カラスといちごとクロッカスと

身の回りの鳥や小動物、庭の花や畑の野菜など、日々日々、季節季節の情報を、
個人の目をとおしてお届けします。

シーモア山に冬がやってきた

2022年12月17日 08時00分00秒 | カナダ
2006.02.08撮影

この画像は、ちゃんと記録には取っていないのですが、多分、シーモア山(Mount Seymour)の、スキー場入り口の駐車場から、やや登った辺りで、北に見える山を撮影したものだと思います。この頂の見える山が、シーモア山の一部かどうかは、知りません。

シーモア山についてのご紹介は、コトバンクの説明と、バンクーバーの地元日系新聞である「バンクーバー新報」の記事に任せることにします。


マウントシーモア
バンクーバー新報

バンクーバーも、他の北米の都市と同じく、道が、大体、東西、南北、に走っています。と言っても、あるはずの道が途中で途切れていたり、時々斜めに走っている道があったり、特に住宅地では曲線の道もあります。そうすると迷うわけですが(こら、迷う常習犯は、だれだ)、その時バンクーバーで言われていること。

山を探しなさい、その山のある方角が北。これ、絶対間違いなし。

これ、ホントなんですよ。西方向は、上がり下がりはあっても、太平洋に向かってなだらかに上がっていって絶壁になるか、下りていって浜辺になるのみ。南方向は、南接しているリッチモンド市(Richmond)に向かって、ひたすらなだらかに下りていくのみ。東方向へは、大陸の内部に向かってなだらかに上がっていくのみ。山があるのは、北方向だけ。

そのバンクーバーの北方向にある山は、バンクーバー市とフィヨルドのバラード入り江(Burrard Inlet)を挟んで北側にある、ノースバンクーバー、ウエストバンクーバーに立つ山々。町に近い方の山は、夏はハイキング場、冬はスキー場として知られます。


バンクーバーでは、この北の山が雪化粧した、というのが、冬がこれからやってくる、という第一報になります。そして、雪の線がだんだん下りてくるのを見るわけです。(冒頭画像は、2月の撮影です。)

画像に写っている木は、種類が何かは、具体的にはわたしにはよくわかりませんが、モミ(Abies)やヒマラヤスギ(Cedrus)やツガ(Tsuga)が多く自生しています。

ツガ(Tsuga)は、日本語の「ツガ」が学名に使われているんですよね! 画像真ん中から左2本ほどが、ツガ(Tsuga)でも、特に、アメリカツガ(Tsuga heterophylla)だと思います。

ブリティッシュ・コロンビア州(BC州)に原産する木は、40種以上あるそうです。BC州は、そして、針葉樹から取る木材生産高では、北米第一位です。

BC’s tree species「BC州の木の種」

シーモア山では、冬場、スキー、スノーボード、スノーチュービング、の他に、スノーシューズ(カンジキ)を履いての雪上歩きも楽しむことができます。ガイドさんがついて、木について教えてくれるコースもあります。わたしも参加したことがあります。

スノーシューズって、歩きにくいんですよね。ガニ股で歩くんです。

以下のスノーシューズは、わたしの持っているのより物が良さそうだ・・・

パブリックドメイン

夏にシーモア山に行けば、野生のブルーベリーを見ることができます。わたしは、野生のクマさんのために置いておくべき野生のブルーベリーを摘んで、食べちゃって、恥ずかしいことをしてしまったことがあります。

そのことについては、以下の記事で書きました。クマさんたち、反省していますので、許してください。


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耐寒性があると言ってもねえ

2022年12月16日 08時00分00秒 | ガーデニング
Ministry of Natural Resources Canada(カナダ天然資源省)

「耐寒性があると言ってもねえ」なんて題なのに、なんで色つきの地図が出てくるのか?? と疑問の方、申し訳ございません、しばらくこの地図とお付き合いください。

上の地図は、カナダの「植物耐寒域区分」です。(著作権はカナダ天然資源省に属するのですが、あまりにも多くの人や団体が無断転載をしているので、わたしもそれに倣うことにします。ただし、わたしは、出典を明記します。)

アメリカやカナダやメキシコでは、「植物耐寒域区分(Plant Hardiness Zone)」の番号を、植物生育条件の目安としてよく使います。

植物屋さんで植物を買えば、ラベルに「耐寒区分」の番号が大抵ついています。この番号がついていなければ、一年草であるか、「一年草」として扱えと言うことか、あるいは、そんなことも気にかけない生産者の安物植物(こういうのは、うまく生育しない)です。

今までわたしが書いてきたブログ記事では、説明の簡略化のために、「植物耐寒域区分(Plant Hardiness Zone)」はアメリカ合衆国農務省(USDA)が出したものだ、としてきました。

しかし、カナダでは、現在、アメリカ合衆国農務省(USDA)の区分を「卒業」した区分が使われます。

アメリカの区分は大変単純で、「平均的な冬の最低気温」に基づいて、華氏10°ずつ数字で、また、「a」「b」でその華氏10°を半分の華氏5°に、地域を区切っています。

一方、カナダの区分は、

・年で一番寒い月の、日毎の最低気温を平均したもの
・年で一番暖かい月の、日毎の最高気温を平均したもの
・霜の降りていない(=気温が摂氏0°以上にとどまる)日数の平均
・6月から11月までの降雨量
・「冬因子」と呼ばれる、1月の気温と降雨・降雪量から計算したもの
・最も深い積雪深度
・過去30年間の間の最速の風速

の7つの変項を計算に入れて割り出されます。

The Differences Between US and Canadian
Plant Hardiness Zones(英文+地図)

上の地図は、このカナダ独自の区分に基づいたカナダの「植物耐寒域区分」。地図の右端に色分けして、上から「0a」「0b」「1a」・・・「8a」「8b」「9a」と区分が並んでいます。小さい数字が寒いところ、「a」と「b」では、「a」の方が寒いところです。

次の地図は、上の地図からブリティッシュ・コロンビア州を取り出したものです。(これも多くのみなさまに倣い、無断転載します。ただし、わたしは、出典は記します。)

Ministry of Natural Resources Canada(カナダ天然資源省)

カナダで一番暖かいのは、バンクーバーを含む、赤く色分けされている南部西海岸です(北部の方で、突如として破線で陸地が切れているところは、海岸線ではなく、アメリカ領のアラスカとの国境です)。内陸部にも、部分的に暖かいところがあります。

