カラスといちごとクロッカスと

身の回りの鳥や小動物、庭の花や畑の野菜など、日々日々、季節季節の情報を、
個人の目をとおしてお届けします。

バイモにも〜〜

2022年12月22日 08時00分00秒 | ユリ科
2021.04.17撮影

バイモにも「ジャポニカ」があるんです。クサボケ(Chaenomeles japonica)、ヤマブキ(Kerria japonica)、ヤブツバキ(Camellia japonica)、だけではありません。

「ジャポニカ」なんていう植物

ツバキ? サザンカ?

冒頭の画像は、コバンユリです。

和名 コバンユリ(小判百合)
ユリ科(Liliaceae)バイモ属(Fritillaria
学名 Fritillaria meleagris「ホロホロチョウの(ような点々のついている)バイモ」
英名 Snake’s head「ヘビ頭」
別名 Checkered lily「市松・格子模様のユリ」
原産 ヨーロッパ、西アジア

ホロホロチョウ科(Numididae)

コバンユリは、「小判」だの「ホロホロ鳥(のような点々のついている)」だの「蛇」だの「市松・格子模様」だの、全然 japonica ではないのですが、そのうち、japonica のバイモ(Fritillaria)も出てきますので、しばらくの間、ご辛抱をお願いいたします。

2022.06.21撮影

全てのバイモ属の植物がそうなのか知りませんが、コバンユリ(Fritillaria meleagris)は、球根の分球からだけでなく、タネからも増えます。上の画像のようなサヤができて、そこからタネがこぼれます。サヤの中に、ペラペラした薄茶色のものが見えますね。それがタネをひとつずつ覆うセロハン紙のようなもので、その平たいタネ入りの袋が、サヤの下の方までぎっしり詰まっています。

自生地(ヨーロッパ、西アジア)の多くでは絶滅危惧種になっていますが、ヨーロッパやカナダでは、庭によく植えられます。「植物耐寒域区分(Plant Hardiness Zone)」は「4-8」なので、暖かいところでは育たず、バンクーバーあたりが生育の南限となります。

2022.05.13撮影

これもうちにあります。花びらが大変厚いです。

和名 クロユリ(黒百合)
ユリ科(Liliaceae)バイモ属(Fritillaria
学名 Fritillaria camschatcensis「カムチャツカのバイモ」
英名 Kamchatka fritillary「カムチャツカのバイモ」
別名 Chocolate lily「チョコレートのユリ」
原産 アジア北東部(ロシア極東地域、日本北部)、北アメリカ北西部

それで、クロユリの学名ですが、Fritillaria camschatcensis です。Fritillaria の部分は属名でバイモ属ですが、camschatcensis の部分は種小名で「カムチャツカの」という意味です。そうです、地名のカムチャツカです。japonica 以外の地名が種小名である、一例です。

カムチャツカ地方

コバンユリ(Fritillaria meleagris)とクロユリ(Fritillaria camschatcensis)は、和名に「バイモ」が出てきませんが、次の植物の和名には、「コバイモ」が現れます。

Fritillaria japonica
撮影者:Alpsdake
撮影日:2014.04.12
オリジナルからの改変、なし

和名 ミノコバイモ(美濃小貝母)「美濃国で発見されたコバイモ」
ユリ科(Liliaceae)バイモ属(Fritillaria
学名 Fritillaria japonica「日本のバイモ」
英名 ないもよう
固有 日本

これが、バイモ属の japonica です。日本の固有種なので、japonica と呼ばれて然りなんですが、それでも、ミノコバイモが他のバイモ属の日本固有種を押さえ、なぜ特に japonica と呼ぶに値する、とされたか、は、???です。西洋人によって一番最初に発見されたバイモなんでしょうか?

ミノコバイモ

Fritillaria koidzumiana(コシノコバイモ)
撮影者:Qwert1234
撮影日:2017.05.02
オリジナルからの改変、なし

以下のWikipedia記事から、日本国内の地名を和名に持つ種を拾い、その中で、学名に地名の入っているものに「*」の印をつけます。上の画像は、そのうちのコシノコバイモ(Fritillaria koidzumiana)です。和名には地名「越」が入っていますが、学名には入っていません。

日本でも、絶滅危惧種が多いんですね・・・中には、盗掘を恐れて、撮影地を明かさない撮影者もいるようです。

バイモ属

*ミノコバイモ(コバイモ)(Fritillaria japonica)【美濃】絶滅危惧II類
・イズモコバイモ(Fritillaria ayakoana)【出雲】絶滅危惧II類
*カイコバイモ(Fritillaria kaiensis)【甲斐】絶滅危惧IB類
・コシノコバイモ(Fritillaria koidzumiana)【越<越後】
・アワコバイモ(Fritillaria muraiana)【阿波】絶滅危惧II類
*トサコバイモ(Fritillaria shikokiana)【土佐】絶滅危惧II類
*トクシマコバイモ(Fritillaria × tokushimensis)【徳島】

最後のトクシマコバイモですが、Wikipediaの記事では、
> アワコバイモとトサコバイモの交雑種
とされ、学名は、交雑種の表示である「×」を使って、Fritillaria × tokushimensis となっています。

しかしながら、交雑種ではなく、独立の新種である、という記事もあります。

アワコバイモ・トサコバイモ・トクシマコバイモ
> トクシマコバイモ(徳島小貝母)
> 一見してアワコバイモとトサコバイモの中間型に見えますが、この花の生育地付近にはアワコバイモは見られず、トサコバイモも遠く離れた場所に生育しており、両種の雑種とは考えられない
> 2005年8月発行の英国王立キュー植物園発行の植物学会誌「ボタニカルマガジン」に紹介され、正式に新種として認められた

トクシマコバイモの写真
> トクシマコバイモは2005年に発見された新種(Naito2005)


コメント    この記事についてブログを書く
« ヤマブキも? | トップ | アセビはいいけど、マサキは? »

コメントを投稿