カラスといちごとクロッカスと

身の回りの鳥や小動物、庭の花や畑の野菜など、日々日々、季節季節の情報を、
個人の目をとおしてお届けします。

コロナをめぐって〜帰国日記15

2023年07月09日 08時00分00秒 | インフルエンザ、コロナ、など
(国際線の窓から見える太陽、日本にあと数時間、という場所で)

今日で、帰国日記は最終回です。今日は、主にコロナをめぐって、経験したことや感想をまとめてみたいと思います。

2019年の夏に帰国・帰省して以来、コロナの影響で、2022年秋まで3年以上帰国することができませんでした。法規的に不可能なわけではなかったのですが、課せられていることを満たしてまで帰国する気力がなかったのです。

数週間帰省するのに、指定の宿泊施設で隔離2週間(だったか?)なんてできないよね。そんなことをしたら、1ヶ月以上自宅を空けることになる。宿泊代はどうするんだ?

公共の交通機関に乗ってはいけないけど、タクシーはいい、ということで、成田空港から仙台までタクシーを走らせた、という強者がいたそうな。隔離のために使う宿泊費と比べると、どちらがマシだったのだろう。でも、費用よりも何よりも、時間を節約できる。

(国内線の窓から、富士山を望む)

ワクチン接種証明書を手に入れるのは、カナダの場合、大変簡単なんです。まずは、ワクチン接種の順番が来たよ、とメールなどでお誘いがかかり、予約すると、無料で接種してくれます。その後、すぐにシステムに入力されますから、証明書をプリントアウトするなり、QRコードをスマホに読み取らせるなり、すれば良いのです。

日本入国には、2回だったか(よく覚えていない)以上接種していないとダメだったのだと思います。成田空港で、去年の秋、わたしの証明書を見た係の人が、え〜〜、4回も? と驚いていました。日本もそうかもしれないけど、カナダじゃ、5回、6回、接種している人もいますけど〜〜、そして、わたしは、今回の帰省の前、4月に5回目を受けました。

わたしは、副反応(なぜ、「副作用」という言葉を使わないんだろう)は、ほぼなし。接種部位がちょっと腫れ加減で痛くなった程度でした。アイスノンを当てたら、気持ちよかった。


(国内線の窓から、富士山を望む)

去年の10月に帰国したとき(=1回目)には、成田空港の建物の廊下に係の人が大勢並んで「人の壁」を作っていて、異様だった。実際の対応は、大変優しかったのですが、入国しようとしている人の数より、係の人の数の方が多いぐらいなので、圧倒されました。

それが、今回5月の入国(=4回目)では、羽田空港に係の人をほとんど見かけない、入国しようとする人も、廊下のあちらの方、こちらの方、にまばらにいるだけ。空港内の建物は、閑散としていました。国際線の大きい飛行機が着陸したのに、なぜ、こんな景色? 今度は、人がいないけど、何が起きたの? と思いました。

(満月をコンパクトデジカメで撮ってみた、うさぎさん、見えないよね)

マスクの空港内・機内における着用は、2023年3月13日より任意となりました。それまでは、客室乗務員さんは当然としても、乗客も、きっちりとマスクをしていましたよ〜〜わたしの見える範囲内で、ですが。

それが、3月末に日本からバンクーバーに帰ってくるとき(=3回目の復路)には、乗務員さんたちはマスクなし、乗客は任意に、という形になっていました。

今回、5〜6月に動いたときには、乗客もほとんどマスクをしていなかった。

ところが、、、

(羽田に向かう飛行機から、雲を見る)

びっくりしたわあ、住宅街の道の閑散としているところでマスクをかけて歩いている人を見たときは。なんでマスクをかけているの???

もっと驚いたのは、歩道を自転車でひとりで颯爽と走る高校生が、どの人もマスクをしていること。なんのために??

スーパーマーケットじゃ人混みだろうから、とマスクをかけるのはわかる。不特定多数の人を応対するレジの人がかけるのもわかる。

でも、自転車に乗って?????

スーパーといえば、わたしの行ったスーパーがたまたまそうだったのかもしれませんが、消毒液があちこちに置いてなかったのは、きれい好きの日本文化の中では奇異に見えた。カナダ、というか、バンクーバーのお店では、至る所に置いてあったのに。

以下、きれいな画面ではありませんが、飛行機から写した景色をどうぞ。

(手前は赤坂御用地、向こうは皇居、その向こうに東京スカイツリー)

東京新聞「赤坂御用地 皇室ゆかり 緑の苑」

(東京タワー)

(レインボーブリッジ)

東京の観光公式サイト「東京の景色を陸・海・空から満喫」

(東京港の施設)

東京港湾事務所「みなとの施設」

(飛行機が羽田空港に着地する直前、飛行機自身の影が見える)

(飛行機内部)

実は、実家のある地方都市から羽田へ向かう飛行機が遅れたんです。「なんらかの理由」で。そして、結局、座席の配置換えまでして機種を乗り換えたそうなんですが、この飛行機、内部が、ピッカピカの新装でした。きれいだったわあ。

夏に帰国すると体調を崩してしまう(実際、寝込んだことが2回ある)ので、次の帰省は秋になります。両親は、そのへんは、理解してくれています。むしろ、夏には帰って来るな、と。バンクーバーの「寒い夏」に慣れてしまっている体には、日本の夏はつらい。


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ゼラニウム〜帰国日記14

2023年07月08日 08時00分00秒 | フウロソウ科
2023.03.14撮影

冒頭の画像の植物は、実は、ゼラニウムであって、ゼラニウムでない、そして、ゼラニウムである。うん。

「ゼラニウム」はローマ字で書くと、Geranium です。これは、ラテン語やドイツ語などで読むと「ゲラニウム」のように「g」の音になりますが、英語では「ジェラニウム」のような「j」の音で読みます。日本語では、この「j」の音を「z」の音に変えて、Geraniumを、「ゼラニウム」と読みます。

この花の「所属」を、科よりも上の分類である目(もく)から書くと、次のようになります。種名、あるいは、園芸種名まではわかりません。でも、重要なのは、属名だけが「ゼラニウム」系でないこと。

フウロソウ(風露草)目 Geraniales「ゲラニアレス」 
フウロソウ(風露草)科 Geraniaceae「ゲラニアケアエ」
テンジクアオイ(天竺葵)属 Pelargonium「ペラルゴニウム」*
日本での園芸上のグループ分け「ゼラニウム」

