“鉄仮面”死す

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「【巨人】元投手・加藤初さん死去　６６歳、直腸癌で」（１２月２０日、スポーツ報知）

 

巨人は２０日、元巨人投手の加藤初氏が１２月１１日に直腸癌の為、６６歳で死去していたと発表した。妻・和江さんを喪主として、通夜、葬儀は既に執り行われた。

 

加藤氏は１９４９年１２月２０日、静岡県出身。吉原商から大昭和製紙等を経て、１９７１年ドラフト外で西鉄に入団。１年目の１９７２年に１７勝１６敗、防御率３．９５で新人王に輝いた。１９７６年には、巨人にトレード移籍。同年１５勝を挙げる等、巨人でも２桁勝利を４度マークした。

 

プロ１９年間で４９０試合に登板し、１４１勝１１３敗、２２セーヴ、防御率３．５０。現役引退後は西武、台湾、韓国でコーチを務め、手腕を発揮した。

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渾身の力を振り絞り、「腕も折れよ。」と言わん許りに投げていた西本聖投手は、好きな選手の１人。彼の様に闘志を剥き出しにする選手も好きだが、地味に黙々とプレーする、言ってみれば“職人気質”の選手も好きで、加藤初氏はそんなタイプの選手だった。西本＆加藤両氏に共通するのは、「武骨で、“昭和”を感じさせる男。」という事だろう。

 

プロ１９年間の内訳は「西鉄ライオンズ（→太平洋クラブライオンズ）：４年間、ジャイアンツ：１５年間」と、ジャイアンツ在籍期間の方が圧倒的に長い。でも、良い意味で“泥臭さ”を保ち続け、“ジャイアンツ色”に染まらなかった選手という感じがしている。

 

実際には非常に陽気な性格だったそうだが、マウンド上での彼は無表情を貫き、其れが故に“鉄仮面”なる愛称を付けられたりもした。ピンチを迎えると、動揺が表情や仕草に露骨な程出てしまう投手が少なく無いけれど、どんな時でも無表情で、只管投げ抜く加藤初投手が、ファンからすると何れだけ頼もしく感じた事か。【動画】

 

ジャイアンツが、球団史上初の最下位に沈んだのは１９７５年の事。其の年のオフ、ジャイアンツは次々とトレードを敢行したが、張本勲選手や加藤初投手は、其の際の移籍組。翌年、ジャイアンツが優勝出来たのも、彼等の力が大きかった。ジャイアンツ・ファンとしては、感謝してもし切れない選手達。

 

加藤投手の思い出は幾つも在るけれど、一番印象に残っているのは「ジャイアンツへ移籍した年の４月１８日、カープ相手に史上５１人目のノーヒットノーランを達成した試合。」だ。何時もは無表情な彼が、はにかむ様な表情を浮かべ、喜びを表していたのが、今でも忘れられない。

 

良い思い出を一杯残してくれて、本当に有難う御座いました。左様なら、鉄仮面。