翌日の朝刊。
不運にも天気は雨。
朝刊を1部1部ビニールに入れる作業で大幅にロスをする雨である。
だが、それで絶望している場合ではない。当方はチラシ入れの順番を変えてみた。
(1)団地:200部
(2)自分の区域(バイク荷台):約200部
(3)自分の区域(店に置いておく):75部
前日の失敗(団地担当A先輩を待たせて怒らせてしまった)を繰り返さないために、団地を最優先する作戦に切り替えた。
しかし、団地のチラシ入れ終了後に中継ポイント送りの分のチラシを入れたのではワゴン車の発車に間に合わない。
なので便利な中継システムの使用は諦めるしかない。バイクの朝刊が無くなったら一旦店に戻って残りの75部を積む作業をしなければならなくなる。
それでも団地担当を待たせてイライラさせるよりはマシ。
というわけで(1)からスタート。団地の分は車で配達するため、ビニールに入れる必要はない。チラシ入れは丁寧にやりつつ、スピードにも気を付けた。
この日も団地担当のA先輩は、当方がチラシを入れた団地の朝刊の束を黙って手に取り、無言で梱包機にかける。何とか怒られずに済んだ。
(1)を終わらせた当方は(2)(3)を急いで行う。あとは自分の区域のチラシ入れのみ。他方への迷惑は防げた。
しかし、それで安心は出来なかった。ビニールに入れる時間が勿体ない。前にも書いたがビニールに入れる機械は2台しかないので待たされるロスもあるのだ。
そしてとうとう、
「まだかよ!」
A先輩の怒りの声。
「お前もバイトで入ってるのか!?」
先日社員からアルバイトに格下げになったW先輩と比べるかのような発言まで。
その後の配達は再び順路帳を見ないで配り、雨にも関わらず4時25分に完遂したが、終始鬱だった。
自分なりに速くやったつもりだった。それでも「遅い」と言われるのなら、このまま毎朝怒られるのではないだろうか。
その翌日は週一しかない貴重な休日。
しかし、色々考えたあげく午前中はチラシ入れの練習をすることにした。寮部屋が店の2階なので、練習のためだけに訪れるのも容易に可能なのだ。
しかも、店長に見ていただき、アドバイスまでいただいた。
チラシ入れ自体はそんなに遅くないが、そのあとの新聞を揃える作業に大いに問題があるとのことだった。
盲点だった。当方は揃える時にモタモタしてかなりのロスになっていたのだ。
チラシ入れのみならず、揃える練習も繰り返し行った。休日とはとても思えない。
しかし、練習をしているところはA先輩に見られてしまった。出来ればこっそり練習したかったが、ここで奇跡が起きた。
「ちょっといい? これは……」
なんとA先輩から話しかけてくれて、一つだけアドバイスをいただいたのだ。
ただ怒るだけの人ではなかったようだ。励みになった。これはもう本当に頑張らねば。
そして翌日の朝刊。
とにかく練習で言われたことに注意しながら、チラシ入れを無我夢中で全速力かつ丁寧に行った。
結果、A先輩に怒られることは一度も無かった。
まだ雑なところはあると思うし完璧には程遠いだろう。
それでも当方は一歩前進したような気分になれた。
朝刊のチラシ入れの風景はもはや戦場。
このまま負けることなく戦い続けられるだろうか。
(一旦完)
不運にも天気は雨。
朝刊を1部1部ビニールに入れる作業で大幅にロスをする雨である。
だが、それで絶望している場合ではない。当方はチラシ入れの順番を変えてみた。
(1)団地:200部
(2)自分の区域(バイク荷台):約200部
(3)自分の区域(店に置いておく):75部
前日の失敗(団地担当A先輩を待たせて怒らせてしまった)を繰り返さないために、団地を最優先する作戦に切り替えた。
しかし、団地のチラシ入れ終了後に中継ポイント送りの分のチラシを入れたのではワゴン車の発車に間に合わない。
なので便利な中継システムの使用は諦めるしかない。バイクの朝刊が無くなったら一旦店に戻って残りの75部を積む作業をしなければならなくなる。
それでも団地担当を待たせてイライラさせるよりはマシ。
というわけで(1)からスタート。団地の分は車で配達するため、ビニールに入れる必要はない。チラシ入れは丁寧にやりつつ、スピードにも気を付けた。
この日も団地担当のA先輩は、当方がチラシを入れた団地の朝刊の束を黙って手に取り、無言で梱包機にかける。何とか怒られずに済んだ。
(1)を終わらせた当方は(2)(3)を急いで行う。あとは自分の区域のチラシ入れのみ。他方への迷惑は防げた。
しかし、それで安心は出来なかった。ビニールに入れる時間が勿体ない。前にも書いたがビニールに入れる機械は2台しかないので待たされるロスもあるのだ。
そしてとうとう、
「まだかよ!」
A先輩の怒りの声。
「お前もバイトで入ってるのか!?」
先日社員からアルバイトに格下げになったW先輩と比べるかのような発言まで。
その後の配達は再び順路帳を見ないで配り、雨にも関わらず4時25分に完遂したが、終始鬱だった。
自分なりに速くやったつもりだった。それでも「遅い」と言われるのなら、このまま毎朝怒られるのではないだろうか。
その翌日は週一しかない貴重な休日。
しかし、色々考えたあげく午前中はチラシ入れの練習をすることにした。寮部屋が店の2階なので、練習のためだけに訪れるのも容易に可能なのだ。
しかも、店長に見ていただき、アドバイスまでいただいた。
チラシ入れ自体はそんなに遅くないが、そのあとの新聞を揃える作業に大いに問題があるとのことだった。
盲点だった。当方は揃える時にモタモタしてかなりのロスになっていたのだ。
チラシ入れのみならず、揃える練習も繰り返し行った。休日とはとても思えない。
しかし、練習をしているところはA先輩に見られてしまった。出来ればこっそり練習したかったが、ここで奇跡が起きた。
「ちょっといい? これは……」
なんとA先輩から話しかけてくれて、一つだけアドバイスをいただいたのだ。
ただ怒るだけの人ではなかったようだ。励みになった。これはもう本当に頑張らねば。
そして翌日の朝刊。
とにかく練習で言われたことに注意しながら、チラシ入れを無我夢中で全速力かつ丁寧に行った。
結果、A先輩に怒られることは一度も無かった。
まだ雑なところはあると思うし完璧には程遠いだろう。
それでも当方は一歩前進したような気分になれた。
朝刊のチラシ入れの風景はもはや戦場。
このまま負けることなく戦い続けられるだろうか。
(一旦完)
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