トイレの花子さん 5

2019-12-07 05:34:08 | 日記
『ぱたっ、スー、ぱたっ、スー…』

「コン…」

また、次の個室もノックしている…。

私の事探してる?

だって、個室をノックして、誰もいないのに…また次の個室をノックするなんて…。

変だ…。

どうしよう…。


『ぱたっ、スー、ぱたっ…………』

立ち止まった?

隣の個室の前だと思う…。

ノックの音がしない…。

何だろう…。

だけど、次は、私が入っている個室の番だ…。

とにかく、息を潜めて、足音を聞いた。

『ぱたっ、スー、ぱたっ、スー…』

……え?遠ざかった…。

私が入っている奥まで来ないで、引き返していく…。

『ぱたっ、スー、ぱたっ、スー…』

足音は出て行った。

そして、足音は、渡り廊下の方へ消えていく…。

怖くて、なかなかトイレから出られない…。



「日の出公園の入口で待ってて~!」

人の声だ。

誰かがトイレに来た。

良かった…。

『バンッ』と勢い良く扉を開ける。

手を洗うのも忘れて、急いで渡り廊下へ。

(とにかく、“人”を確認したかったんです)

「先、行ってて!」

上級生が走ってトイレに入ってきた。

とにかく、急いでさっきの足音の主の姿を探した。

あの足取りなら、まだ渡り廊下の途中にいるはずなのに…。

『誰もいない…』


何だったんだろう…。

どうして、私が追われたんだろう…?

私でなくても同じだったのかな…?

考えても考えてもわからない。

教室に戻る頃には、意外と冷静になっていた。

つづく。。。


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