「今季は投打共にピリッとせず、大苦戦を強いられるだろうなあ。」と開幕前に予想していたジャイアンツだが、蓋を開けてみれば思っていた以上に投打が揮わず、開幕戦から6試合を終えた時点で「2勝4敗」と、カープ(優勝チームに予想していたので、低迷は予想外。)と並んで最下位に沈んでいた。
ドラゴンズに3タテを食らい、迎えたタイガースとの3連戦。セ・リーグでは勢いを感じるのはベイスターズとタイガースだったので、「3タテだけは食らわないで欲しい。」という弱気な思いしか無かったのだが、終わってみればジャイアンツの「2勝1敗」。「勝負事は、実際にしてみないと判らない。」というのを痛感。
4日に行われた第2戦、勝つには勝ったけれど、冷や冷や勝ちという感じだった。然し、昨日の第2戦に関しては、比較的安心して見ていられた。ジャイアンツの先発・高木勇人投手が安定した投球を見せてくれたからだ。怖いタイガース打線を相手に、結果として食らったのは2安打だけの初完封勝利。ルーキーの彼は3月29日の初登板で、ジャイアンツとしては55年振りの“新人開幕カード先発白星”を記録したが、昨日の試合に勝利した事で、“ジャイアンツの新人ローテーション投手としての開幕2連勝”は15年振りの事とか。天晴で在る。
投打共にスッキリしないチームに在って、彼は「家貧しくして孝子顕る」を体現した様な存在。そんな彼を見ていると、或る投手の事が思い浮かぶ。
今から40年前の1975年、投打共に揮わなかったジャイアンツは、史上初の最下位に沈んだ。チームの立て直しを図るべく、当時の長嶋茂雄 監督は大トレードを2つ行った。1つは張本勲選手(外野手)の獲得、そしてもう1つは加藤初投手の獲得だ。
【加藤初投手】
当時、太平洋クラブライオンズに所属していた加藤投手は、プロ入り4年目を終えた選手だった。4年間で「45勝50敗」という結果を残しているのだから、立派な主力投手。
「イケメンとは言えない地味目の顔で、何方かと言えばむっくりとした体型。」、「ドラフトでは、上位指名では無かった。」、「ジャイアンツに加入して1年目だけれど、若手と言うには年齢が上。」、「投壊状態のチームに在って、救世主的な活躍を見せてくれた。」等、加藤投手と高木投手には共通点が幾つか在り、どうしても2人を重ね合わせてしまうのだ。
毎年の様に“ドラフト候補”と呼ばれ続けるも、2014年秋迄、5度の“指名漏れ”を経験して来た高木投手。ドラフト候補と呼ばれる様になってから6度目の昨年、ジャイアンツからドラフト3位指名を受け、夢のプロ入りを果たした苦労人でも在る。
ジャイアンツに入って1年目の1976年、加藤投手は「15勝4敗8セーヴ」の好記録を残し、チームをリーグ優勝に導く原動力となった。以降、1990年に引退する迄、ジャイアンツでは通算で「96勝63敗22セーヴ」と活躍。高木投手には、そんな加藤投手の様な頼れる投手になって欲しい。頑張れ!!!