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何処かの誰かが、幸せで在ります様に。
失恋した許りの社会人と、元虐められっ子のスパイ。知らない内に誰かを助けていたり、誰かに助けられたり。2人の“仕事”が交錯する、現代版御伽噺。
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「変わった名前の人物が、数多く登場する。」、「摩訶不思議な世界観が貫かれている。」、「少し変わった格言&至言が多用されている。」、「全く無関係に思われた様々な事柄が、最後の最後には絶妙にリンクしている。(伏線の敷き方の上手さ。)」といった点が、伊坂幸太郎氏の作品の特徴。特に「全く無関係に思われた様々な事柄が、最後の最後には絶妙にリンクしている。(伏線の敷き方の上手さ。)」というのは、彼の作品を読む度に唸ってしまう程。
今回読んだ「マイクロスパイ・アンサンブル」も、上記の特徴を十二分に満たしている。ネタバレになるので詳しくは書かないけれど、此の作品は“伊坂版『コロボックル物語』”といった感じで、摩訶不思議な世界観が際立っている。
又、「彼の時の事柄が、こういう形でリンクしていたのか。」と感心させられる点が幾つも設けられていて、伏線の敷き方の上手さは健在。物事を常に多角的に捉えていなければ、こういう発想は生まれて来ないだろう。
「何処かの誰かが、幸せで在ります様に。」というのは、文字にしてしまうと偽善的な感じになってしまうけれど、こういう小説を読むと、ほんわかとした気持ちになれるのも事実。少しでも多くの人達が、こういう思いを少しでも長く持ち続けられれば、世の中から無益な争い事が無くなるだろうに・・・。
総合評価は、星3つとする。