ここ数年で、バンクーバーの耐寒域区分は、「7b」から「8b」に変わりました。これが何を意味するか、というと、耐寒温度が、華氏10°上がって、今まで寒すぎて育てられなかった植物が育てられるはずだ、ということです。

例えば、キンモクセイ(Osmanthus fragrans var. aurantiacus)なんかが育てられるんじゃないか・・・というようなこと。

キンモクセイ

では、具体的に、「7b」「8b」だと、耐寒気温は、何度(摂氏)なのか。

「7b」-15.0°〜 -12.2°
「8a」-12.2°〜 9.4°
「8b」-9.4°〜 -6.7°

なんで、こんなヘンテコリンな気温の区切り方? それは、元々がアメリカの華氏に基づいているからです。カナダは摂氏。カナダが独自のことをするには、アメリカ発祥のものには「長い物には巻かれろ」式でやらないとできない・・・。それと、「植物耐寒域区分」には、アメリカとカナダである程度の相互互換性を持たせておかなくては、意味が分からなくなる。

でもねえ、この耐寒域区分、スパッと行くものでもない。

なんと言っても、
・年で一番寒い月の、日毎の最低気温を平均したもの
が重要項目なので、
・数日極寒に襲われる
という場合が計算に入っていない。

2021.12.08撮影

うちにはサザンカ(Camellia sasanqua)があります。サザンカの耐寒域区分は、「7」「8」「9」。ですから、うちの庭では、サザンカはちゃんと咲くはず。

Camellia sasanqua(英文+画像)

去年の12月初めには、うちのサザンカは、上の画像のようにツボミをふくらませていました。

ところが、それから3週間ほど後に、記録的な寒波(-16°)が襲い、積雪が何日も続き、このサザンカも含めて植物は雪に埋もれたまま。

わたしは考えたんですね。雪を払うべきか、払わざるべきか。雪を払えば、植物が気温にさらされて「体温」が下がるのではないか、払わなければ、植物の「体温」は0°にとどまるのではないか、、、それなら、払わないほうがマシ、と払わない方を選びました。

上の画像のツボミは、雪に埋もれる前に咲いたんです。でも、まだふくらんでいなかったサザンカのツボミは、みんな凍って、そして、気温が上がってきてから、「解凍」して、ぐじゃぐじゃ、、、泣、泣、泣〜〜

つまり、耐寒性があると言ってもねえ、ということになるのです。

以下の記事に、バンクーバーの記録的最低気温の表があります。よろしければ、ご覧になってください。

Vancouver – Lowest Temperature for Each Year(英文+表)

1990年以降の年毎の、-11°以下の最低気温を拾っておきます。

1990.12.29 (-14)
1992.12.31 (-11)
1996.12.26 (-13)
2004.01.04 (-12)
2006.11.28 (-12)
2008.12.20 (-15)
2021.12.27 (-16)

こんなに低い気温が数日続くことがあるんです、雪がちらほらし出したら、さっさと職場放棄して家に帰ってしまう人々の住むバンクーバーで。

バンクーバーは、暖かいと言えば暖かい、寒いと言えば寒い、というようなところであります。わたしは、寒波の中、水道管が凍って水が出ない、というのも経験したことがあります。涙

日本の寒い地方にお住まいのみなさま、取るに足らない愚痴を聞かせて、申し訳ございませんでした。

バンクーバーは、実は、冬の雪よりも、冬の長雨の方が有名です。以下は、長雨で花びらが傷んでしまったサザンカの花(特に、右側2枚)。このバンクーバーの長雨については、いずれの時にか書きます。

2020.12.24撮影

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バンクーバーの雪事情とカラス

2022年12月15日 07時55分32秒 | 気温、天気、天候、気候
2021.12.30撮影

>> モミジバフウの止まり木に止まるカラス(アメリカガラス)<<

この画像は、雪のたくさん降った去年の年末のもの。この程度が、バンクーバーでは「たくさん降った」に当たります。

バンクーバーでは、雪がちらほら舞い出すと、人々はそわそわとし出します。職場にいなくてもいい人(=自分で、帰る、という選択ができる人)は、帰り支度を始めて、あっという間にいなくなってしまいます。

時間で仕事をしている人には、上司から帰宅の許可が出ることがあります。そりゃ出るよね、上司も、部下を先に帰しといて、自分が帰りたいのだから。すると、車がどっと道に出てきて、大混雑が起こり、それが、事故に直結します。

いつだったか、確か法律が変わって、雪の中をスノータイヤをつけるかチェーンを巻かないと運転してはいけないことになったはずなんですが、まだまだ守らない人がいます。

スノータイヤをつけている人は少なく、オールシーズンで間に合わせよう、もっとひどいのは、夏のタイヤでなんのその、という人たちが車を転がして(これ、掛け言葉のつもり)、危ないんですよ。

そういう危ない人たちのおかげで道がふさがり、わたしは、普段なら、職場から家まで20分で走るところを、4時間かかったことがあります。

2021.12.30撮影

>> 雪の中のカラスさん。前に自分で埋めて隠してあった食料品を、探しているもよう。<<

さて、そのバンクーバーで雪が降ったらどうなるか、ですが、上の画像ぐらい降ると、あっと言う間に公共の交通機関が止まります。

そのぐらいになると、家路を急いですでに繰り出していた車が、雪で走れなくなり、あちこちで路上に放置されます。車を降りた人は、ゾロゾロと歩くことに。そんなふうに止められた車には、のちに速やかに回収すれば、一時停止禁止、駐車禁止、の場所であっても、交通切符が切られません。

まだ車に乗って頑張っている人々は、一旦停止の交差点では、一旦停止をせずに走るようになります。なぜなら、停止しようとすると、回転する可能性があり、衝突の原因となるから。これも切符は切られないそうですよ〜〜

信じられない? いや、これ、全部ホントです。少なくとも、わたしが見聞きしていること。

バンクーバーは、カナダ中のもの笑のタネなんです、雪に関しては。あれっぽっちで、何をオタオタしているんだ、と。

2021.12.30撮影

>> なんか見つけたかな? カラスさん。<<

バンクーバー市でも、交通が止まる前に、雪かき車を出して路上の雪かきをします。でも、なんと言っても雪かき車の保有台数が少ない。それで、雪が積もるのに追いつかない。そんなことをしているうちに、放置された車が道路脇を防ぐようになり、雪かき車による雪かきが困難になる。

