カラスといちごとクロッカスと

身の回りの鳥や小動物、庭の花や畑の野菜など、日々日々、季節季節の情報を、
個人の目をとおしてお届けします。

リヴィヌスのスミレ

2024年05月29日 08時00分00秒 | スミレ科
2022.05.13撮影(Viola riviniana

わたしの庭には、3種のスミレが長い間住んでいます。そのうちの1種、「ラブラドールのスミレ」、を前回ご紹介しました。原産地は、グリーンランドからカナダのラブラドールを経、アメリカの東部にかけた地域です。

今日は、冒頭画像のスミレをご紹介します。

学名 Viola riviniana 
英名 Common dog-violet
別名 Dog violet
和名 ヴィオラ・リヴィニアナ(学名から)

種小名の riviniana は、某ドイツ人植物学者への献名です。その人の名前をラテン語化したもの Rivinus を、さらに形容詞形 riviniana にしてあります。種小名は、必ず、形容詞で、属名とともに斜字体で書かれます。

今日のスミレは、前回の「ラブラドールのスミレ」という呼び方にならって、「リヴィヌスのスミレ」と呼ぶことにします。

「リヴィヌスのスミレ」の原産地は、文献によってやや異なるので、広めにとって、北西アフリカ〜ヨーロッパ〜西アジア、としておきます。

 
2024.04.30撮影Viola labradorica)     2024.04.30撮影Viola riviniana

左上の画像が「ラブラドールのスミレ」右上の画像と冒頭画像が「リヴィヌスのスミレ」です。花だけを見れば、「ラブラドールのスミレ」と「リヴィヌスのスミレ」は、色違いなだけじゃ? と思うぐらいですね。両者とも、側弁有毛だし、紫条も同じようだ。

リヴィヌスのスミレ」の画像をあちこちで見比べてみると、青紫〜赤紫〜ピンクのように色の幅があります。その第一の理由は、撮影条件の違いだとは思いますが、 Viola riviniana ‘Rosea’「バラ色の=ピンクの」という園芸種があり、他にも色の異なる園芸種があるのかもしれません。

それなら、「ラブラドールのスミレ」と「リヴィヌスのスミレ」を色で区別するのは、慎重にしなくてはなりません。

 
2024.05.03撮影Viola labradorica     2022.05.02撮影Viola riviniana

距(きょ)もご覧ください。花の後ろに突き出た、終わりが閉鎖された筒のようなものです。「ラブラドールのスミレ」も「リヴィヌスのスミレ」も、距は白いです。ますます異なるところはないような・・・

実は、「ラブラドールのスミレ」と「リヴィヌスのスミレ」は、あちこちで混同されています。インターネット上の記事を見ると、行けども行けども、そのような記事に出会います。あまりにひどいので、リンクしません。

「ラブラドールのスミレ」を「リヴィヌスのスミレ」と呼んでいる場合
「ラブラドールのスミレ」は青紫っぽく、「リヴィヌスのスミレ」は赤っぽいです。青紫のものを赤紫のものの名前で呼ぶので、ご丁寧に、Viola riviniana 'Purpurea'「紫のリヴィヌスのスミレ」とまで色を指定している場合があります。

「リヴィヌスのスミレ」を「ラブラドールのスミレ」と呼んでいる場合
でも、園芸店へ行くと、たいていは、反対なんです。「リヴィヌスのスミレ」を「ラブラドールのスミレ」と呼んで売っています。なぜ? 「リヴィヌス」という訳のわからない名称より、「ラブラドール」の方が、馴染みやすい? 夢がある? ロマンチック???

なぜこんなに混同される? 単に、花がそっくりだから?

姿が先なのか、名称が先なのか、わからないのですが、なんと、「ラブラドールのスミレ」も「リヴィヌスのスミレ」も(そして、他の数種のスミレも)、英語では、Dog violet「イヌ・スミレ」と呼ばれるんです!!!

大体、英語でも日本語でも、「役に立たない、有用でない、取るに足りない、ニセモノの」植物を「イヌ」と冠して命名する傾向にあり、なぜこのようなかわいい花が「イヌ」???


 
2024.04.29撮影Viola labradorica     2023.05.21撮影Viola riviniana

決定的に違うところを見てみます。葉です。

「ラブラドールのスミレ」の葉は「黒い」です。でも、「リヴィヌスのスミレ」の葉は、きれいなみどり。(なお、左上の画像中、ふちがギザギザの大きい葉は、ヘレボルス・アルグティフォリウス Helleborus argutifolius のものです。)

ですから、葉っぱがみどりの「リヴィヌスのスミレ」を、葉っぱが黒い「ラブラドールのスミレ」と偽って売れる理由がわからない。つまり、「ラブラドールのスミレ」の葉は黒い、ということを隠しているということだ。いやあ、その黒い葉が魅力なのだが。

 
2022.04.20撮影Viola labradorica     2021.04.18撮影Viola riviniana

文句たらたらで失礼いたしました。



コメント (4)    この記事についてブログを書く
« ラブラドールのスミレ | トップ | スカブラ・スミレ »

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (190333inuneko)
2024-05-29 08:25:00
私も少しスミレ育ててます、我が家の品種は「ど根性スミレ」冗談ですが、道路に生えてるのを植え替えました。
返信する
Unknown (marusan_slate)
2024-05-29 14:26:24
こんにちは🌞
スミレ、
とっても綺麗ですね(*^▽^*)
美しい花々に癒されて。
日本でもたくさんの花に
癒されてほしいです☺️
ステキな一日を☆★☆
テル
返信する
inunekkoさんへの返信 (flowerconnection)
2024-05-31 07:02:26
「ど根性スミレ」、言えてます。実家のスミレが目に浮かびました。
返信する
テルさんへの返信 (flowerconnection)
2024-05-31 07:05:42
スミレは、晩春の野草としても、園芸種としても、きれいですよね。実家の父など、あちこちに増殖したのを大事にしています。
返信する

コメントを投稿