べてみますと、フジ(属名 Wisteria)も茎に近い方から咲きますが、フジの房は垂れているので、見た目が上の方から咲くことになります。(冒頭の画像右側に見えているツルと葉っぱが、たまたまですが、フジです。)


フサフジウツギの花はフジよりも随分小さくて、フジが「マメの花」であるのに対し、フサフジウツギは、筒状の先端が「4弁」に分かれた形になっています。花の色は、フジと同様、紫系、ピンク系、白。

フジも芳香がありますが、フサフジウツギの匂いはもっと甘く強く、房をたくさんつけたフサフジウツギの庭は、また、ほんの少しでも窓を開けた屋内は、むせかえるほどにもなります。ベンズアルデヒドを成分に含む揮発性のある匂いなので、甘い匂いとは言え、すっきりした匂いです。でも、好き嫌いが分かれるかもしれません。


咲き終わった花は、すぐに茶色くなってしまい、ちょっと通りすがりに「袖」が振れてしまえば、タネを「降らせる」ことになってしまいます。下の画像は、フサフジウツギを植物の上方から撮ったものです。タネは、画像左上に写っています。この紫色がやや濃いフサフジウツギは、上2枚の画像(同一個体)とは別の個体です。うちには合計この植物が4本あります。

2022.08.04撮影

繁殖力、生命力、がすごいので、イギリス、アイルランド、ニュージーランド、などでは、「はびこる雑草」として嫌われています。アメリカ、カナダ、では、庭用に多く販売されていますが、地方自治体によっては、自然増殖させないように終わった花はタネとして落ちる前に切り捨てましょう、と奨励しています。

でも、やはり、花はきれいだし、ミツを求める鳥や昆虫のために必要、ということで、庭から取り除く人は少なく、代わりに繁殖力の低い園芸種も出回っています。

「房藤空木」の「空木(ウツギ)」は、というと、別に、ウノハナとも呼ばれるウツギ(Deutzia crenata)のように、茎が中空なわけではないんです。フサフジウツギは、幹や古い枝が木化して頑丈そうなんですが、花のつく若い枝は、簡単にポッキリと折れます。それを「空木のようだ」としたのでしょうか。また、花の房が多くついた枝は、花の房の重みで折れることもありますあ。

うちでは、枝が折れた時には、花ばさみが登場して、ついでに、他の枝も切り取って(なんといっても大量に咲くので)室内で楽しみます。いい匂いが家中に立ち込めますが、ほんの数日です。なぜなら、水あげが難しいんです。

フサフジウツギは、現在日本で、学名(Buddleja davidii)の属名から来た「ブッドレア」が流通名となっています。風流な名前が忘れ去られていくのでしょうか。



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