重荷だったのかなあ・・・

新人選手として毎年プロ野球の世界に入れるのは１００人前後で、「倍率で言えば東大に入るよりも、プロ選手になる方が遥かに難しい。」と言われている。アマチュアの世界でエリートとされた選手達の中から、更に選り抜かれた者がプロの世界に進む。そして新人の中から特に見所が在るとされた選手は、偉大な“先輩”の名前を冠して「○○二世」と呼ばれる事も。

プロ野球の世界では過去に、そういう「○○二世」と称された選手達が少なからず居た。しかし、そう呼ばれた選手の殆どが力を充分に発揮出来ないまま、球界を去って行ったのも事実。当人の実力不足という面も在ろうが、その偉大な先輩を意識し過ぎ、結果として重圧に押し潰されてしまったという面も結構在ったのではなかろうか。

昨日、バファローズの小瀬浩之選手（２４歳）が、春季キャンプで選手宿舎とする沖縄・宮古島市のホテルで転落死しているのが見付かった。警察は「自殺の可能性が高い。」としているが、本当にショックなニュースだ。２００７年の大学生・社会人ドラフトでバファローズから３巡目に指名を受けて入団した彼は、１年目から１軍に定着。２年目の昨年も１軍で７８試合に出場し、規定打席不足乍ら３割３厘の打率を記録。「イチロー二世」とも呼ばれ、将来を嘱望された選手と言って良い。昨年１２月に結婚式を挙げたばかりの、そして一昨日には元気な姿で練習していた彼に、“死の影”を感じた人は居なかったのではないだろうか。

普段は「明るいキャラクター」で通っていた小瀬選手。唯、明るさを前面に出している人の中には、辛い部分を無理矢理に自分の中へ押し込めているケースも結構在るもの。小瀬選手の場合も「『イチロー二世』と冠された事が非常に重荷となり、高い理想と現実の中でもがき苦しんでいたのかなあ。」と思ったりも。もしそうだったとしたら、余りにも可哀想でならない。

小林繁氏、そして桑田真澄氏の父親の死と、今年は球界関係者の哀しい報道が続いている。「球春到来！」という事で球界の楽しい話題を書いて行きたかったのだが、若くしての小瀬選手の死は本当に残念だ。合掌。