私はこの夏、婦人科系の手術のためにしばらく入院していました。
大きな病院だったので、昼間は看護師さんなどのスタッフが大勢行き交い
賑やかでしたが
夜はシーンと静まり返っていました。
私が入院していた婦人科の奥に産科の病棟があり、
夜になると新生児の泣き声が聞こえてきました。
夜とはいえ、耳を澄まさないと聞こえないほどのかぼそさです。
4、5回泣くと、泣き声はいつも聞こえなくなります。
私は新米ママが優しく赤ちゃんを抱きかかえ
授乳している姿を思い浮かべました。
手術後、色々な管につながれて、自由に動けなかった私には、
時折聞こえる新生児の泣き声が、幸福の鈴の音のように感じられました。
新しく生を授かった赤ちゃんが、私の心を癒してくれている。
生まれてきておめでとう。
あなたの人生が幸せに包まれたものでありますように。
たまたま同じ病院に居合わせた、生まれたばかりの赤ちゃんと、中年女性の私。
赤ちゃんはきっと、自分の声が疲れたおばさんの心を癒していたなんて、
知る由もないだろうね。
そしてそのおばさんが、あなたの始まったばかりの人生を精一杯祝福していたことも、知らないままなんだろう。
知る由もないだろうね。
そしてそのおばさんが、あなたの始まったばかりの人生を精一杯祝福していたことも、知らないままなんだろう。
きっと世の中には、こういうささやかなご縁のようなものが
たくさんあるんだろう。
気付かないところで、そっと息づいている。