もうずいぶん昔の話になるが、ディズニーランドに行った際、
「ミッキーの家」のようなアトラクションがあった。
小さな部屋で、短い時間、ミッキーと過ごすことができるのだ。
行列に並んで待っていると、私の番がやってきた。
ミッキーは手を振って私を部屋に迎え入れてくれて、
腕を組んで私と一緒に写真を撮ってくれた。
そのとき、私はミッキーの腕がとても細いことに気付き、
ミッキーの中の人が、女性であることが分かった。
数分経つと、係の人が「時間です」のようなことを言い、
私は、部屋の外に出るように誘導された。
私はミッキーに背を向けて、部屋の隅の出口の扉のところまで歩いて行った。
そのまま扉の外に出ればよかったのだが、名残惜しかった私は、
ミッキーをもう一度見たくて、扉の前で振り返った。
私は、きっとミッキーは、次に入ってきた人をもてなしているのだろうと思った。
すると、驚いたことに、ミッキーも私の方をじっと見ていて、
私に向かって、笑顔で(被り物だけど…)一生懸命、手を振ってくれた。
私は胸が熱くなった。
私も笑顔でミッキーに手を振りながら、外に出て、そっと扉を閉めた。
私は、ミッキーの、正確に言えばミッキーの中の女性が示してくれた優しさが、
とても嬉しかった。
私は、ミッキーの中の女性が、優しいミッキーを演じてくれたことに、
今でもとても感謝している。
私はその女性の顔も名前も知らないけれど、
その人が示してくれた優しさは、今でも私の記憶に残り続けている。
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蛇足になるが、私はカウンセリングが終わった後、
学生さんが相談室を出るまで、扉の前に立って見送ることにしている。
学生さんが振り返ったときに、笑顔でそこにいたいからである。
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