私には昔、学内でも評判になるほどの美人のお友達がいたのだが、
最近、その子のことでよく思い出すことがある。
そのお友達とは、卒業後、同じ会社にしばらく勤めていたのだが、
その会社に、少し年上の、イケメンの先輩(Aさん)がいた。
Aさんは仕事もできるし、後輩にも優しいし、素敵な人だな~と
私はほのかな憧れを抱いた。
そして、美人のお友達に、「Aさんって、素敵だよね・・・」とドキドキしながら打ち明けたところ、
お友達はあっさりと、「この前お茶したけど、彼女いるって言ってたよ」
と言ってのけた。
「お、お茶?!」
「うん、私から声かけたんだけど。彼女がいるから付き合えないって言われた。」
なんという手の早さ・・・。
私がほのかな憧れを心の中で大切に育んでいる間に、友達はさっさとAさんを誘っていた。
そして、「二人きりでお茶をする」という、私にとっては夢のような時間を簡単に実現していたのだ。
素敵なAさんをお茶に誘うなんて、私には怖くてできない。
美人の友達は、断られないことを知っているから、簡単に声がかけられるのだ。
私は美人とそうでない者の格の違いを、このとき、身をもって思い知ったのであった。
(ちなみに私は、自分からストレートにAさんを誘いに行く友達が結構好きだ)
好きになった人に簡単に接近でき、かかわりを持つことができるという点で、
私は美人が本当にうらやましく思う。
ただ、その一方で、負け惜しみにしか聞こえないかもしれないが、
多くの人と関係を持つことで、目に見えない何かを、失うこともあるように思う。
例えば、初々しさ、純真さといった美点は、間違いなく失われるだろう。
それは、誰にとっても等しく、一度限りのものだからだ。
まあ、私は私で、分をわきまえて生きるしかない。
しかし、アラフィフにもなってこんなことを考えている自分って一体。。