旅館50

2024-02-10 08:06:37 | 日記
ギギギギッ…ゆっくりと、蓋が開いた。

「思ったより簡単に開けられたね…」

梨花が溜め息をついた。

「もっと厳重にしているかと思った…」

薄暗い中、そっと覗き込むと、そこには白い箱がポツンとひとつだけ入っていた。

「これを、どうするの?」

「とりあえず、物置小屋に持って行こう。」

「二つを近づけて大丈夫かな?」

「わからない…。それじゃ、この先の"やり方"を衣栄ばあちゃんに聞いてからにしようか…」

その日、その大きな木箱は、再び閉じて、衣栄おばあちゃんの話しを待った。

その後数日は、
衣栄おばあちゃんが、認知症が出てきているため、なかなか思うように話しが聞き出せずにいた。

幹太もまだ退院ができずにいた。