 
2022.10.18撮影               2023.03.14撮影

今日この記事で「ゼラニウム」として取り上げている植物は、18世紀には、その名の通り、フウロソウ属 Geranium「ゲラニウム」とされていました。

でも、18世紀も終わり近くになって、フランス革命の年(1789年)に、
このフウロソウ属 Geranium「ゲラニウム属」が、

新たに、
1.フウロソウ属 Geranium「ゲラニウム属」と
2.テンジクアオイ属 Pelargonium「ペラルゴニウム属」に
分けられたのです。

そして、このわたしたちの慣れ親しんでいる「ゼラニウム」の所属は、テンジクアオイ属 Pelargonium「ペラルゴニウム」になりました。

テンジクアオイ属

2023.03.14撮影              2023.10.18撮影

ですから、今日の植物は、

昔は、
・ヨーロッパで、Geranium と呼ばれた(民間では、現代においても)
・日本でもそれにならい、「ゼラニウム」という

現在の生物学上の分類は、
Geranium「ゲラニウム属」ではない
Pelargonium「ペラルゴニウム属」(テンジクアオイ属)である

園芸上は、
・習慣に従い、ペラルゴニウム属全部を旧名で「ゼラニウム」と呼ぶ
あるいは、
・ペラルゴニウム属の一部を「ゼラニウム」と呼ぶ(以下の1)

ペラルゴニウム(テンジクアオイ属)の、園芸での分類は、
1。ゼラニウム(四季咲き)
2。ペラルゴニウム(花が大型、丈が高い)
3。アイビーゼラニウム(葉の形がツタの葉の形)
4。センテッド・ゼラニウム(ハーブ・ゼラニウム)(芳香がする、食用ではない)

そして、今日の植物は、その狭い意味1での「ゼラニウム」です。2の例は、この記事の最後に写真を掲載します。

2023.03.14撮影              2023.06.06撮影

わたしが小学生のとき、母がこのゼラニウム(テンジクアオイ)に凝っていて、庭に何種類も作っていました。

あるとき、わたしがお稽古事の道筋でちょっと変わったゼラニウムを見たのです。見とれたのですが、どうしようもない。子どものことだから、ぼ〜〜、としているだけ。お稽古への行きに見たのですが、帰りにも立ち止まりました。こんなにきれいな花の大きな株、今までなぜ気がつかなかったのだろう、って。

母にさっそく言いましたよ。おかあさん、すごくきれいなゼラニウムを見たよ、変わってるよ、って。お稽古に行く途中で見たの、と。あんなのうちにあるといいね〜〜

すると、母は、ひと枝もらってきてちょうだい、と言うのです。水に入れておけば根が出るから、それを植えればいいから、と。掘り取って、と頼むんじゃないから、許してくれるはず。

あんなあ、子どもにそんな使いさせるか?? でも、母が言うには、子どもだからこそ頼みに行ける、って。

 
2023.03.14撮影               2023.06.10撮影

親の所望すること断るわけにもいかず、次の週、お稽古のとき、、、いえ、実行できませんでした。次の週も、花を横目で見ながら通り過ぎただけ。その次の週は、花を見ないようにして通りすぎた。その次の週からは、別の道を通るようになった。

ここまで遅れると、母が催促するようになりました。知らない人のおうちに訪ねていくのは恥ずかしい、と言うと、母は、そうだね、flowerconnectionちゃんの気持ちを考えなかったね、ごめんね、って。

謝ってもらえると現金なもので、次の週には、恥ずかしさをかなぐり捨てて、ひと枝もらってきました。そのおうちの人は、知らない子どもが急に訪ねてきたことにだけでも驚いているのに、その上、ゼラニウムをくれ、なんて言うので、びっくりしただろう。

このゼラニウムがどんなゼラニウムだったかのは、忘れました。それに、母の育てていたゼラニウムは、なぜか庭からみんな消えてしまった。今から思えば、母が長期入院したからかな、と思います。

今回の帰省では、上の画像のうち右側の八重咲きのゼラニウムを庭に植えました。母がたいへん喜んでくれました。

 
2023.06.06撮影               2023.06.06撮影

母がゼラニウムを育てるようになる前、実は、わたしは「ゼラニウム」という花の名前はすでに知っていました。でも、見たことはなかったんです。

なぜその花の名前を知っていたか、というと、翻訳物のヨーロッパのお話しで子ども用に書き直したものを、大量に読んでいたからです。描写に、ゼラニウムがいっぱい出てきた。ヨーロッパの家と言えば、窓の外にこのゼラニウムの鉢を飾っているものだ、ぐらいにまで思っていました。

でも、どんな花か知らない。わたしの持っていた植物の図鑑には載っていませんでした。その図鑑は、日本で見られる植物の教育用だったのだと思います。

2023.06.09撮影

これは、母の育てているペラルゴニウム(テンジクアオイ)です。この、花びらが大きく柔らかめで、多くは花びらにブロッチの出るペラルゴニウムは、園芸上の分類では、先に書いた分類の2「ペラルゴニウム」になります。

母は、この花が気に入っているらしく、よく花をつけているので、わたしもうれしいです。

と、ますます感傷的になってきました。大学に入学するために親元を離れて以来ですよ、両親とこんなに長い時間を過ごすのは。改めてお知り合いになったような感じであるとともに、昔のことをたくさん思い出します。

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ポーチュラカ〜帰国日記13

2023年07月07日 08時00分00秒 | スベリヒユ科

2023.06.10撮影

わたしが大学生のとき、夏に帰省してみると、母が大事そうに、冒頭の画像のような植物を植えていました。「それは何?」と聞くと、母は「ポーチュラカ」と答えました。

わたしは心の中で、「ポーチュラカねえ、でも、これ、単にスベリヒユの花が派手になっただけじゃ?」と思いましたが、母がいたく愛でていたので、何も言いませんでした。

普通のスベリヒユは、庭にやたらと出てきて増えて、枝の切れ端からでも発根・発芽する(はずの)、小さい種を大量に生産してまき散らす、本当にどうしようもない、元気いっぱいな「雑草」であります。

学名 Portulaca oleracea
英名 Common purslane
和名 スベリヒユ(滑莧)
スベリヒユ科(Portulacaceae)スベリヒユ属(Portulaca

Portulaca oleracea(スベリヒユ)
撮影者:Giancarlo Dessì 
撮影日:2005.09
オリジナルからの改変、なし

わたしのバンクーバーの自宅の庭でも、スベリヒユは、植えなくても生えてくれます。そのため、ありがたい野菜の範疇に入ります。美味しくいただいていますよ。わたしは、酢の物か炒め物がいいですね。手に負えないほど増やさないようにし、最高の味と新鮮さのところを収穫するのが、管理の腕であります。

スベリヒユの学名の Portulaca oleracea ですが、属名の Portulaca の意味は分かりませんでしたけど、種小名の oleracea は「野菜の、ハーブの」という意味だそうです。食べるのはうちだけではない、ということですね〜〜 日本でも、地域によって野菜としてスーパーマーケットで売っているそうです。



スベリヒユの花は小さいので、よく眺めることも少ないか、と思われますので、以下に花の拡大画像を掲載します。

Portulaca oleracea(スベリヒユ)
撮影者:Ton Rulkens
撮影日:2011.02.07
オリジナルからの改変、なし

これ、冒頭の画像の花とあまり変わらないと思いません?

