78回転のレコード盤◎ ~社会人13年目のラストチャンス~

昨日の私よりも今日の私がちょっとだけ優しい人間であればいいな

◎痛い系女子の壮絶な過去……声優漫画に学ぶ「ぼっちが学校で生き抜く術」(前編)

2016-04-21 08:11:59 | ほぼ週刊サンマイ新聞
 1321――これは、『Yahoo!知恵袋』で「高校 ぼっち 女」で検索して出てきた質問の件数である。「同 男」も合わせると実に2000件以上。2016年4月だけでも既に30件以上が投稿され、「休み時間は顔を伏せて寝ているフリ」「班を自由に作ってと言われたら地獄」など、ぼっちの過酷さが赤裸々に綴られている。そんな望んでもいない孤独に悩まされる全ての人に、ある一人の女性を紹介したい。



 アプリで読む漫画雑誌『ジャンプ+』にて2016年2月まで連載されていた『声優ましまし倶楽部』。皆にチヤホヤされるキラキラしたアイドル声優を目指し日々ベクトルの違う奮闘を続ける自己中心的な痛い系女子・真島いろはるが主人公。うっかり転ぶ、パンチラなど計算し尽くされた天然を演じたり、嘘泣きをしたり、パイ寄せで谷間を強調した写真をツイッターにUPしたり、てへぺろは当たり前、髪型をツーサイドアップやおだんごにしたりと、20代前半にしてその痛さは折り紙付き。



 しかし、物語が進んでいくうちに、根は真面目に頑張っていることが明かされる。カフェのアルバイトで店内で行う朗読劇に真剣に取り組むも、怪我人まで出る三角関係のトラブルに巻き込まれる。ネットの生放送へのレギュラー出演が決まるも、現実はデスソース青汁を飲まされたり餅をすすられたりとお笑い芸人ばりの身体を張らされた挙句、監督に気に入られなくなったら即降板の憂き目に遭う。ドラマCDの主演の仕事を勝ち取るも、アニメ化でキャスト変更される。話の所々で痛い部分を見せてはいるが、いろはる自身はちゃんと努力をし、ただ結果が報われないだけだったのだ。やがて共演者に失礼な態度をとることで有名な新人声優・中野アンナからついに核心を突かれる。

「いろはる先輩って真面目ですよね! 学生時代も…制服もキチンと着て…生徒手帳通りに規則正しく生活して…先生にも真面目って褒められたんじゃないですか? みててイライラするんですよ。いつまでピュアな私を褒めてもらえると思ってるんですか?」



 真面目ないろはるが報われず、ゴテゴテのネイルを付けたりするチャラい人や枕営業をする人ばかりが売れていく。このアンナさえも、後に先輩のいろはるを追い越し人気声優に上り詰めるという理不尽。
 痛くても根は真面目――では学生時代はどうだったのか。3月に発売されたばかりの単行本3巻(最終巻)に、なんと前日譚である『放課後ましまし倶楽部』がおまけとして全話収録されていた。



 今の性格とはほど遠い、ぼっちで闇を抱えていた高校時代のいろはる。入学ではなく“転校”というハンデを抱え、しかも登校初日から倒れて保健室に運ばれるという最悪のスタート。話しかけてくれる女子の質問にも上手く答えられず、夜なべで裁縫したポーチはダサいと貶され、一人で食べる弁当はカラスに邪魔され……そんな苦難続きのある日、下校中にバイクに乗った一人の女子と出会う。

(つづく)(#2:1197字)

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