シゲちゃんへ

　シゲちゃんは４歳上の従兄のお兄さんです。
最後に会ったのは30年前母方の祖父の入院の見舞い行った時、
一言二言話したのが最後です。

　おととい父と久しぶりにスカイプで話をしたとき
亡くなったと聞きました。

以下はそれを受けて父に送ったメールの一文です。


この竹とんぼは、シゲちゃんが作ってくれたものです。
祖母の家の裏から竹を切り出し、小刀で削って作ってくれました。
シゲちゃんの姿をじっと見ていた記憶があります。

　裏の竹のある坂道で飛ばし、遠くまで飛び過ぎてどこに行ったのか…
二人で一生懸命探し見つかったときはとてもうれしかった。
とてもいい出来で、シゲちゃんは私にあげようかどうか迷った様子、
しかし私の欲しそうな素振りにまけてこの竹とんぼをくれました。

　小学校でよく飛ぶ竹とんぼと評判になり放課後校庭で
私がこの竹とんぼを飛ばし、クラス全員で追いかけ捕まえる。
そんな遊びが流行った時がありました。
この竹とんぼは私の宝物でした。

　シゲちゃんは毎年よく遊んでくれました。
弟を私に重ねていたのかもしれませんね。
毎年会うのが楽しみでした。
大好きないとこのお兄ちゃんでした。

　ご冥福をお祈りします。

いつか墓前へこの竹とんぼと共にお参りできたらと思います。

　
　小学校5年生くらいだったのでしょうかもう40年も前の事、
両親の実家は遠く、親戚付き合いも疎遠でした。
シゲちゃんには弟が居ましたが幼い頃に火事で亡くなった。
その弟の一字は私の妹につけられています。
お墓参りの時、小さな墓標に手を合わせるしげちゃんの姿、
シゲちゃんの私に向ける眼差し、
遠い昔の事、よみがえってきました。
今まで思いもしなかったけど、
そうだったんだね、
自分の弟に竹とんぼ作ってあげたかったんだね
一緒に遊んであげたかったのか
なんか胸が苦しくなってしまった。

向こうの世界で会えたのだろうか
竹とんぼ返さなくちゃ

シゲちゃん
どうか安らかに