それで、ポーチュラカがいったい何者か、調べて見ました。


上記『ヤサシイエンゲイ』によると、流通上、ポーチュラカと呼ばれるものは、
Portulaca oleracea cvs
つまり、スベリヒユ(Portulaca oleracea)の園芸種(cvs = cultivars)、だそうです。

可能性としては、
・スベリヒユ(Portulaca oleracea)とマツバボタン(Portulaca grandiflora)の交配種
・スベリヒユ(Portulaca oleracea)の変種である、野菜として栽培される高茎のタチスベリヒユ(Portulaca oleracea var. sativa〕の、突然変異種

「ハナスベリヒユ」なんて優しい和名があるんですね。

多くのものがカタカナ語になっていくのは、悲しい・・・日本にず〜〜〜っと住んでいる人にはこういう気持ちはわからないかもしれないけれど。


2023.06.10撮影(ハナスベリヒユ=ポーチュラカ)

ハナスベリヒユ(Portulaca oleracea cvs)と花のよく似ているマツバボタン(Portulaca grandiflora)は、葉の形で簡単に区別できます。ハナスベリヒユの葉はヘラのような形ですが、マツバボタン(松葉牡丹)は、名称のごとく、葉が「松葉様(棒状)」です。

また、マツバボタンは、それも名称のごとく、「牡丹」のように花びらが多いです、一重の花もありますが。反対に、ハナスベリヒユは、八重咲きのものもあるとは言え、一重の花が一般的です。

次は、マツバボタンの画像です。ハナスベリヒユより華やかですよね。

Portulaca grandiflora(マツバボタン)
撮影者:Mylakegarden
撮影日:2016.06.26
オリジナルからの改変、なし

学名 Portulaca grandiflora
英名 Rose moss
和名 マツバボタン(松葉牡丹)
スベリヒユ科(Portulacaceae)スベリヒユ属(Portulaca

わたしが子どものとき、両親の夏の庭には、マツバボタン(Portulaca grandiflora)とマツバギク(Lampranthus spectabilis)の両方が咲き乱れていました。

マツバボタンとマツバギクの名称がいつもこんがらがってしまうわたしに、母は、マツバというのは、松の葉っぱのように葉がツンツンしていること、花は、ボタンみたいなのがマツバボタン、キクみたいなのがマツバギク、と根気よく繰り返し教えてくれました。

Lampranthus spectabilis(マツバギク)
撮影者:apple2000
撮影日:2008.06.08
オリジナルからの改変、なし

学名 Lampranthus spectabilis 
英名 Trailing iceplant
和名 マツバギク(松葉菊)
ハマミズナ科(Aizoaceae)マツバギク属(Lampranthus

今回の帰省で、マツバギクも、そして、マツバボタンも、手に入れたかったのですが、見つかりませんでした。

以下、ハナスベリヒユ(ポーチュラカ)の各種を、どうぞ。4枚中、3枚にムシが写りこんでいますが、居場所がわかりますか。

 
2023.06.09撮影               2023.06.08撮影

 
2023.06.10撮影               2023.06.10撮影

ところで、先週末、父と国際電話で話していたとき、庭にはどんな花が咲いている? と聞きましたところ、父が申しますには、バンクーバーにわたしを訪れたときに、庭から取ってきて食べさせてもらったものがたくさん咲いている、と言っておりました。

わたしは、?????? あ〜〜、スベリヒユのことか!! おとうさん、園芸用の植物にはどんな化学薬品が使われているかわからないから、食べないでよ! と念を押しておきました。


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ミニバラ〜帰国日記12

2023年07月06日 08時00分34秒 | バラ科
2023.06.04撮影

帰国・帰省するたびに実家の庭の草取りをして、せっせと花を植えて、あとは、わたしの滞在していないときでも花が咲いてくれていることを祈る。水やりは、父がしてくれるのを知っています。でも、年寄りには、もうそろそろきついかもしれません。

世話がしやすくよく咲くものを、と、スミレ類(Viola)、サクラソウ類(Primula)、ナデシコ類(Dianthus)、ポーチュラカ(Portulaca)、ゼラニウム類(Pelargonium)、そして、ミニバラ(Rosa)、などを植えました。

今日は、そのミニバラについて書いてみようと思います。

 
2023.03.20撮影              2023.06.09撮影

が、わたしは、自宅でも何種類かしかバラを育てていないし、その育てているもののほとんどが原種か原種系なので、園芸種のバラについてはほとんど知識がありません。それで、バラ一般についてはいろいろ疑問点があるのですが、今日は、そのうち、特にミニバラについての疑問点に絞って、自己解決してみる予定です。以下の検索ページから、多くの記事を参照しました。

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ミニバラ

上の画像2枚のバラは、両者とも、ミニバラとして販売されているものを庭に植えたものです。ラベルから、園芸種であることはわかっています。見比べてみて、同じくミニバラと言っても、花の形態にかなり差異があります。下の画像でも、右側の画像の右の花は、花の姿が特に違いますよね。

 
2023.06.09撮影              2023.06.09撮影

では、疑問を挙げてみます。ミニバラは、
疑問1 ある特定の種、あるいは、亜種、あるいは、変種、あるいは、園芸種、なのか
疑問2 一定の大きさ(高さ、および、幅)以下のものをいうのか
疑問3 一定の大きさの花を咲かせるものをいうのか
疑問4 花の特徴は同じか
疑問5 室内で育てたほうがいいのか
疑問6 地植えできるなら、冬越しするのか
疑問7 冬越しするなら、年々大きくなっていくのか
疑問8 新しい園芸種は作り出されているのか