また、雪かきは主要道路を優先してする(当たり前ですが)ので、住宅地の雪は何日も残ったままになり、気温がゆるんで雪と氷が溶けるのを待つばかり。中途半端に気温が上がると、また凍って危ない。

それでも、住宅地の車道のうち、比較的交通量が多い道は、住民の車が通るのでなんとか「雪かき」ができた状態になります。でも、轍(わだち)ができるし、凍っているところがあるので、危ない。

家の裏と、裏の家の裏、の間の路地になると、悲惨な状況になります。車を、路地に面した車庫から出そうと思ったら、まず、自分の労力を使って雪かきから始めなくてはなりません。こういうときに外にすでに出ている人がいれば、協力しにすっ飛んできます。

雪が降れば、バンクーバーでは人々がお互いに優しくなります。うん。

2021.12.30撮影

>> カラスさん、あると思ったところに溜め込んだのが見つからなくて、
どこに入れ込んだか考えている? <<

それより、バンクーバー市の条例で、規則があって、一戸建てに住んでいる人は、朝の9時までだったっけ、に、家の前の歩道の雪かきをする義務があるんですよ〜〜〜。

人手がある家はいいのですが、お年寄りがひとりで住んでいるお家とかは、子どもや孫や親戚に来てやってもらうとか、隣近所に頼るとか、だれかを雇うとか、になります。だれかを雇うと出費で、年金で生活している人には苦しいと思います。

2021.12.30撮影

>> えと、あそこだったかな? と思っているところ?
雪が積もっているから、目印がなくなっちゃったよね。<<

そして、敷地内の玄関につづく敷石などを除雪して、塩とか砂とかまいておかないと、郵便屋さんも配達の人も入ってきてくれません。もし何かが届くのを待っているとしたら、困ったことになります。

うちは、毎年、塩や砂を買っておこうと思うのですが、忘れます。でも、ここ数年なんとかやってこられました。それは、ひとえに、2軒向こうのご近所が恵んでくれた塩があったからです。ある雪の日、これ、要る? と言って、持ってきてくれました。いいご近所は持つものですね。

今年こそ塩を買おうと思って、雪が降ったので買いに行ったところ、売り切れ。でも、雪が溶けたころには再入荷していて、買うことができました。10キロ買いましたの。これが小さい方の袋。

2021.12.30撮影

>> ここかな〜? よっしゃあ。<<

バンクーバーでは、雪が降ると、テレビやラジオ、新聞、インターネット、などで、鳥にエサをやるように促されます。なぜなら、この辺に住んでいる鳥は、人間と同じで雪に慣れていないので、雪の中でどうエサを取っていいかわからないからです。

説明によると、雪にエサが埋もれて、給餌行動ができないのだそうです。こういう情報が流れると、多くの市民が、鳥に手持ちのものを与えます。普段から鳥のエサを庭に置いてあるお家も多いです。

なお、バンクーバーでも、数年に数回(1年に1回、とか、毎年数回、とか、規則的なものではなく)、何日も積もったままのことがあります。そうなると、町中、シン、となります。

以下、次のサイトに書かれている記録から、1989年以降の年毎の、15.0センチ以上の積雪を拾っておきます。


1989.02.17 (18.8 cm)
1990.12.30 (30.0 cm)
1991.01.07 (18.8 cm)
1992.12.19 (18.3 cm)
1996.12.29 (40.9 cm)
1998.12.24 (20.6 cm)
2002.01.27 (21.6 cm)
2006.11.26 (18.3 cm)
2008.12.24 (26.9 cm)
2012.12.10 (19.8 cm)
2021.12.30 (19.1 cm)

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リンゴをかじったのは、だれだ

2022年12月14日 05時05分32秒 | 動物
2022.12.02撮影

日本からカナダへ帰ってきて、まず最初にしたことのひとつは、リンゴがどうなっているか見ること。

うちでは、台所から出る生ゴミ(植物性のもののみ)はコンポストにします。コンポスト用の容器も外にあるのですが、めんどうくさいので、野菜畑に放り投げてあります。

とうもろこしの軸を出してあると、何らかの動物が触った形跡が観察できます。でも、人間様が1粒残らず食べた後なので、食べられるところは何もないよ。

バナナの皮などは匂いに引かれるのか、食いついてみるのか、とんでもないところに移動させられたりします。でも、バナナの皮も食べられないっしょ? というか、食べるほどの価値はないでしょ?

でも、野菜クズは、見向きもされません。(お野菜食べないと、体に悪いよ。あはは)

お目当てかもしれない動物性のものは、元からありません。

甘いバナナの皮やトウモロコシの軸に興味を持つのだから、リンゴの皮なら食べるだろう、と思いきや、全然食べない。それなら、果肉のしっかりついたリンゴなら飛びつくだろう、と思っておりました。

ところが、リンゴを出しておいても、だれも見向きもしない(と、少なくとも、わたしは思っていた)。何日経っても、何週間経っても、、、挙句は、数ヶ月経ってしまいました、日本からカナダに帰ってきたころには。

リンゴはどうなっている? えっ、1個はほぼ完食、2個目も確かにかぶりつかれていました。いや、これ、かぶりついたのではなく、ちっちゃいお口で何度もかじったんだろう。でも、一体だれが。

画像のリンゴはその2個目の方なんですが、撮影は、雪が降って溶けかけた時にしました。(雪がお見苦しいところを隠しているので、好都合。)

それでも、雪が溶けてしまった今も、まだ数個残っているまま。

このリンゴはねえ、アライグマさんたち一家は無視したのよ。下の画像は、お子さんたちがまだあどけないころの写真。最近見た時には、同じマットの上で、どっかと居座っておりました。ふん、可愛げがなくなったね、君たち。

2022.10.09撮影

アライグマさん一家の訪問、後記

この一家は、メロンはパクパク食べた。でも、リンゴには手をつけなかった。(アライグマは、手も器用だから、手で持ちながら食べたであろう、だから「手」をつけなかった。)

でも、まだ暖かかった当時と、寒くなった今とでは、食糧事情が違って、ついにリンゴも食べた? でも、リンゴを食べるなら、一家全員が食べて、リンゴは一斉になくなるか、全てがかじられている、と思う、今年の子どもがまだお母ちゃんと集団で移動しているようなので。1個や2個にだけ(手と)口がつけられているのはおかしい。

