
著名人が亡くなった際、むやみやたらと「巨星堕つ」という表現が使用される。「そんなに巨星って在るのか?」と突っ込みを入れたくなる自分故、この表現は出来る限り使わない様にしているのだが、今回はその禁を破る。映画監督の市川崑監督が御亡くなりになったのは、正に「巨星堕つ」という表現が相応しいからだ。
「火の鳥」という超駄作も在ったが、彼の作品には「斬新なカット割」や「独特な映像美」が堪能出来る物が多く、大好きな映画監督の一人だった。特に好きな作品が所謂「金田一耕助シリーズ」で、当ブログでも過去に「犬神家の一族」、「悪魔の手毬唄」、「獄門島」を記事にしている程。登場人物同士が矢継ぎ早&重ね合わせて台詞を吐くといった演出は緊張感を弥が上にも高めたし、“大正男のロマンチシズム”が映像美として溢れ返っていた。
金田一シリーズだけでも名場面は枚挙に遑が無いが、「病院坂の首縊りの家」のラスト・シーンは特に忘れられない。車夫・三之助(小林昭二氏)と人力車に乗り込んだ法眼弥生(佐久間良子さん)との哀愁漂う遣り取り。「三之助の牽く人力車が病院坂と呼ばれる急な坂道を降りて来る。→朽ち果てた法眼病院前で静かに人力車が止まる。→三之助が静かに覆いを捲ると、中には服毒して事切れた弥生の姿。→弥生に対して深々と頭を垂れる三之助。」という一連の流れ。遠目、又は近めからと上手く切り替えられた映像が実に美しい。
享年92歳というのは天寿を全うしたと言えるのだろうが、もっともっと素晴らしい作品を生み出して欲しかった。本当に残念だ。合掌。
「火の鳥」という超駄作も在ったが、彼の作品には「斬新なカット割」や「独特な映像美」が堪能出来る物が多く、大好きな映画監督の一人だった。特に好きな作品が所謂「金田一耕助シリーズ」で、当ブログでも過去に「犬神家の一族」、「悪魔の手毬唄」、「獄門島」を記事にしている程。登場人物同士が矢継ぎ早&重ね合わせて台詞を吐くといった演出は緊張感を弥が上にも高めたし、“大正男のロマンチシズム”が映像美として溢れ返っていた。
金田一シリーズだけでも名場面は枚挙に遑が無いが、「病院坂の首縊りの家」のラスト・シーンは特に忘れられない。車夫・三之助(小林昭二氏)と人力車に乗り込んだ法眼弥生(佐久間良子さん)との哀愁漂う遣り取り。「三之助の牽く人力車が病院坂と呼ばれる急な坂道を降りて来る。→朽ち果てた法眼病院前で静かに人力車が止まる。→三之助が静かに覆いを捲ると、中には服毒して事切れた弥生の姿。→弥生に対して深々と頭を垂れる三之助。」という一連の流れ。遠目、又は近めからと上手く切り替えられた映像が実に美しい。
享年92歳というのは天寿を全うしたと言えるのだろうが、もっともっと素晴らしい作品を生み出して欲しかった。本当に残念だ。合掌。

遺作が代表作「犬神家の一族」のリメイクになったことはご自身でもう近いな。。。とお感じになってたのかも知れません。
ご冥福をお祈りいたします。
あの、「石坂浩二版水戸黄門」のオープニング・タイトル、まるで紋次郎みたい、と思ったら市川監督の名前が出てきて納得したものです。
「東京オリンピック」、この映画を初めて見たのはモスクワ五輪の年、ボイコットすべきか否かで世論が二分していた時期に、テレビ朝日がノーカットで放映したのでした。当時、テレ朝は五輪の放映権を独占入手していただけに、ボイコット反対の世論を盛り上げたかったのでしょうがそんな思惑はともかく素晴らしい映画だと思います。
戦後、わずか19年の沖縄や広島を聖火が通過するシーンが当時は世界に向けての大きなメッセージだったと思います。男子100mに10000m、マラソンなどが名シーンですが、まだ広い田んぼや藁葺き屋根の民家が残る東京の郊外を走りぬける自転車ロードレースのシーンも好きです。現在の人気スポーツであるサッカーやバスケットがほんの数秒しか出て来ないのも時代を感じます。