以下は、雨後の赤いバラです。色も花びらの様子も異なります。同じポットに植わっていたんですが。

 
2023.06.11撮影              2023.06.11撮影

ミニバラは、ある特定の種、あるいは、亜種、あるいは、変種、あるいは、園芸種、なのか
ミニバラは、Rosa chinensis(ロサ・キネンシス)「中国のバラ」という種の突然変異でできた矮性の変種 var. minima をもとに作られた園芸種です。minima(ミニマ)というのは、ラテン語で「小さい」という意味です。「ミニ」と同語源の語です。

属名 Rosa(ロサ)「バラ」
種名 Rosa chinensis(ロサ・キネンシス)「中国のバラ(庚申バラ)」
変種 Rosa chinensis var. minima(ロサ・キネンシス・ミニマ)「矮性庚申バラ
変種をもとに作られた園芸種「ミニバラ」

赤以外のミニバラも求めてみました。以下は、最初は藤色だったものが、赤みを帯びて、ピンクにまでなったものです。やや剣咲きっぽくて、花がゴージャスに見えます。

2023.06.09撮影

ミニバラは、一定の大きさ(高さ、および、幅)以下のものをいうのか
変種「矮性庚申バラ」をもとに作られた園芸種であるので、小さい傾向にあるが、交配の相手により、大きさには大小が出る。大きさの制限はないが、30cm程度の丈のものを一般に「ミニバラ」と呼ぶ。「ミニバラ」の「ミニ」は、「ミニマ」に由来する可能性あり。あるいは、商業目的で「ミニ」と命名されたのかもしれない。

ミニバラは、一定の大きさの花を咲かせるものをいうのか
交配の相手の選び方で、花の大きさも様子も変わってくる。大きさによる制限なし。「ミニマ」からの交配種であるかどうか、がミニバラであるかどうかの決め手である。

ミニバラは、花の特徴は同じか
「ミニマ」に由来する各種の交配種のグループを「ミニバラ」と呼んでいるので、花の特徴も一定ではない。

ミニバラの魅力に取り憑かれ始めて、ついに、次のような不思議な色のも買ってきました。ちょっと大ぶりのミニバラです。以下の画像は、すべて、「同じ」であるはずのミニバラの園芸種ですが、ポットにより異なるのかもしれません。もちろん、咲いてからの日数によって、色は変わってきます。

2023.06.04撮影

ミニバラは、室内で育てたほうがいいのか
普通のバラであるので、極寒、極暑でなければ、屋外で、地植えで育つ。ミニバラのラベルには、しかしながら、そのことについて何も言及がないものもあれば、室内で育てるように書かれているものもある。

それで、わたし、お店の人ふたり(別々のお店です)に聞いたんですよね、これは地植えできますか、と。ひとつはラベルがあって地植えについては何も書いていないもの、もうひとつはラベルのついていないもの。ふたりとも、ポットを手に取って植物を眺めてみて、これは地植えしないでください、と。

なぜ??? 地植えして、何か不都合なことが? それとも、よっぽどひ弱なものを売っているの? 例えば、根の活着していないのとか? わたしは学生時代に2回そういうのをつかまされたことがある。「ミニマ」になど由来しない残り物のバラの枝の切れ端をポットに突っ込んであるだけじゃないの? とまで考えたくなる。

ちゃんとした生産者以外のは、怪しいのかもしれない。

 
2023.06.04撮影              2023.06.04撮影

ミニバラは、地植えできるなら、冬越しするのか
バラは多年草であるので、普通に冬越しする。あるいは、ミニバラの場合は、交配の過程で弱い品種ができあがり、戸外で冬越しできないものがあるのかもしれない(って、信じにくいけど)。

ミニバラは冬越しするなら、年々大きくなっていくのか
持っている遺伝子に従って、成長はしていきます。これが「ミニ」か、と思うほど大きくなるものもあれば、小さいままでコンパクトにまとまっているものもあります。

ミニバラは、新しい園芸種は作り出されているのか
どんどん作り出されているようです。

下の画像は、タイミング的に、雨に濡れた後。雨に濡れたからこうなった? なんで、ピンクの斑点や縁取りが出る?

 
2023.06.08撮影              2023.06.08撮影

2023.06.08撮影              2023.06.11撮影

ミニバラのポットには、大抵、4株植えられているようです。そして、その全部が全く同じ種類であるとは限らない。今回、いろいろな赤いバラを手に入れました。

両親と電話で話しましたところ、赤いバラはよく咲いているそうです。新しい枝が高く伸びてきたのもあるそうです。

藤色〜ピンクのと、薄ピンク〜薄黄色のは、居間(リビング)から見えない、と言っています。やっぱり庭に出てくれていないのね・・・仏壇のお花を新しいのに変えよう、と本人が思うまで待つしかないか。

2023.06.04撮影


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ナデシコ属の花〜帰国日記11

2023年07月05日 08時00分00秒 | ナデシコ科
2023.05.26撮影

3月に帰国したとき、実家の庭で、草抜きと並行して、新しい花の苗をどんどん植えていきました。今回の帰省(5〜6月)でも、そうしました。

花は、咲きつづけるもの(1輪ごとの花期が長いか、いくつもどんどん咲くか)、来年も咲くもの、をなるべく選びました。

母には、花殻を摘んでね、そうすると、もっと咲くからね、とお願いして、家にこもらず外の空気を吸う動機づけになってくれることを祈りました。

冒頭の画像のナデシコ属(Dianthus)の花は、3月に植えて、この画像自体は5月のものです。(この花をわたしのブログ記事のどこかで見たことがあるような・・・と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、それはまた後で。)

園芸種名を「アイラブユー」といいます。

学名 Dianthus caryophyllus ‘I love you’
英名 Carnation(カーネーション)
和名 カーネーション「アイラブユー」
ナデシコ科(Caryophyllaceae)ナデシコ属(Dianthus

2023.03.19撮影

このカーネーションは、「咲きつづけ、来年も咲く」という点では、優れもの。冬に氷点下にならない限り、越冬するようです。

購入時についていたラベルによると、
・1株でピンク〜白の花色が楽しめる「色変わりカーネーション」
・たくさん花をつける「多花性」
・四季咲き(関東地方で、3〜6月、9〜10月)
・形が崩れにくい
・耐寒性多年草(0度以上)

3月には、次のナデシコ属(Dianthus)の花も買い求めました。(あ、この花ももうどっかで見た・・・)

2023.03.19撮影

ラベルには、次のように書いてありました。「ミーテ」というのは、園芸種のシリーズの名前でしょうか。

園芸名 Miite ミーテ「ピーチラテ」
ナデシコ科(Caryophyllaceae)ナデシコ属(Dianthus

特徴として、
・1輪1輪の開花が長い
・花色が咲き進むにつれ変化する
・夏の暑さにも負けない
・冬の寒さにも強い
・関東以西の温暖な地域で、3〜6月、9〜12月(1年草)

生産者のサイトには、さらに次のように書いてありました。
・先進むにつれピンクから白色に変化
・中央部分は気温が上がると赤が濃くなる

ミーテ

このナデシコ属の花のラベルを見て、わたしは思ったんですね。

これは、わたしの感覚ではカーネーションでも、セキチクでもないが、ナデシコなの??? 大体が、和名が交錯しているので、これはカーネーション、これはセキチク、これはナデシコ、と分けられないの? と。

それで、ラベルにも属名までしか書いていないのか? 大体、園芸種なので、交雑が激しく、どれとも言えない?