じゃあ、だれよ、リンゴを食べたのは。

この方(次の画像)だと思われます。

ふさふさシッポ。これは、後ろから撮影した御姿でありまする。撮影日であるバンクーバーの6月は、日本の梅雨の季節と違って、のどかでよろしいなあ〜〜

2022.06.08撮影

この動物さんがうちの庭やご近所の庭を行き来しているのは知っているんです。大体は暗い時間帯で、このように昼間に見かけることは滅多にありません。

この動物さんが徘徊すると、窓が開いている時なら、通った、とわかります。2階にいてもわかります。音じゃないんです。臭いです(「におい」の漢字の選択にご注目ください!)。

噴射しなくても、臭うんですよ〜〜。あんまり近づかない方がいいです。

次の画像は体が横向きなので、もっとわかりやすいですか。シッポが上がったままで、向きとしては、頭が右下です。

2022.06.08撮影

これは、背中に2本縞の入るスカンクです。

和名 シマスカンク
スカンク科(Mephitidae)スカンク属(Mephitis)
学名 Mephitis mephitis
英名 Striped skunk「縞入りスカンク」
原産 北アメリカ(カナダ南部、アメリカ合衆国、メキシコ北部)

以下で、その2本の縞をお確かめください。

シマスカンク
撮影日:2008.01.
Mephitis (genus) - Wikipedia

Mephitis (genus) - Wikipedia

 

オリジナルからの改変、なし

このスカンクさんが、10月のもう真っ暗になったある夜、わたしがコンポストを出しに行くと、リンゴ辺りから急ぎ足で逃げていきました。シッポを水平にして、土地になるべく這いつくばったような姿勢で。そのころは、植物が茂っていたので、行く手はわからずじまい。

これがもしアライグマさんなら、興味津々で、頭を上げてこちらを見てきたでしょう。視力が良くないので、こちらをじとっと見つめるんですよ。逃げたりしない。

今までの観察をまとめてみると、
・リンゴはアライグマ一家が食べたようでない
・スカンクが少なくとも1匹がコンポストに陣取っていた
・球根が掘り上げられていたのもスカンクの仕業かもしれない
・スカンクはいずれにしても庭に出入りしている
・アライグマなら逃げない
ということで、このリンゴをお召し上がりになったのは、スカンクさんの可能性が高いと思います。かじられ方から見ても、口の大きさに合致して、納得が行く。

最後に言い訳をさせてください。わたしはリンゴを生で食べるのは好きじゃないんです。でも、キウイの追熟に必要なのと、そして、時々思うんですね、好き嫌いせずに食べてみよう、と。それでいくつか買うんですが、たいてい食べないままで終わってしまい、コンポスト行きとなります。反省します。キウイの追熟用以外には買わないようにしないといけません。

今回のリンゴは、ピンク・レイディ(Pink Lady)でした。ピンク・レイディ(英語の発音に、なるべく近く書きました)ですよ〜〜。「ピンク・レディー」なんて二人組を知っている人、はい、手を挙げて。この栽培種、ピンク・レイディ、は小ぶりでカリカリしています。おいしいですよ、、、とほとんど食べないわたしが言うのも変だが・・・


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ナンテン、ヒイラギナンテン

2022年12月13日 06時40分08秒 | メギ科
ナンテン
撮影者:Forest & Kim Starr
撮影日:2007.06.21
オリジナルからの改変、なし

Wikipedia日本語版に、ナンテンの、花も、実も、葉も、姿もあまりにも美しく写っている画像がありましたので、手持ちの画像もない、ということで、拝借してきました。

ここ数日、「モクセイ」と「ヒイラギ」の名称の絡みを解くのに努めてきました。今日は、その最終日で、これに「ナンテン」を加えます。

ナンテンの姿は、モクセイ、ヒイラギ、セイヨウヒイラギ、とは明らかに異なるのですが、ヒイラギナンテンと呼ばれる、「ヒイラギ」という名前を冠し、かつ、葉の形がヒイラギにやや似ている植物があるので、ナンテンまで話を拡大しようと思います。

和名 ナンテン(南天)
メギ科(Berberidaceae)ナンテン属(Nandina)
学名 Nandina domestica
英名 Nandiana「南天」
別名 Heavenly bamboo「天の竹」
別名 Sacred bamboo「神聖な竹」
中名 南天竹
原産 東アジア(ヒマラヤから日本にかけて)

ナンテン

Wikipedia英語版には、学名の Nandina というのは、日本語の「南天(Nanten)」から来ている、と書いてありますが、中国語名の「南天竹(Nantianzhu)」の「南天(Nantian)」からである可能性もある、とわたしは思っています。

中国名「南天竹」に現れる「竹」、また、英名「Heavenly bamboo」に現れる bamboo(竹)は、ナンテンの軸が重なり合っていく形状を、タケの「節(ふし)」に見立てたものでしょうか。

Nandina(英文+画像)

さて、ナンテン(Nandina domestica)もですが、ヒイラギナンテン(Mahonica japonica)も、手持ちの画像がありません。でも、近縁種の「オレゴンの」ヒイラギナンテン(Mahonia aquifolium)の画像はありますので、こういう感じだ、ということで、それをご覧ください。

和名 (オレゴンの)ヒイラギナンテン(柊南天)
Berberidaceae(メギ科)Mahonia(ヒイラギナンテン属)
学名 Mahonia aquifolium
英名 Oregon grape「オレゴンのブドウ」

2022.08.20撮影(雨に打たれた「オレゴンの」ヒイラギナンテン)

葉は、濃緑色で、表面に光沢があり、縁に鋭いトゲがある、という点は、ヒイラギと似ています。ただ、ヒイラギの葉は、直接枝から出てくるのに対し、「オレゴンの」ヒイラギナンテンの葉は、葉柄に対生してついています。

2022.05.02撮影(「オレゴンの」ヒイラギナンテン)

花は、というと、「オレゴンの」ヒイラギナンテンとヒイラギには、特に緊密な類似点はありません。なお、うちの「オレゴンの」ヒイラギナンテンの花は、葉が画像中のように若葉のうちに咲き出します。

2022.09.09撮影(「オレゴンの」ヒイラギナンテン)

実は、どうでしょう。全然違います。

「オレゴンの」ヒイラギナンテン(Mahonia aquifolium)と、日本のヒイラギナンテン(Mahonica japonica)は、よく似ているのですが、念のために、日本のヒイラギナンテン(Mahonica japonica)の様子を、以下のサイトなどもご覧になって、お確かめください。

ヒイラギナンテン/ひいらぎなんてん/柊南天

そこには、
> 葉はナンテンのように枝垂れ、ヒイラギのような棘がある
とあります。(ナンテンの葉って、多くは上を向いているんじゃ?)

