先日、経団連の新会長に就任した東レの榊原定征会長が「政治献金の斡旋」に言及したが、其の翌日、政府・与党は「来年度から、法人実効税率を引き下げる。」という方針を決めた。「政治家との癒着を無くす為、血税にて政党を助成する代わりに、企業及び団体からの献金廃止の方向に進む。」としていた筈なのに。結局は「『自分達に有利な方向へと環境を変えて欲しい企業側』と『政治献金で懐を潤したい政治家』という、両者の“利益”が一致した見え見えの出来レース。」で、共に「国民」を蔑ろにしている感じがする。
「日本は他国に比べて法人税が高い。」として、だから「日本企業の競争力が失われてしまっている。」とか「海外から企業を呼び込むのが難しい。」というのが“法人税引き下げ派”の言い分だが、経済面での知識に乏しい自分としては「確かに、そういう面は在るのかもしれないなあ。でも、本当にそうなのかなあ?」と、判断に迷う案件では在った。
モルガン・スタンレー等を経て、投資会社でM&A等を手掛ける“ぐっちーさん”という人物が、AERAで「ぐっちーさん ここだけの話」というコラムを連載している。6月2日号では「日本の法人税 本当に高い?」というタイトルで、法人税の引き下げに付いて疑問を呈していた。興味深い内容だったので、下記する。
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「日本の法人税 本当に高い?」
将来の社会保障費をカヴァーする為に、消費税率の引き上げは止むを得ない―と言っておき乍ら、今度は法人税は引き下げる。そんな大企業が大喜びしそうな政策が動き出しています。
日本は法人税が諸外国に比べて高いから、日本企業の競争力が失われる。或いは海外から企業を呼び込むのに不利というのが、理由の様です。でも、抑此の話、おかしいのです。
諸外国に比べてと言いますが、法人の活動環境は国によって、全く違います。例えば、法人税率が断トツで低いシンガポールは、あらゆる収入が海外から遣って来る企業の法人税や、其の従業員の所得税に頼っており、国家其の物が海外企業の誘致で成り立っている。言わば生命線が海外企業なので、法人税を安くしてどんどん誘致しなければ、国の存続自体が危ぶまれます。
一方、日本の大多数の企業は、此の日本という国を市場にして商売している訳で、此れだけ豊かな1億人以上もの人間が住んでいて、同一の言語を喋っているなんてマーケットは、世界中の何処にも在りません。其れだけ日本という市場に魅力が在り、其処で実際に稼いでいる訳ですから、日本に税金を払うのが筋で在って、全く状況の違う国と税率を比較する事自体がナンセンスなのです。
日本企業が海外へ逃避するかもしれないから、成長戦略を維持する為に法人税率の引き下げが必要だ、という話も怪しい。海外売上比率が50%を超えている様な企業で在れば、其の売り上げが発生する地域に移って行く合理性は在るかもしれません。しかし、東証上場企業の内海外売上比率が50%超の企業は、僅か8%、詰り約3,500社中280社に過ぎません。其の他の大多数の企業は結局、日本国内で日本人相手に稼いでいる訳ですから、恩恵を受けている日本という国に相応の税金を払うのは、当然でしょう。
社会の安全、充実した医療、正確な公共交通機関等を合わせて考えてみると、其れ等のコストを企業が個別に負担し、支出しなければならない諸外国に比べて、日本の法人税率は決して高い事は在りません。高校生の娘を会社をさぼって一々親が送り迎えしなければならないアメリカと、安心して電車通学出来る日本とでは、トータル・コストが実際何方が安いのか、という議論が必要です。
税率だけが決定要因では無いのです。
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改正貸金業法で定められた「上限金利」を、自民党が緩和する方向で動いている。「緩和」というと良い意味合いの様なイメージが在るが、貸金業者が金を貸し出す際の金利を高くするという事で、現在の20%から2010年迄適用していた29.2%に戻す方向とか。「銀行からの融資が受け難い中小零細企業等が、消費者金融から借り入れ易くする為。」等の理由を口にしているが、厳しい取り立てで自殺者が続発した“サラ金地獄”の時代を知っている身としては、消費者金融からの政治献金を欲しいが為の動きとしか思えない。此処でも、国民不在の匂いが。