ご冥福を祈ります。
年齢を考えますと或る程度“先”を考えてしまうとは思うのですが、少なくとも「犬神家の一族」(リメーク版)が完成した直後のインタビュー(「筑紫哲也 NEWS23」)での御姿は健康そのものでしたし、御本人も「後10数本は撮りたい。」と意欲を見せておられましたね。少なくとも“あの時点”では、未だ未だ作品を作り続ける意欲を御持ちだった様に感じました。
上映年で言いますと遺作は「犬神家の一族」(リメーク版)では無く、11名の監督で撮り上げたオムニバス作品「夢十夜」の第二夜になる様です。個人的には金田一シリーズ、それも“彼の手で”映画化されていない作品(「本陣殺人事件」や「仮面舞踏会」等。)を撮って欲しかったです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A7%81%E3%81%AF%E4%BA%8C%E6%AD%B3
山口百恵の「古都」も市川さんだったんですね。むかーしにテレビで見て、いい作品だなーと思い、原作の文庫本を買い…、読破できず^^;。
「東京オリンピック」はベルリンの記録映画やグルノーブルの「白い恋人たち」と並んで数年に一回はNHKBSあたりで放映されますよね。
ご冥福を祈ります。
上州新田郡 三日月村の貧しい農家に生まれたという
十歳のときに国を捨て その後一家は離散したと伝えられる
天涯孤独な紋次郎が
なぜ 無宿渡世の世界に入ったかは定かではない
まだ、覚えているよ(*^_^*)
市川監督の作品について語り始れば、
“一晩でも足りない”
まさにそんな気持ちですが、
仰るように、
「病院坂の首縊りの家」は、私も傑作だと思います。
シリーズの他作品に比べ、知名度では劣りますが、
魅力ある場面にちりばめられた作品ですネ!
佐久間さん扮する弥生さんに醸し出されるその叙情性、
桜田淳子さんの美しさ、演技の上手さ、
草刈正雄さんと岡本信人の場面の楽しさ♪
何度も観返したくなる作品の1つです。
人力車での「永の別れ」の場面、
屈指の名場面といえますネ。
静かだった水面が波立つような、
喩えようもない感動が体を走ります。
市川監督のシャープさ、そして技巧が際立ちすぎて、
映像作家としての評価も低かったように思えるのも残念です。
心より、ご冥福をお祈りしたいと思います〆
黒澤明監督に木下恵介監督、小林正樹監督、そして市川崑監督という我が国を代表する4監督で結成された「四騎の会」。この会で練り上げた脚本が「どら平太」で、4監督共同で映画化される予定でした。しかしそのプランは宙に浮いたまま、小林監督、黒澤監督、そして木下監督が鬼籍に入られてしまい、結局2000年に市川監督の手で映画化されたのは有名な話。今回、市川監督が鬼籍に入られた事で、四騎の会のメンバーは全てあの世に旅立たれた事になります。
黒澤監督が「巨費と長い時間を要して作品を作り上げる監督。」ならば、市川監督は「与えられた予算内で、出来るだけ短期間にベストな作品を作り上げる監督。」と言って良いかと。斬新なカット割や映像美にどうしても目を奪われがちですが、金田一シリーズの様におぞましいシーンが次々に登場する作品でも、時折クスッと笑ってしまうシーンが挟み込まれていて、“遊び心”の在る監督でも在りました。元々はディズニーのアニメに憧れてアニメーターを務めていた事も、そういった遊び心を促進させたのではないでしょうか。
「古都」は確か山口百恵さんの引退記念作品だったと記憶していますが、これも映像美溢れる物でしたね。「私は二歳」は御祖母ちゃん役の浦辺粂子さんが印象的でした。
そういえば畑正憲の『子猫物語』にも一枚かんでますね(笑)