ヒイラギナンテン

この2番目のサイトには、
> 葉がヒイラギに、果実がナンテンに似ることから名がつきました。
と書かれています。(果実の色が全く違うけど。)

ヒイラギナンテンが日本語でなぜ「ヒイラギナンテン」と呼ばれるかの説明としては、どちらの説明も苦しいとは思います。

なお、ヒイラギナンテンの学術的分類は、次のように変わりました。
【古い分類】メギ科 メギ属 Berberis japonica
【新しい分類】メギ科 ヒイラギナンテン属 Mahonia japonica

でも、どちらの分類であっても、ヒイラギナンテンは、ナンテンと同じく、メギ科(Berberidaceae)に属し、種小名は japonica(日本の)です。異なるのは、属の分類が再編成されただけ。

「オレゴンの」ヒイラギナンテン(Mahonia aquifolium)に関しては、過去にふたつ記事を書きました。よろしければ、ご覧ください。

アメリカ、オレゴン州のブドウです

アメリカ、オレゴン州の州花です

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ヒイラギ、セイヨウヒイラギ

2022年12月12日 07時19分00秒 | 樹木
赤い実をつけるセイヨウヒイラギ
パブリックドメイン

冒頭の画像は、セイヨウヒイラギです。ヒイラギではありません。和名で言うと、セイヨウヒイラギはヒイラギの一種だ、と感じてしまいますが、セイヨウヒイラギとヒイラギは、系統の異なる植物です。

セイヨウヒイラギについて、念のために、科と属だけでなく、科のもうひとつ上の分類である目(もく)まで書いておきます。

和名 セイヨウヒイラギ(西洋柊)
ニシキギ目(Celastrales)モチノキ科(Aquifoliaceae)モチノキ属(Ilex)
学名 Ilex aquifolium
英名 Holly
原産 西部ヨーロッパ、南部ヨーロッパ、北西アフリカ、南西アジア

セイヨウヒイラギ

Holly(英文+画像)

ヒイラギについては、昨日の記事をご覧ください。

ヒイラギ、ヒイラギモクセイ

ヒイラギ

ヒイラギ
撮影者:KENPEI
撮影日:2006.11.16
オリジナルからの改変、なし

ヒイラギ(左)とセイヨウヒイラギ(右)を左右に突きあわせて、比べてみます。

名称、原産
和名: ヒイラギ(柊)・・・・・・セイヨウヒイラギ(西洋柊)
目名: シソ目(Lamiales)・・・・ニシキギ目(Celastrales)
科名: モクセイ科(Oleaceae)・・モチノキ科(Aquifoliaceae)
属名: モクセイ属(Osmanthus)・モチノキ属(Ilex)
学名: Osmanthus heterophyllus・・Ilex aquifolium
英名: False holly・・・・・・・・・Holly
原産: 台湾、日本・・・・・・・・主に、西部、南部、ヨーロッパ

これを見てみると、日本では、和名として Osmanthus heterophyllus を指す「ヒイラギ」がまず名称として存在し、その後、Ilex aquifolium が日本に紹介されて「セイヨウヒイラギ」と命名されたたことになります。

その反対に、英語では、古代のローマの時代から親しまれてきた Ilex aquifolium(セイヨウヒイラギ)を指す「Holly」がまず名称としてあり、その後、日本などから移入された Osmanthus heterophyllus(ヒイラギ)を表す名称が「False holly(偽のホリー)」となったことがわかります。

さらに特徴を比べてみます。冒頭の画像(セイヨウヒイラギ)と、2番目の画像(ヒイラギ)で、葉をご観察ください。

葉は、両者とも、大変よく似ています。異なるのは、葉のつき方ぐらいです。

葉の共通の特徴
落葉: 常緑
色:  濃緑色
表面: 光沢がある
トゲ: 縁に鋭いトゲがある(古い葉では、減る)

葉の異なる特徴
つき方:対生(ヒイラギ)・・・・・・互生(セイヨウヒイラギ)

では、花はどうでしょうか。次は、セイヨウヒイラギ(英語で Holly)の花です。この画像(セイヨウヒイラギ)と、上の画像(ヒイラギ)で、花をお比べください。

セイヨウヒイラギの花
撮影者:Tigerente
オリジナルからの改変、なし

花の特徴
和名: ヒイラギ(柊)・・・・・・・セイヨウヒイラギ(西洋柊)
雌雄: ・・・・・・・・・異株・・・・・・・・・・
花びら:反り返る・・・・・・・・・・反り返らない
色:  白・・・・・・・・・・・・・緑っぽい白
匂い: 芳香がある・・・・・・・・・気づかれるほどの匂いはない

Wikipedia英語版の Holly の記事には、セイヨウヒイラギの花は inconspicuous である、と書かれています。この英単語は「簡単には気づかれない」という意味で、白や緑や茶色の小さく、あまり魅力的でない花を形容するのによく使われます。つまり、鑑賞価値から言うと「どーでもいい」花について、こう述べられます。

ということは、いい匂いもしない、と結論せざるを得ない。実際、「ホリー」の花の匂いなんか嗅いだことがない、「ホリー」はその辺にたくさん植わっているんですが。と言うか、「ホリー」は実生で結構生えてくるんです。鳥さんの活動のおかげです。

最後に、その実を比べてみます。

ヒイラギの実は、次のサイトにはっきりした画像が挙がっています。上から7番目の画像です。無断で転載できませんので、どうか、お出かけになって、ご覧くださいませ。

ヒイラギ

> 雌木についたヒイラギの実
> 黒紫色が美しい(ちゆきさん撮影、2005.6)

