国産割り箸生産状況
次にどこでそれだけの箸が作られているのかを見てみましょう。 国内割り箸製造の中心地は北海道と奈良県で、1998年には、この両県だけで国内生産の70%を製造しています。 ところで、かつては国内生産の半分以上を生産を誇っていた北海道は、1990年以降急激に衰退しています。 国内生産の量も同様に激減しています。 箸の利用量が減少したのでしょうか。いいえ、そうではありません。 実は、これは1990年以降、海外からの安い割り箸が大量に流入してきたことによって、特に安い機会割り箸を製造していた北海道の製造業者が 壊滅的ダメージを受けたからなのです。スギ、ヒノキなどの比較的高級はしを製造している奈良県でも 生産量が30%くらい減少しました。こうして、現在では国産割り箸は、 1膳十数円の高級箸しか採算が取れない状況になり、割り箸総需要の6%を占めるのみとなってしまいました。 割り箸生産にかかわる人口も、1990年には4000人だったのが、1998年には1200人にまで落ち込んいます 輸入はしの推移
それでは、国内箸生産に大打撃を与えた輸入箸とは いったいどんな存在なんでしょうか?まず、右のグラフを見てください。 これは、近年の割り箸の国産量と輸入量の割合を示したグラフです。全体の消費量はほぼ一定なのに対して、 輸入量の割合は明らかに増加しています。これは、これはいったいどういう事でしょう? これは、1980年代に台頭してきたファーストフード系の飲食店・弁当屋がその販売網を拡大したことにあります。 大量にしかも安価な割り箸が必要になり、それに合わせて大手商社が海外での割り箸製造に力を入れたのが、輸入箸の急激な伸びを促したのです。これに対して危機を抱いた国内製造業者が、関税の引き上げを求めたのですが、1999年1月からむしろ5.2%から現行の4.7%に引き下げられてしました。
そして中でも、ダントツの生産量および低価格を実現したのが中国の割り箸製造でした。下のグラフは、相手国先の輸入量の変化を示したグラフです。まず、韓国からの輸入が多かったのですが、韓国でも割り箸利用が普及し、逆に輸入国に転じたため、インドネシア、南アフリカ、カナダ、などから輸入しました。その後、木材資源の枯渇、価格競争の激化によって多くが撤退し、 結果として中国が一人勝ちすることになったのです。