「何も無いよ!大丈夫だよ」
正人は笑って松田の背中をたたく。
「うわっ!」
正人が背中をたたいたせいなのか、松田は腰を抜かしたかのように尻もちをついた。
「あ、ごめん!大丈夫か?」
松田は、地べたに座り込んだまま、静かに後ろを振り返る。
「ひっ!うっ、うわ~~~!!!」
松田は聞いたこともない声を出して、四つん這いで走り出した。
直樹は呆然として、松田を見ていたが、苦しくなって、我に返った。驚きのあまり息をしていなかったようだ。
「お、おい!!松田~!」
直樹と正人は、四つん這いで走り去った松田を追った。