そして、このヒイラギの、黒紫の実を、次のセイヨウヒイラギの赤い実とお比べください。

セイヨウヒイラギ
撮影者:4028mdk09
撮影日:2009.12.17
オリジナルからの改変、なし

結局、セイヨウヒイラギ(Ilex aquifolium)が「ヒイラギ」と呼ばれるのは、ヒイラギ(Osmanthus heterophyllus)の葉と類似の葉を持っている、という理由から。大きな違いは、ヒイラギは、その花の匂いで知られ、セイヨウヒイラギは、赤い実つきの常緑の枝が冬場を彩る、ということでしょう。

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ヒイラギ、ヒイラギモクセイ

2022年12月11日 10時59分58秒 | 樹木
ヒイラギ
撮影者:KENPEI
撮影日:2006.11.16
オリジナルからの改変、なし

今日は、ヒイラギとヒイラギモクセイについて書きます。ヒイラギもヒイラギモクセイ
も、モクセイ(ギンモクセイ)とキンモクセイと同じように、モクセイ科モクセイ属の植物です。

なんか、植物の名前を並べただけで、目がクラクラしちゃいました。

和名 ヒイラギ(柊)
モクセイ科(Oleaceae)モクセイ属(Osmanthus)
学名 Osmanthus heterophyllus
英名 Holly olive
別名 False holly
原産 台湾、日本(沖縄、九州、四国、関東地方以西の本州)

ヒイラギ

ヒイラギ(冒頭の画像)によく似たのが、ヒイラギモクセイ(次の画像)。

ヒイラギモクセイ
撮影者:Qwert1234
撮影日:2012.10.13
オリジナルからの改変、なし

和名 ヒイラギモクセイ(柊木犀)
モクセイ科(Oleaceae)モクセイ属(Osmanthus)
学名 Osmanthus x fortune

学名に「x」がついていますが、これは交雑種であることを表します。

ヒイラギモクセイはヒイラギ(Osmanthus heterophyllus)とモクセイ(ギンモクセイ)(Osmanthus fragrans)の雑種と考えられているそうです。

ヒイラギモクセイ

2日前の記事からここまでに出てきた植物がどう関連しているかまとめてみると、次のようになります。

キンモクセイ(Osmanthus fragrans var. aurantiacus)【モクセイの変種】
/
モクセイ(ギンモクセイ)(Osmanthus fragrans)
/
ヒイラギモクセイ(Osmanthus x fortune)【モクセイとヒイラギの交雑種】
/
ヒイラギ(Osmanthus heterophyllus)

では、これら4種の植物の葉がどう違うか、見てみましょう。Wikipediaのそれぞれの記事から抜粋引用をします。

キンモクセイ
・長めの楕円形か広披針形
・葉縁は波打っており、わずかに鋸歯がある

モクセイ
・キンモクセイより葉幅が広く、楕円形で先端は急にとがる
・縁にはあらい細鋸歯がある(鋸歯がなく全縁の場合もある)

ヒイラギモクセイ
・楕円形で、先端はとがっている
・縁には刺状の鋸歯がある

ヒイラギ
・楕円形から卵状長楕円形
・縁には先が鋭い刺となった鋭鋸歯がある

つまり、ヒイラギモクセイとヒイラギの葉にはトゲがあり、ヒイラギのトゲの方が鋭い。

それでは、トゲのつき方を、上の画像(ヒイラギモクセイ)と下の画像(ヒイラギ)でお比べください。一方が見るからに鋭いですね。

先が鋭い刺となった鋭鋸歯がある葉(ヒイラギ)
撮影者:Alpsdake
撮影日:2017.03.14
オリジナルからの改変、なし

ヒイラギとヒイラギモクセイは、花(雄花か雌花か、はここではおいておいて)でも区別することができます。

ヒイラギの花は、「花びら」がそり返ります。でも、ヒイラギモクセイの「花びら」はそり返りません。

ヒイラギ

ヒイラギモクセイ

このサイト「松江の花図鑑」についてもうご存知の方も多いとは思いますが、このサイトは大変充実していて、書き方から見て、内容が信用できる、と思います。皆様も、よろしければ、ご利用ください。


以下の画像は、11月に日本に帰国しておりました時に、実家の庭で撮影しました。これは、歳を経て「丸くなった」ヒイラギですよね?? いい匂いでした。

Wikipediaのヒイラギの記事からからもう少し引用します。

> 若樹のうちは葉の棘が多いが、老樹になると葉の刺は次第に少なくなり、縁は丸くなって先端だけに棘をもつようになる。葉の鋭い棘は、樹高が低い若木のうちに、動物に食べられてしまうことを防いで生き残るための手段と考えられている。

2022.11.10撮影

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キンモクセイ、ギンモクセイ

2022年12月10日 07時59分28秒 | 樹木
モクセイ(ギンモクセイ)
撮影者:Juni
撮影日:2004.10.17
オリジナルからの改変、なし

昨日はキンモクセイについて話しました。

今日はモクセイ(別名 ギンモクセイ)についても話したいと思います。

和名 モクセイ(木犀)
和名 ギンモクセイ(銀木犀)
モクセイ科(Oleaceae)モクセイ属(Osmanthus)
学名 Osmanthus fragrans
英名 Sweet olive「甘い(匂いの)オリーブ」
別名 Tea olive「お茶(用)のオリーブ」
別名 Fragrant olive「芳香のオリーブ」

「モクセイ」と言う時、
・ギンモクセイ(Osmanthus fragrans)だけのこと
・ギンモクセイ(Osmanthus fragrans)、キンモクセイ(Osmanthus fragrans var. aurantiacus)、など、Osmanthus fragrans に変種・品種の総称
のふたつの場合があります。

キンモクセイは、モクセイ(ギンモクセイ)の変種ですので、両者には共通した形状、性質がありますが、大きな違いは、2点。

1.花の色は、ギンモクセイは白、キンモクセイは橙色(だいだいいろ)
2.香気は、キンモクセイの方が強い

モクセイ

わたしは、個人的に、学名が好きです。学名を見れば、
・属名により、他の植物との親戚関係がわかる
・種小名により、特徴など(色とか形とか)がわかる

と言っても、学名をたくさん知っているわけではありません。ぼちぼちと理解している程度です。わたしは英語圏に住んでいるので、英語の知識をラテン語の学名に当てはめることもできます。