2023.03.20撮影

それで、自分自身が何を分類の基準にしているか、考えてみました。

カーネーション
・花びらが多重で巻きあっている

ナデシコ
・花びらが一重で平たく並ぶ
・花びらの先が切れ切れになっている
・花が花茎の先に1輪ずつ咲く

セキチク
・花びらが一重で平たく並ぶ
・花びらの先がギザギザになっている
・花が密集して咲く(それぞれの花茎が大変短い)

このように思っていたので、この「ミーテ」を見て、どう考えればいいのか、困ったのです。困ったのは、わたしのような素人だけでなく、生産者も困って属名までしか書いていないのか?? それはわたしのうがった見方で、生産者は「ミーテ」という園芸名を広めたかっただけなのか。あるいは、わたしの基準が、そもそも普通の基準から外れているのか???

2023.06.04撮影

6月には、上の画像のようなナデシコ属の花を買いました。セキチクだと思って買ったんですが、本当にセキチクと呼んでいいのか、と心配になりました。おまけに、ラベルの裏側には、カーネーションと書いてある。

表側には「Romance スイートジュエル」と書いてあったので、それを調べてみると、鉢植えカーネーションの、「ロマンス®︎シリーズ」、「カリフォルニアシリーズ」の2018-2019年版のカタログが出てきました。


そのカタログの画像は、みんな、わたしの思うカーネーション。このラベルのついていたナデシコ属の花とはまったく異なる。

ラベルがどっかで入れ替わったのか? そゆこと、よくあるんだよね。

それで、断言をする気はまったくありませんが、ここでは、一応、これはセキチクであるとしておきます。

学名 Dianthus chinensis(中国のナデシコ)
英名 China pink(中国のナデシコ)
和名 セキチク
ナデシコ科(Caryophyllaceae)ナデシコ属(Dianthus

2023.06.09撮影

クロウリハムシ(Aulacophora nigripennis)に再登場願います。今回は、お顔をどうぞ。

クロウリハムシ〜帰国日記2

2023.06.11撮影

こんなに、花びらも、葉っぱもやられているんですよね。


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カタバミ〜帰国日記10

2023年07月04日 08時00分00秒 | カタバミ科

2023.05.26撮影

何度も帰国・帰省して、実家に滞在し、両親と過ごす日々がわたしの人生の40%くらいになってきたからでしょうか、子ども時代のことがよく思い出されます。両親の持ち物を整理しているので、古いものが出てくるのも、その理由か、と思われます。

庭の管理もしています。今の庭は、両親が家を建て替えてからの庭なので、わたしの子ども時代の庭とは異なるのですが、それでも似たようなものが植えてあるので、やはり、わたしには懐かしい風景です。

わたしが子どものころは、5月ごろには、冒頭の画像でお見せしているカタバミが、塀沿いや垣根沿いにイヤというほど生えていました。植えたわけじゃない。「ムラサキ」カタバミ、とはいいますが、実質、ピンクです。

学名 Oxalis debilis
和名 ムラサキカタバミ(紫片喰)
カタバミ科(Oxalidaceae)カタバミ属(Oxalis

ムラサキカタバミ

ムラサキカタバミは、Wikipediaの記述によると、
・南アメリカ原産である
・江戸時代末期に観賞用として導入された
・以降、日本に広く帰化している
・現在、環境省により要注意外来生物に指定されている
ということです。

ですから、「観賞用」だったんですよね。それが、思ったよりはびこってしまった、それは、けしからん、ということです。


2023.05.26撮影

花は、実際、きれいですよ〜。ピンクの色合いが優しいし、白っぽい「喉元」に向かって、濃いめのピンクの線が集まっていくのもきれいです。おまけに、白さの向こうに、黄緑色が浮かび上がります。次々と大量に咲いてくれるのもうれしい。

子どものとき、草抜きのお手伝いのひとつとして、このムラサキカタバミを抜くのがあり、しぶしぶ行ったものです。と言うか、だいぶんサボりました。花を摘んだだけ。

こんなきれいな花を、なんで取り除かなくてはならないか、と母に聞いたんですが、あまりにも増えるから、ということでした。

うん、今環境省が言っていることと同じだ。大人は論理的なのであ〜る。

子どものときによく見たカタバミ、と言えば、もうひとつあります。もっと小さい黄色い花のカタバミ。以下の画像をご覧ください(画像中大きく写っている単子葉の葉は、このカタバミのものではありません)。


2023.03.18撮影

学名 Oxalis corniculate
和名 カタバミ(片喰)
カタバミ科(Oxalidaceae)カタバミ属(Oxalis

生物学でカタバミ科(Oxalidaceae)の上の分類は、カタバミ目(Oxalidates)といいます。ですから、この植物は、
・日本語で、カタバミ目カタバミ科カタバミ属カタバミ
・学名で、Oxalidates Oxalidaceae Oxalis corniculate
ということになります。

このカタバミには、変種が結構あるようです。

以下の画像すべてが、
・このカタバミの変種なのか、
あるいは、
・近縁の別種なのか
は、わかりません。

こういう黄色くて小さい花のカタバミが、他所へ行かなくても一家の庭でこれだけ見つかった、ということでご紹介しておきます。すべて、実家の庭からです。特徴も付け加えておきましたが、それは飛ばして、画像だけでもご覧ください。

 
2023.05.26撮影               2023.03.15撮影
・花茎が立ち上がっている          ・花茎が立ち上がっている
・葉は優しい緑色              ・葉は赤茶色、背景がわずかに緑

2023.05.27撮影
・花茎がやや立ち上がっている?
・葉は、やや濃いめの緑で、縁が赤い

 
2023.05.27撮影               2023.05.26撮影(+ハンゲショウの葉と)
・葉は、やや濃いめの緑で、縁が赤い     ・葉は、やや赤みがかったで、縁が赤い
・花が山吹色、花の根元が濃い色       ・花が山吹色、花の根元が濃い色

