78回転のレコード盤◎ ~社会人13年目のラストチャンス~

昨日の私よりも今日の私がちょっとだけ優しい人間であればいいな

◎コミュ障だけど初幹事やってみた(当日編)

2016-03-29 07:44:54 | ある少女の物語

<幹事の任務(14):本番当日、開始前にやること>

 200円で購入した一週間お試しボトルの高級シャンプーで髪を洗い、服を買うお金は無いので全身スーツで決めた。着るもの全てに衣類用フレグランスをたっぷりと吹きかけた。身だしなみは限られた予算で最大限の努力を尽くした。

 まずは会場近くのケーキ屋で予約済みケーキを受け取り、持ったまま開始30分前に会場入り、プレゼントや余興台本の入ったトートバッグを店員に預け、ケーキは冷やしておいてもらう。一方僕は掘りごたつ個室のテーブルに、座席表をもとにネームプレートを置いていく。
 あとは店の前で待機。いよいよ参加者が一人、また一人とやってきた。

(僕)「会費の支払いと、今のうちに一杯目を決めて下さい」

 開催前の会費回収は鉄則。そして、すかさず飲み放題メニュー表を見せ、一杯目のドリンクも参加者チェック表に記入。



これで一杯目を決めるときに「生の人手を挙げて!」などと言う必要もなくなり、余計なgdgdを回避できる。このへんは友人を手伝った経験が活きている。メニュー表はこれだけの為にエクセルで手作りする徹底ぶり(http://officeut.blog72.fc2.com)。



<幹事の任務(15):想定外の事態に対処できるか>

 2人足りないが、ほか全員の1杯目が揃ったところで乾杯の挨拶。
「当店としての送別会を約一年ぶり、正確には378日ぶりに開催する運びとなりました」
 ここで笑いが起き、掴みは成功。初幹事であることも正直に伝え、ハードルを下げた。
 あとはひたすら食べること。どうせ幹事という立場上酒を飲めないし(しかも僕はこのあと夜勤を控えていた)(飲みたい場合はせめて2杯くらいに抑えよう)、せめて食べることを楽しまないとここまで頑張る意味が無い。幹事としては料理を取り分ける、ドリンクを回すことさえしておけば、追加のドリンク注文は各々で勝手にやってくれるし、話題もリア充の皆さんが勝手に出して盛り上げてくれる。しかも僕は電話をするフリをして何度も席を離れた。もはやこれくらいは許してほしい。

 やがて仕事の都合による遅刻者も登場し、結局バックレた一人を除き全員揃ったところで店員にこっそりバースデーケーキを用意してもらう。その間僕は通路に隠れ、ケーキ登場と同時に僕も登場。トートから台本を取り出し、いよいよリア充をギャフンと言わせる為の余興を開始。
 一応は順調に進み、参加者たちは事あるごとに拍手までしてくれた。最大の見せ場である手紙の拝読では笑いが起きてあまり感動にならなかったが、最後の集合写真撮影も含め、予定していた5大企画はほぼ構想どおりに完遂した。
 想定外の事態はこの直後に発生。

(副幹事)「このケーキどうするの? ナイフとか取り皿が無いよ?」

 そこまでは考えていなかった。だが落ち着け僕。まずは店員に相談し、ナイフの貸し出しは出来ないことを告げられる。そこで店員に切ってもらうことに。しかし何等分にすべきか。

(僕)「ケーキ食べたい人手を挙げてください!」

 分からないことは勝手に判断せずに確認を取る。テンパりやすい本番では迷ったときこそ基本に戻ることが大事である。

 こうして3時間、いや、正確には一杯目のドリンクの到着が遅かった店側のご厚意により延長していただき、3時間半にも及ぶ死闘は無事に幕を閉じた。ちなみに延長が決まった場合は当初の終了時刻に「予定通りの時間に帰りたい人はこのタイミングでお帰りください」と伝えるなど、ケツカッチンな人への配慮も忘れずに。終了後、僕は余韻に浸る間もなく夜勤をしに職場へ飛んだ。


<幹事の任務(16):写真の整理と希望者への送信>

 悲劇は2つも起きてしまった。3枚も撮ったはずの集合写真を良く見ると、3枚ともある一人の参加者の顔がほとんど写っていない。他の参加者が重なってしまったのだ。そもそも本番の日、用意していたデジカメは充電していたのにも関わらず開始10分でバッテリー切れ(寿命か?)を起こし、予備バッテリーは予算的に用意できず、その後はスマホのカメラ機能で代用していた。写っていない当事者に謝罪し許してもらいはしたが、36日間も必死で努力し、会場の変更などピンチにも果敢に対処してきた結果がこれとは、無慈悲な現実にも程がある。適当に準備して適当に進行しているノープラン幹事ですら、カメラのバッテリー切れや写真に写らない人が出てくるなんてそうそう起きないだろう。なのに僕は……もしかして呪われているのではないだろうか。

 コミュ障が大きなトラブルも無くここまで頑張れたこと自体、奇跡なのかもしれない。しかし、いざ終わってみると、大きなリターンがあるわけでも無く、参加者の過半数はお礼のメッセージすら無い。

(A男)「それが幹事ってものですよ」

 この男は当日穴が開くシフトに協力してくれた恩人なので、あえて突っ込まないでおく。ついでに言うとB子は非リアではなく彼氏がいることも判明し、僕の想像とは大きく違う明るい子で、心配するだけ無駄であった。とにかくコスパは最悪であり、2次会を5人も同時にキャンセルした謎は不明なまま終わるなど、モヤモヤさえも残る。しかし、いつか上司などから強制的に幹事を任されてしまう時に備えて、今から経験として友人同士で良いので一度は幹事を務めたほうが良いことに越したことは無い。この駄文が一人でも多くの読者に少しでも役に立てたのであれば、三十路貧乏童貞としてはせめてもの救いである。



(Fin.)


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