ギンモクセイ Osmanthus fragrans を見てみると、
属名 osme「香気」+ anthos「花」
種小名 fragrans「芳香のある」

キンモクセイの var. aurantiacus なら、
var. = variety(英単語)「変種」
aurantiacus「オレンジ」
(aurea 等が出てきたら「金色の」「黄色の」)

モクセイ(ギンモクセイ)とキンモクセイは、モクセイ属(Osmanthus)に属するわけですが、次に、属より上のモクセイ科(Oleaceae)を見てみます。

Oleaceae の語尾の -aceae は科名に共通なので特に意味はなく、和訳では「科」程度に当たります。意味を担うのは、olea の部分です。これはどう考えても、英語で言うところの oil に違いない。つまり、「油」。

モクセイ科(Oleaceae)にどんな属が属するか、というと、次のようになります。属名に続いて、代表的な種も書いておきます。

・レンギョウ属(Forsythia)レンギョウ
・ソケイ属(Jasminum)いわゆる、ジャスミン
・ハシドイ属(Syringa)ライラック
・オリーブ属(Olea)オリーブ
・モクセイ属(Osmanthus)モクセイ、ヒイラギモクセイ、ヒイラギ

つまり、モクセイ科(Oleaceae)において、「科」の名前を引き継いでいる「属」は、
・和名では、モクセイ属(Osmanthus)
・学名ではオリーブ属(Olea)
ということになります。

このような、和名と学名における属名と科名の食い違いは、しょっちゅうあります。

では、Oleacea(モクセイ科)と Olea(オリーブ属)の olea「油」を頭において、キンモクセイの英名を見てみてください。「オリーブ olive」が出てきます。ここでやっと、モクセイとオリーブがつながりました。

・Orange sweet olive「オレンジ色の甘い(匂いの)オリーブ」
・Japanese orange osmanthus「日本のオレンジ色のモクセイ」

キンモクセイについてつけ加えれば、中国茶に「黄金桂」と呼ばれるものがあります。「桂」は「丹桂(キンモクセイ)」の「桂」です。「黄金桂」というのは、文字通り、抽出された茶湯が「黄金色」で「桂(キンモクセイ)」の香りがかすかにするお茶。

以下のサイトの情報がどこまで正確かわかりませんが、ご参考までに、どうぞ。

鉄観音・黄金桂・水仙・色種

明日は、ヒイラギとヒイラギモクセイについて書きます。モクセイに加え、ヒイラギモクセイも、ヒイラギも、みんな、モクセイ属の植物なんです。

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キンモクセイ

2022年12月09日 08時00分26秒 | 樹木
金木犀の花の写真素材
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今日から、数日間にわたり、名称が妙に(奇妙に?)つながっている、
・モクセイ
・ヒイラギ
・ナンテン
を、比較したいと思います。

まず、今日は、キンモクセイ。

和名 キンモクセイ(金木犀)
モクセイ科(Oleaceae)モクセイ属(Osmanthus)
学名 Osmanthus fragrans var. aurantiacus
英名 Fragrant olive
* ギンモクセイ(Osmanthus fragrans)の変種

キンモクセイは、秋に、「こんな季節にこんな派手やかな色の花が?」と思わせる花を咲かせますよね。そして、強い芳香。

わたしは、大学生の時、友人たちといっしょに一軒家を借りて住んでいたのですが、そのお家の庭にキンモクセイがあり、それが強く印象に残っています。

キンモクセイ

上記Wikipediaの日本語版のキンモクセイの記事には、

> 中国原産。日本には江戸時代(17世紀ごろ)に雄株だけが渡来し、実を結ばないため、挿し木で北海道と沖縄以外の日本中に増やされた。

と書かれています。また、

> 雌雄異株の植物で、(中略)日本では花付きの良い雄株しか移入されていないため実を結ばず、中国まで行かないと実を見ることはできない。

とも書かれています。でも、よく読んでみると、雄株は、

> 雄しべが2本と不完全な雌しべを持つ。

とも書いてある。

雌雄異株
を見てみました。

> 雌雄異株(しゆういしゅ)は(中略)植物の性による種の分類
> 雄の生殖器官と雌の生殖器官を別個体の植物で持っているもの
また、
> 同一個体が持つ場合は、雌雄同株
というのは、植物好きの人になら、よく知られたことだと思います。

でも、それに加え、雌雄混株と呼ばれる
> 何かしらの条件で雄に雌の生殖器、または雌に雄の生殖器が出来る
ものがある、ということを、わたしは今回勉強しました。

ですから、
・キンモクセイは、雌雄異株である
・キンモクセイの雄株には、不完全ながらメシベもついている
・よって、正確には、キンモクセイの雄株は雌雄混株である
・しかし、キンモクセイの雄株には実がならないので、単に雄株と呼ぶ
ということでしょうか。

でも、もうひとつ気になったことがありました。日本には全く雌株がないのか? 雌株が全くない、というのは、不自然なような・・・

それで、原産地である中国の中国語版のWikipediaも見てみました。

丹桂

そこには、
> 因雄株開花數量較多,因此在日本作為園藝種植的丹桂基本都是雄株。
と書かれていて、

これは、「雄株の方が(雌株に比べ)花数が多い、よって、日本で園芸として栽培されるのは、基本的には、雄株である」という意味だと思うんですよ。ですから、この「基本都(=基本的には)」という言葉尻だけを捉えれば、日本に雌株も存在するのではないだろうか・・・と。

キンモクセイは、わたしは、子どもの時からの憧れの植物なんですが、いまだに自分の庭に持ったことはありません。実家にはなかったので、いずれ、と思っていたのですが、カナダのバンクーバーに居を構えることになり、ここでは今まで寒すぎて。

アメリカやカナダでは、アメリカ合衆国農務省(USDA)の出す「植物耐寒域区分(Plant Hardiness Zone)」の番号を、生育条件の目安としてよく使います。

アメリカのミズーリ州に、ミズーリ植物園(Missouri Botanical Garden)という、庭園、植物園があるだけでなく、植物学の研究も行っている、由緒ある機関があります。そこのサイトを見てみますと、キンモクセイの「耐寒域区分」は、本文中で「8b-11」、表中で「8-11」となっています。

バンクーバーは、温暖化に伴って「耐寒域区分」が上がってきているのですが、それでも、平均的に見て「8b」、暖かめの海沿いでは「9a」、気温が低めの地域は「8a」です。山がちの方は、もっと寒くなります。