2023.03.18撮影(+ニワゼキショウの葉と)
・葉は赤みがかり、葉の中央部分は緑がかる

 
2023.03.23撮影               2023.03.24撮影
・左右とも、葉に毛がある
・左右とも、葉は赤茶色〜赤紫がかり、背景の色がまだらに出る
・左の葉の背景は薄緑〜薄ピンク、右の葉の背景は濃い緑〜赤っぽいピンク
・直近に出ている葉でも、バリエーションがある(左の画像では緑の葉もある)

2023.03.24撮影
・葉に毛がある
・葉は、薔薇色のような薄いピンクであり、ほとんど緑は見られない
・葉は、やや肉厚

あくまで、わたしにとって、ですが、カタバミ(属)と言えば、次の2種だったんです。
・ムラサキカタバミ
・カタバミ(種)

それが、コロナによる入国制限のきつい間は帰国せず、規制が緩和された、去年(2022年)の10月に、3年ぶり以上で帰国してみると、道端の草の景色が変わっていた。実家の庭も変わっていた。カタバミが、ド派手な花になり変わっていた。

わたしの子ども時代の心象風景を壊さないでくれ〜〜〜

以下の3枚の画像は、すべて、フヨウカタバミ(Oxalis purpurea)なのか(一応、フヨウカタバミとしておきます)。変異性が高いだけなのか?

 
2023.01.19撮影Oxalis purpurea      2023.03.23撮影Oxalis purpurea
・白い花                  ・濃いピンク、やや赤紫、の花
・緑の葉                  ・紫がかった赤茶色の葉
・赤い軸                  ・赤い軸

2022.10.28撮影Oxalis purpurea
・白い花
・やや青っぽい緑の葉
・白っぽい軸

次のは、初め、わたしはフヨウカタバミだと取り違えたんですけど、フヨウカタバミでないことに気づきました。フヨウカタバミの花は、花軸が枝分かれせずに、軸の先にひとつずつ咲きますが、このカタバミは、花軸から花茎がさらに出て、複数の花をつけます。

正確かどうかはわかりませんが、このカタバミは、Oxalis bowiei(和名はないもよう)ではないか。(前にカタバミ属について書いたときの記事の中での間違いは、すでに訂正しておきました。)

2022.10.30撮影(Oxalis bowiei

次のは、また別のカタバミです。葉っぱが大変変わっています。

2023.03.15撮影(Oxalis pes-caprae
・葉に黒点がある
・葉がハート型に切れ込む

次のは、しばらく前から実家にあったようなんですが、いつからか記憶も記録もありません。不思議なカタバミだなあ、と見ていたということだけ覚えています。後で気づいたのは、このカタバミは4枚葉なんですね。カタバミは、一般に、3枚葉です。見ている時には、ちっとも気づかなかった。なんか、違う、と思っただけ。
  
2023.05.26撮影(Oxalis tetraphylla
・4枚葉
・葉の中心が赤っぽい

とにかく、今浦島の海外在住組は、帰国するたびに、ショックを受けることが多々ある。実は、ここ8ヶ月間で4回往復した中で、他にもびっくりしたことがあるのですが、それは別の記事で。


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オオスカシバ〜帰国日記9

2023年07月03日 08時00分00秒 | 昆虫、その他
Cephonodes hylas(オオスカシバ)
Zinnia elegans(ヒャクニチソウ)
撮影者:Arthur Murray Harmsworth
撮影日:2016
オリジナルからの改変、なし

ある日、また、実家の庭で庭仕事をしていました。すると、「ぶ〜〜ん」と、かなり大きな羽音が聞こえてきました。

ちょっと興奮して立ち上がり、音の出所を、ざざざざっと見てみると、あ、いた、あそこ、チェリーセージ(Salvia microphylla)の茂み、こんな近くに!

ホバリングしている飛行生物が、ミツを採食中。

その飛行生物の姿は、一見、ハチドリ(蜂鳥:Trochilidae)。

ハチドリなら、例えば、ノドアカハチドリ(Archilochus colubris)は、全長7〜8㎝で、翼の差し渡しは8〜11㎝、体重2〜6g(と、英語版Wikipediaに書いてある)。

Ruby-throated hummingbird (Archilochus colubris)(英文+画像+分布図+音声)

学名 Archilochus colubris
英名 Ruby-throated hummingbird
和名 ノドアカハチドリ(喉赤蜂鳥)
ハチドリ科(Trochilidae)ノドアカハチドリ属(Archilochus

以下が、ホバリングしながら採食しているノドアカハチドリです。これは、メスなので、「喉赤」という名称でも、喉が赤くありません。

Archilochus colubris(ノドアカハチドリ♀)
Monarda didyma(タイマツバナ)
撮影者:Joe Schneid
撮影日:2006.06.30
オリジナルからの改変、なし

けど、ハチドリは日本にはいない(わ〜〜い、わ〜〜い、わたしのバンクーバーの庭には出没するもん! 今日も来ていたもん、フサフジウツギに)から、あのホバリングしているのはハチドリであるわけはない。

ハチドリ、フサフジウツギで休憩中

それなら、これは、例の大型のガ、スズメガ(Sphingidae)ということになる。

さて、チェリーセージでお食事中のスズメガを見ながら、あんなに空中の1点に浮かんでいられるんだ、すいごいね、それに、ガと言っても、大きいなあ、羽が開いた状態で、7センチはあるよね、と思っていたところ、

そのスズメガが、ホバリングしているまま、角度を変えたんです。

それで見えたのが、透けた羽(翅)。これ、オオスカシバ(Cephonodes hylas)なのか!!! 初めて見る! とさらに興奮しました。

こんなに透けた羽だから、ハチ(蜂)だと思われたりするのよね。

学名 Cephonodes hylas
英名 Coffee bee hawkmoth
和名 オオスカシバ(大透翅)
スズメガ科(Sphingidae)オオスカシバ属(Cephonodes

Cephonodes hylas(オオスカシバ)
Physostegia virginiana(ハナトラノオ)
撮影者:Rodrigo.Argenton
撮影日:2017.09.09
オリジナルからの改変、なし

で、その透けた羽を見て、いたく感動したのですが、その後、調べれば調べるほど、初めて見た、とは思えないんですね。

なぜなら、わたしが子どものとき、実家にはクチナシ(Gardenia jasminoides)の木があったからです。今は、両親が家を建て替えたので、その木自体はありませんが。

