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大映ドラマ:大映テレビが製作したドラマで、主に1970年代から1980年代に掛けての物を指す。大きな特徴としては、次の点が挙げられる。
1.「主人公が運命の悪戯に翻弄され乍らも、最後には幸運を手に入れる。」という、所謂「シンデレラ的ストーリー」。「赤ん坊の取り違え」や「不治の病」を題材にした作品が多い。
2.衝撃的で、急速な起伏を繰り返す展開。
3.オープニングは「此の物語は・・・」といった仰々しさ、そしてストーリーの最中では、一見冷静な体裁を取りつつ、時に状況をややこしくするナレーション。芥川隆行氏や来宮良子さんが務めていた。
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大映ドラマと言えば、山口百恵さんと三浦友和氏がメインで出ていた「赤いシリーズ」【動画】は、当時夢中になって見ていた。1970年代の事だ。しかし、1980年代の作品となると、全て通して見たのは「高校聖夫婦」【動画】と「スクールウォーズ」【動画】、「青い瞳の聖ライフ」【動画】だけ。「スチュワーデス物語」【動画】や「少女に何が起こったか」【動画】等、大ヒットした作品は少ししか見ていない。
近年、CS放送で大映ドラマが次々に再放送されている。大好きだった「赤いシリーズ」を見て、懐かしさを覚えたりする一方、未見の作品を初めて見て「面白いなあ。」と嵌まったりも。先達ては「乳姉妹」【動画】を見て、今は一昨日&昨日に一挙再放送された「ポニーテールはふり向かない」【動画】を録画し、少しづつ見ている状況。
「ポニーテールはふり向かない」は伊藤かずえさん(大好きだった!)に松村雄基氏、鶴見辰吾氏といった大映ドラマの常連俳優が顔を揃えている。(マニアックな話で言えば、坂上二郎氏の娘・坂上亜樹さんも常連俳優の1人。)下川辰平氏、フランキー堺氏、高橋昌也氏、そして名古屋章氏と物故者もちらほら居り、30年近く前の作品というのを改めて感じさせられる。
「此の物語は、3歳で母と別れ、18歳で父を失い乍らも、あらゆる迫害と闘い、振り向く事無く、ドラマーとしての自己を確立した一少女と、挫折し乍らも、軈て己の道を開いた若者達の記録で在る。」という“芥川節”のオープニングで始まる此の作品、此方の粗筋の如く、「此れでもか!」と言わん許りに、次から次へと災難が登場人物達に降り掛かる。典型的な“大映ドラマ”と言って良い。
携帯電話が普及していなかった当時、鶴見辰吾氏演じる名倉邦男が、車を運転中に大きな自動車電話の“受話器”を耳に当てて話すシーンが在るのだが、画面の下に「今は、運転中に電話で話すのは違反です。」といったテロップが表示。そう、当時は未だ、運転中に電話で話すのは違反で無かったのだ。(日本で違反となったのは、1999年11月から。但し、ハンズフリー使用等は除く。)
大袈裟で時代錯誤的な台詞も健在。名倉邦男の「女とビールは、冷たくするに限るぜ。」や「君、そんな所に立っていても、犬や猫じゃあるまいし、僕の愛情には在り付けませんよ。さあ、帰った帰った。」、野々村真(当時は「野々村誠」。)氏演じる脇田克己の「此の俺の蜂蜜の様に甘いマスクとヴォイス。」等の台詞も笑えるが、一番笑ってしまったのは伊藤かずえさん演じる麻生未記の台詞だ。
1970年代後半、中身が空っぽという事から、「頭が悪い。」という意味で、「頭がピーマン。」という言葉が流行ったが、其れに近い匂いを感じる。