バンクーバーは、以前は「7b」でした。(数字の低い方が寒く、「a」の方が「b」より寒い。)ですから、平均で、「7b」から「8b」に上がっているのです。

温暖化よね、イチジクがこんなに取れるのは

ということは、今までキンモクセイがバンクーバーで普通に植えられてきたことはなかった、でも、これからは、可能かも、ということだと思います。よし、植物屋さんに出かけたら、見張っておこう。

キンモクセイについての日本の各種サイトを見てみると、キンモクセイは中国が原産だと書いてあります。でも、英語の各種サイトを見てみると、日本が原産だと書いてあるのがあります。これは、日本人自身が日本原産だと主張していない以上、中国から直接ではなく、日本を経由して移入されたかもしれないのを、アメリカ人などが勘違いして書いてあるのだと思います。

また、英語のサイトには、キンモクセイは、中国に加え、中国南部、ヒマラヤ、が原産だ、と書いてあるのもあります。タイ、ミャンマー、ネパール、ブータン、インド、まで挙げてあるのもあります。それを地域的に「平均」してみると、ヒマラヤ、ということなんでしょう。

キンモクセイは中国が原産だ、というのは、言い切りすぎなのかもしれません。中国南部、と思っておいた方がいいのでしょうか。

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カタバミ(オキザリス)、その2

2022年12月08日 06時20分12秒 | カタバミ科
2022.10.30撮影

【2023.7.01付で、一部ですが、訂正を書き加えておきます。
カタバミについて勉強していて気づいたことに基づいています。
誤った情報を流して、申し訳ございませんでした。】

数日して、食材などの買い物に出かけました。自転車で最寄りの大きいスーパーまで。秋晴れの気持ちのいい日でした。(秋に帰国したのは初めてだったので、特に印象に残った。)

途中、どんな花が咲いているかな、と、道の周りを見ながら行ったのですが(わたしは、大体、いつも植物を見ているんです)、びっくりしたのは、この赤紫色のフヨウカタバミ(Oxalis purpurea)、が至る所に咲いていたことです。【冒頭の画像のカタバミは、フヨウカタバミではなく、和名のない Oxalis bowiei のようです。でも、咲いていたのは、実際に、フヨウカタバミであったかもしれません。】

その咲き方を形容するのに「大量に」としか言いようがない。行けども、行けども、この華やかな花が咲いている。これも地球温暖化? と思いました。

すると、さらに、白い方のフヨウカタバミも見えてきました。これもいっぱい咲いている。

2022.11.15撮影

買い物を終えて実家まで帰ってきて、もう一度庭を見渡しました。それで気づいたのは、前にたくさんあった、葉っぱに特徴のある、朱色に近い花のカタバミ、モンカタバミ、が咲いていなかったことです。

このカタバミについては、次の記事でご紹介しました。

オレゴンのカタバミ:グランドカバー ⑶ その2

学名 Oxalis tetraphylla
英名 Four-leaf sorrel「四つ葉のカタバミ」
和名 モンカタバミ(紋片喰)
カタバミ科(Oxalidaceae)カタバミ属(Oxalis

撮影日、不明

上記の画像から、撮影日不明の当時、そのモンカタバミ(Oxalis tetraphylla)が庭のどこに植わっていたか割り出し、そこ(スイレンの鉢の近く)を観察してみると、以下のようになっていました。

葉がほんのちょっぴり残っているだけ。夏から秋にかけて花が咲くはずなのに、花が全然ない。フヨウカタバミに圧倒されてしまっている。

実家の庭のモンカタバミは、このまま、消えてしまうのでしょうか。

2022.11.15撮影

帰省中、買い物は何度かしたのですが、その道すがら、もう1種類、カタバミを見ました。花茎が上にスッと伸びて、大きめの黄色い花が咲いているカタバミです。

普通に見る「雑草」のカタバミ(Oxalis corniculata)に比べ、あまりにも大きいので、びっくりしました。

以下の画像は、この、オオキバナカタバミ(Oxalis pes-caprae)のものです。上方から撮影した画像なので、花茎が長いのが、分かりにくいかもしれませんが、放射状に伸びたものを見てくだされば、わかると思います。

学名 Oxalis pes-caprae
英名 Buttercup oxalis「キンポウゲカタバミ」
和名 オオキバナカタバミ(大黄花片喰)
カタバミ科(Oxalidaceae)カタバミ属(Oxalis

オオキバナカタバミ
撮影者:Zachi Evenor
撮影日:2013.02.12
オリジナルからの改変、なし

実家の庭には、オオキバナカタバミはないなあ、と思ったのですが、花の咲いていない葉だけのカタバミが、この花の葉であることが判明しました。その画像をご覧ください。葉は、以下のように、すごく特徴的です。

オオキバナカタバミの葉の特徴
・三出複葉の小葉が大きく切れ込んだハート型
・葉が薄め
・茶紫色の点々がついている

この茶紫色の点々の正体について調べてみたのですが、分からずじまいでした。

2022.10.28撮影

買い物の行き帰り、白や赤紫のフヨウカタバミはたくさん見たんですが、オオキバナカタバミは数量的にはほんの少ししか咲いていませんでした。そして、わたしの4週間の滞在中、初期には見られましたが、後期にはもう見られませんでした。両親のうちの庭でも、オオキバナカタバミは葉だけでした。

時期的に、オオキバナカタバミの花は、秋には普通咲かないようです。

庭のカタバミについて、両親に聞いたんです、
・フヨウカタバミ(白いのと赤紫のと)が大量にあるが、植えたのか
・オオキバナカタバミも植えたのか
・モンカタバミが消えかけているけど、どうしたのか
と。

彼らによると、知らない、いつの間にか、そうなっていた。フヨウカタバミがはびこりすぎている、と。

それで、わたしは、フヨウカタバミのかなりを掘り上げ、一度植えると絶対に庭からなくならないオカトラノオ(Lysimachia clethroides)も引き抜き、引き抜けないのは掘りおこし、また、サルビア類の株の数もかなり減らし、庭を片付けました。(オカトラノオの根と、サルビア類の根とが、からみあっていたんですよお、泣)

そして、パンジー、ビオラ、シクラメン、プリムラ・ポリアンサ、などを植えて、カナダに帰ってきました。これらの花が、冬を通して咲いて、両親の庭を彩ってくれるといいな、と思います。


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