そのクチナシは八重咲きのクチナシで、門を入ったところに植えてあり、季節には毎年いい匂いがただよいました。子ども心に、クチナシの花が咲くのを心待ちにしたものです。

2023.05.26撮影

小学校低学年のわたしは、ある夏、そのクチナシの周りを、胴体の太い大きなガが飛び交うのを見たのです。ひょっとしたら、小学校入学前かも。

そんな大きなガを見たことがなかったのでびっくりして、母親に報告したのを覚えています。

それから、わたしは、そんなガがやってくるのを毎日楽しみにしていました。

しばらくして、細めの(アゲハの青虫みたいにコロコロしていない)イモムシが何匹も出現した。と同時に、葉っぱの量が減ってきた。

それも母親に報告すると・・・おかあさん、イモムシを「処分」しちゃったんです。やめてくれるよう懇願したのに。

それで、わたしは、それ以降、報告するのをやめたんですが、いやあ、もう、ガの幼虫が発生している、というのが、知れちゃいましたからね。幼虫が出てくるかどうか見張られているわけですよ。

クチナシの葉をエサにするのは、オオスカシバの幼虫ですから、やってきている成虫のガは、オオスカシバであったはずなんです。ということは、わたしは、子どものときに、羽の透けたスズメガを見たことがあるはずなんです、何度も、何匹も。

ところが、その見たと思っていたガは、わたしの記憶では、薄茶色の鱗粉で覆われていた。羽は全然透けていなかった。

ですから、今回初めて見た、というのは、記憶違い。

どゆこと?

なぜそんな記憶違いが??? トラウマだったのかも・・・

2022.10.28撮影

実家の庭でオオスカシバがチェリーセージのミツを吸っているところは、カメラが手元になかったので、写真に撮れていません。でも、それに似た画像を見つけましたので、ご覧ください。

オオスカシバ

ところで、先のクチナシの画像ですが、それは、わたしが今回の帰省のごく初期に、懐かしい思いで買い求めて、実家の庭に植えたものです。花をどんどん植えているのは、母が少しでも外へ出るように、と願ってなのですが、実際には母が庭に出ることはもう滅多にありません。ですから、もしオオスカシバがやってきても、また悲劇が起こるとは思いません。とは言え、複雑な気持ちです。


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ツマグロの幼虫〜帰国日記8

2023年07月02日 08時00分00秒 | 昆虫、その他
2023.03.09撮影

今日は、昨日前触れしました通り、ツマグロヒョウモンの幼虫について書きます。次の画像からは、幼虫が画像の真ん中に現れますから、読み進まれる方は、そのつもりでお願いいたします。

名称を確かめておきますと、

学名 Argynnis hyperbius
英名 Indian fritillary「インドの格子模様のチョウ」
和名 ツマグロヒョウモン(褄黒豹紋)

冒頭の画像の右上にちょこっとトリミングでお見せしているのが、3月に帰省したときに見つけた幼虫です。

この切り取り画像にいっしょに写っている植物は、真ん中になるのがフヨウカタバミ(Oxalis purpurea)、左に見えるのがヴィオラ(Viola)です。ツマグロヒョウモンの幼虫は、スミレ類(スミレ、ヴィオラ、パンジーなど)を食べて大きくなります。

ヴィオラはわたしが大量に買って植えたんですが、フヨウカタバミは、なぜ庭に生えているのかも分からない。オカトラノオ(Lysimachia clethroides)、サルビア・ガラニチカ(Salvia guaranitica)、同様、庭を埋め尽くし、それらを「駆除」するのが、前回3月の帰省に続き、今回5〜6月の帰省のわたしの大きな課題のひとつでした。

この幼虫は、左手のヴィオラにいたところを、わたしが触ろうとして、地面に落として(落ちて)しまい、体を丸めているところです。有毒かどうかわからなかったのでオドオドと手を出したのが良くなかった。

後で調べてみると、この、オレンジ色と黒の2色で塗り分けた幼虫は、毒はないそうです。「毒々しい」色のムシは、実際に有毒である場合と、自己防衛のためにそんな有毒なムシを「真似」しているだけのムシがあるので、素人には判断しにくいです。

このツマグロヒョウモンの幼虫は、難が去るまで待とう、でしょう、次の姿勢でしばらく動きませんでした。

2023.03.09撮影(手前左が頭)

体表をご覧ください。これらの突起は、何と形容したらいいんでしょう。「つのつの」「つんつん」「とげとげ」「はりはり」???

よく見てみると、この突起のそれぞれに毛が生えています。触らなかったので、この突起と毛がどのくらい硬いか、あるいは、柔らかいか、は分かりません。

この幼虫は、イモムシと呼ぶべきなのか、ケムシと呼ぶべきなのか・・・

それに、色分けは、
・胴体は黒と濃いオレンジ色の2色ですが、
・突起の頭に近い方は黒1色、
・他の部分の突起は2色塗り分けで、
・上半分が黒、下半分が濃いバラ色(胴体の色のオレンジ色ではなく
です。

この幼虫さんは、しばらくして、体を巻いていたのをゆるめ、次のような姿勢になりました。花の色がほぼ黒いヴィオラが写っています。わたしはカタバミの草抜き(と言うか、「草掘り」)をしていたので、あまり遊んでいるわけにいかず、幼虫さんがそこから先どうしたかは知りません。まあ、どうせ、ヴィオラのどっかにいるだろう、とたかをくくっていたし

2023.03.09撮影(頭はカタバミの葉に隠れている)

次は、10日後の写真。

この幼虫さんは、ヴィオラ間を移動している最中です。古い住処と新居希望先が接触していなかったら、一旦、地面に降りるしかありませんよね。見ていたら、いや〜〜、本当に速いんですよ〜〜、移動するの。

(えへん! 下の画像、幼虫さんの辺り、ほとんど草がなくなっているでしょ? わたしが掘り返して、カタバミを抜いたんです。ここまで仕事が進んだ。)

でも、こうやって移動するたびにヴィオラを食いまくってくれているんだ。まあ、ヴィオラ自身が枯れる前に、幼虫さんが引っ越しをしているようなので、ヴィオラは回復できているようです。

2023.03.19撮影(頭は上)

次の画像は、直前の画像の幼虫さんが、次のヴィオラに行き着いたところです。途中の薄紫色のヴィオラをなぜパスしたかは、不明。生まれて初めて食べた種類のと同じ、あるいは、なるべく近い種類のに移動するのかしら。ヴィオラと言っても、各種植えてあるし。

2023.03.19撮影(頭は左側)

