日本一の巨大仏像として、その名を全国的に知られている牛久大仏。
台座を含めた全長は120m。台座を含めなくとも100mの高さを誇り、ギネスブックにも登録されました。
ちなみに世界的には第二位となりますが、青銅製のものとしては世界一だそうです。
日本の巨大仏を見ても立像でいえば、高いもので東京湾観音が56m。加賀観音菩薩が73m、仙台大観音が100m。
立像では基本姿勢が立ち姿の観音菩薩が優勢です。
坐像では鎌倉の高徳院大仏が13.35m、奈良の東大寺毘盧遮那仏が18.3m、房総の日本寺大仏が31mとまさに桁違い。
ちなみに奈良の大仏は牛久大仏の手の平にすっぽり納まってしまいます。
120mも18mも同じく「大仏」とは・・・
たしかに日本で最初に大仏が造られたのは1000年以上も前の話ですから、大仏も時代と共に進化していくのですね。
牛久大仏は茨城県で最も高い建造物としても知られ、牛久の広大な空に孤立する仏像はなんとも印象的。
運転中に、いきなり森林の先から現れる仏様は遠近感が狂ってしまい、特撮映画のへたくそな合成を見ているような気分になってしまいます。
さて、この牛久大仏は浄土真宗東本願寺派が主体となり、1992年に完成。
正式には牛久阿弥陀大仏といい、来迎印をむすんでいるので阿弥陀如来立像です。
戦中戦後あたりから国内で流行している巨大仏の建立ブームのなかでは最大の事業ではないでしょうか。
東本願寺派の運営する公園墓地である牛久浄苑に併設した浄土庭園内に大仏は立っています。
浄土庭園は、牛久大仏をはじめ季節の花が咲く定聚苑や小動物園を兼ね備えた有料施設。
広大な駐車場や、仲見世商店街もあったりと、観光地らしくなっています。(駐車場は無料)
入園料は大仏拝観を含むチケットと庭園のみのチケットで料金が異なっているようで、大仏拝観を含めた料金は800円です。
園内は目の前に巨大な阿弥陀仏が立っているほかは自然公園のようで、さほど宗教感は薄いです。
秋はコスモスの咲き乱れた花畑や、鯉が大量に泳ぎ回る庭園などよく手入れされています。
大仏の台座まで来ると、裏手に入口があり、靴を脱いで胎内巡りができます。
内部に入ると阿弥陀如来の世界を具現化した凝った演出に度肝を抜かれ、2階へ上がると、よくある建立過程を解説した展示室になっています。
さらにエレベーターで地上85mへと登ると、展望室です。
東西南北それぞれ開かれたわずかな隙間から外界を見下ろすことができます。
寺院ではないため、庭園内の宗教色は薄いですが、大仏内はゴリゴリの宗教世界。
他の巨大仏の系譜をしっかりと受け継いだような空間が広がっています。
盆には万燈会が、大晦日の夜には修正会庭が園内で行われる際には大仏がライトアップされて花火も打ちあがるそうで、それはまた驚きのイリュージョンだそう。
むりやりまとめると、スケールの大きさや派手な演出がどこか90年代を影を残す仏教系テーマパークです。
※
牛久市内の様々な場所から見えるものの、なかなか全貌の現れない牛久大仏。
ふもとの駐車場までくるとようやく膝下まで拝むことができます。
仲見世通りを過ぎて、入園口から入ると一気に視界が開けます。
コスモスの花畑が美しいです。
螺髪の頂点には避雷針、胸のあたりには展望用の3つの穴が開いています。
写真を撮るとき、手前に障害物を置くと、大仏が「やぁ」と顔を出しているようで可愛らしく撮れます。
園内の展示物その1.「大仏の1/1000頭部レプリカ」
これだけでも人の身長より高いので大仏ですが、背後にはこの頭部が1000倍になって立っていると思うとやはりスケールが違います。
園内の展示物その2.「等身大の螺髪」
大仏の大きさを紹介するために、螺髪(頭部のうずまき)が等身大で展示されています。
園内の展示物その3.「牛久大仏顔はめ」
観光地にはお決まりの顔はめ。
親子を想定したのか、身長の異なる2体の大仏が描かれています。
顔だけではなく腕にも穴が開いており、来迎印も自ら結ぶことができます。
なんと、大仏が大仏の顔はめをする不思議な写真も撮れます。
いよいよ大仏の正面へ来ると、現代的な門が建っています。
發遣門といい、進行方向右側で鐘を突いてから合唱してお参りするのが習わしだそうです。
門の2階には阿弥陀三尊像が安置されており、くぐった後に振り返ると見ることができます。
門をくぐると、いよいよ大仏へと向かう参道です。
ここで初めて大仏の全貌を拝むことができます。
台座下の樹木と比較して大きさを再確認。
台座付近まで近づくと、さすがに見上げるのに首が痛いです。
正面から。
向かって左側から。
大仏胎内には台座の背後から入ります。
脱いだ靴をビニール袋に入れて、真っ暗な部屋に通されると阿弥陀如来の説明と共に前方の扉が開きます。
すると、中央に阿弥陀如来が安置される空間に誘われます。
照明を多用した華美な空間で、一瞬世界観について行けずに唖然としてしまうこと間違いなし。
ここは「光の世界」と呼ばれています。
階段で2階へ上がると、大仏誕生までの過程のパネル展示。
1階と世界観が異なりすぎて若干拍子抜けしてしまいますが、骨格模型や等身大の親指モデルの展示は興味深いです。
ここからエレベーターに乗って地上85mの「霊鷲山の間」へと向かいます。
エレベーター内の照明も上昇と共に明るくなる演出がついていました。
意外と揺れます。
霊鷲山の間は大仏内に設けられた仏舎利を安置した展望室。
四方に展望室があり、大仏の御体に開いた小さな窓から外界を望むことができます。
視野率が狭く、開放的な眺めではありませんが、地平線に東京スカイツリーなど首都の高層建築物の影が見えます。
取って付けたように視野率の低い展望室は、県内で他に風土記の丘の獅子頭展望台や
水戸市の芸術村展望塔などがあり、茨城ではよくあることのようです。
大仏正面からは浄土庭園と駐車場が見下ろせます。
周囲に他に高い建物がないため、非常に高く感じてしまいます。
正面には發遣門も見えます。
出口は螺旋階段を下った、ひとつ下の階。
広さをもて余したような物販があります。
エレベーターで3階へと下りると、「蓮華蔵の間」。
壁一面の胎内仏が迎えるこの空間は圧巻です。
ひとつ下の2階は「知恩報徳の間」は写経の席がずらりと並び、「念仏の間」もあります。
ちょっと宗教色が濃いです。
出口は1階。
入口とは異なった場所にあります。
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