「特定の国や国民を激しく蔑む言動をする事で、“自分達”の存在を高め様としている。」、「他者を蔑む言動をしても『彼は冗談。』の一言で誤魔化す癖に、他者が自分に対して冷やかす言動をすると『下品で許せない!』と激怒する。」、「他者には異常に厳しい一方で、自分や自分の身内には甘過ぎる位甘い。」等、「保守」を声高に叫ぶ連中には、似た部分が結構多い。(極左と呼ばれる連中にも、共通した所を感じるが。)“保守ごっこ”に明け暮れ、国民不在の政治が推進される先には、どんな“美しい国”が待っているというのだろうか。
安倍首相、前回の政権を途中で放り出した事が、相当のトラウマになっている様ですね。「悲願で在る改憲を出来なかったのは、周りが僕ちゃんの足を引っ張ったからだ。」という被害者意識が強過ぎたのか、今回は「マスメディアの重鎮を接待漬け等で味方に付ける。大企業には様々な便宜を図る事で、此れ又味方に付け、同時に政治献金をガッポリ貰う。此れで、長期政権は確実だ!」という思いが、透けて見えてしまう。
自分のサポーターには甘い汁を吸わせ続ける一方で、其の負担を一般国民に次々背負わせるのでは、自分も全く納得がいかない。「国家は、一個人の“欲望”を満たす為に存在するのでは無い。」という当たり前の事が、安倍首相には欠落しているのでしょうね。
拉致被害者の救出も国家の責務で在り、絶対に行わなければいけないとは思っているけれど、「北朝鮮に金銭をばら撒く事で何人か返して貰えれば、支持率アップは間違い無い!」という意図が在るのだとしたら、拉致被害者家族をも愚弄していると思います。
「法人実効税率を大幅に下げれば、経済が活性化され、結果として(法人実効税率を下げた事による)税収減を上回る税収が在る筈。」と政府は算盤を弾いている様ですが、そんな“夢物語”だけで遣って行く訳も無く、結局は減収分を何等かの形で国民に負わせるのは確かでしょうね。其れが消費増税で在り、諸々の増税で在ると思うし、要は「企業を富ませ、国民を疲弊させる。」事になる。
「年収が1千万超の人からは、残業代を取り上げる。」というのも、マヌケ様が書かれている様なケースだって在るし、過去の政府の“拡大解釈好き”を考えれば、奨励的にはボーダーラインがどんどん下がって行く事だって在り得ない話では無い。
其れらしい理由を捏ね繰り回しては、「残業代無し」や「非正規社員の増大」を図ろうとしている政府に対して、最も被害を食らうで在ろう若者達の反発が今一つ少ないのが、本当に不思議。
先達て、長崎に修学旅行中の中学生が、被爆者で在る語り部に「死に損ないの糞爺!」等の罵詈雑言を吐いて、説明の妨害をしたとの報道が在りましたね。蛮行を止められなかった付き添いの教師もどうかとは思うけれど、此の一件に関して、明治天皇の玄孫を自称している野卑な男が、自身のツイッターで“暴言”を吐いていた事を知りました。
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長崎の修学旅行で横浜の中学生が語り部に「死に損ないの糞ジジイ」と暴言を吐いた。年寄りに暴言は良くない。だが語り部の森口貢氏は、被爆していないのに被爆者を自称して一時間一万円で生徒に被爆体験を語るふりをし、実際は反日思想を植え付ける話をしていた模様。平和教育はもうやめたほうがよい。
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件の語り部が被爆者では無いというのは、全くの事実無根。1万円というのも、交通費を含めてという事ですし、何を以て「反日思想」と言うのか?公の場で語る以上は「模様」なんぞという曖昧さは如何なものか?以前より彼の野卑さには辟易としていたし、こういう事を自称「明治天皇の玄孫」の人物が口にする事で、被爆者に対して真摯に向き合っていたで在ろう天皇や皇后をも卑しめる事になると思うのですが。
国に反意を示したり、不都合な事実を主張すれば、其れが「反日行為」とされ、バッシングされるという風潮が強くなっているのは、実に憂慮される事。「美しい国」とは、自国にとって良い事も悪い事も自由に主張出来る国で在り、不都合な事をも主張出来ないのでは、中国や北朝鮮と一緒。面白おかしくバッシングしている連中は、そんな国が「美しい国」と思っているのだろうか?