次は、5月に見た幼虫さん。これもせっせとお引っ越しの最中でした。画像中に見えている緑のものは、わたしの必殺草抜きを免れたカタバミ。カタバミ根絶(選んで残したところ以外)を夢見る方が間違いですが。

ところで、この5月に見た幼虫の方が、3月に見た幼虫より小さいんです。もちろん、たまたま成長度合いの異なる幼虫を見たわけですが、これは、年に複数回孵化している、という傍証になります。

次の画像中の幼虫さん、元気一杯で、躍動感に満ちていませんか。

2023.05.27撮影(頭は右側)

昨日ご紹介した、アメリカのスミソニアン博物館(Smithsonian Institution)のひとつである国立自然史博物館(National Museum of Natural History)のサイトですが、そのツマグロヒョウモンの分布を表す地図の下に、おもしろい情報があります。もう一度ご覧ください。

Argyreus hyperbius Linnaeus 1763(英文+画像+地図)

地図の下にツマグロヒョウモンの写真が丸囲いであり、そこから線が出ています。下の方に薄い黄色の丸があります。それは、ツマグロヒョウモンの食べるものです。

それを見ると、スミレ類の他に、snapdragon(Antirrhinum:キンギョソウ)が挙がっています。スミレ類とキンギョソウと言えば、かなり上の分類まで行かないと共通点はないんですけどね・・・まさか、スミソニアン博物館が間違いを書くわけはないので、新しい知識として取り入れたいと思います。

ツマグロヒョウモンの幼虫の食草
・主に、スミレ属(Viola)のスミレ、ヴィオラ、パンジー、など
・キンギョソウ(Antirrhinum)も

食草


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ツマグロヒョウモン〜帰国日記7

2023年07月01日 08時00分00秒 | 昆虫、その他
Argynnis hyperbius(ツマグロヒョウモン♀)
撮影者:Peelden
撮影日:2014.07.12
オリジナルからの改変、なし

つづけて、今日も、実家の庭で見たチョウをお送りします。

このチョウは、訪問もそう頻繁ではないし、近づこうとするとすぐに逃げるし、あまりにもひらひらと飛ぶので、撮影は1枚で、投げ出してしまいました。

離れた位置からズームをかけると、背景の色に溶け込んで、どこをねらえばいいのかさえ分からなくなりました。それで、ズームをかけるのをやめて、「普通」のセッティングで、「チョウ」を撮影する、というより、チョウのいる「場所」を撮影しました。

そのようにして撮った画像をトリミングしたのが、以下の画像です。

2023.05.31撮影

このチョウが「立って」いるのは、ヴィオラ(Viola)の真横です。

・ヴィオラの近くにいる
・この数日前にわたしは幼虫を見ている
・羽の模様
から、このチョウは、ツマグロヒョウモン(Argynnis hyperbius)のメスであろう、と考えました。

冒頭の借り物の画像中のチョウと、同一種に見えませんか?

学名 Argynnis hyperbius
英名 Indian fritillary「インドの格子模様のチョウ」
和名 ツマグロヒョウモン(褄黒豹紋)
タテハチョウ科(Nymphalidae)ヒョウモンチョウ族(Argynnini)
ツマグロヒョウモン属(Argynnis

動植物の分類の典型は、
科>属>種
ですが、

ツマグロヒョウモン属の場合には、属と科の間に、族(ぞく)が設けられています。
科>族>属>種

漢字が異なるとは言え、「属」と「族」なんて、何も同じ発音の接尾辞をわざわざ選ぶことはないんじゃない? ぶつぶつ

ツマグロヒョウモン属に属する種は、しかしながら、ツマグロヒョウモンだけです。いわゆる、「1属1種」。

Argynnis hyperbius(ツマグロヒョウモン♂)
撮影者:Phonon.b
撮影日:2019.10.22
オリジナルからの改変、なし

冒頭の画像のツマグロヒョウモンはメス(♀)ですが、直前の画像のはオス(♂)です。

「ツマグロヒョウモン」の「ツマグロ(褄黒)」というのは、メスの表の羽の端(つま)が黒いことによります(あるいは、メス、オス、両者の、羽の外縁全体が黒いため、と説明してあるのもあります)。「ヒョウモン」というのは、ネコ科のヒョウ(豹)の体に入る斑点(=紋)から来ています。

メスとオスの羽の裏の違いは、以下でお比べください。赤い模様の出ているのがメス、オレンジ色の模様の出ているのがオスです。(どちらがきれい?)

Argynnis hyperbius(ツマグロヒョウモン♀)の翅裏(羽の裏)
撮影者:ja:user:sphl
撮影日:2005.09.23
オリジナルからの改変、なし

Argynnis hyperbius(ツマグロヒョウモン♂)の翅裏(羽の裏)
撮影者:Laitche
撮影日:2007.09.08
パブリックドメイン

それでは、ツマグロヒョウモンがどこに分布するか、以下の地図でご覧ください。

これは、アメリカのスミソニアン博物館(Smithsonian Institution)のひとつである国立自然史博物館(National Museum of Natural History)のサイトからです。種名 Argyreus hyperbius の後につづく Linnaeus 1763 というのは、「リンネが1763年に命名を公表した」という意味です。

Argyreus hyperbius Linnaeus 1763(英文+画像+地図)

この地図によると、ツマグロヒョウモンは圧倒的に西日本(と朝鮮半島南端?)で多く産するのですが、ツマグロヒョウモンの英語の名前には、その事実が反映されていません。1763年、と言えば、日本は鎖国中でしたからね。

英名の Indian fritillary の Indian「インドの」が、当時、このチョウが「発見」された場所を示すのかもしれません。

Indian fritillary の fritillary は、「サイコロを入れておく箱」あるいは「格子模様の、チェッカーの」という意味です。この同じ語(同語源の語)が、植物のバイモ属(Fritillaria)の名称となっています。

次の花は、そのバイモ属の模式種(基本種)であるフリチラリア・メレアグリス(Fritillaria meleagris)です。確かに、格子模様ですね? でも、バイモ属の花全部が格子模様であるわけではありません。

2021.04.17撮影

学名 Fritillaria meleagris
英名 Snake’s head「蛇の頭」
別名 Chess flower「チェス(の盤のような模様)の花」
和名 フリチラリア・メレアグリス(学名から)
ユリ科(Liliaceae)バイモ属(Fritillaria

バイモにも〜〜

明日は、ツマグロヒョウモンの幼虫をお見せします。幼虫もかわいい、と思ってくだされば、幸いです。


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