打てなければ守る

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「巨人・原監督　劇的な幕切れに『呼吸が止まった。』」（６月４日、デイリースポーツ）

 

「交流戦、巨人１－０オリックス」（４日、東京ド）

 

巨人がオリックスに競り勝ち、単独首位に浮上した。

 

１－０で迎えた９回、１死満塁。先発のマイコラスが投じた１３３球目。オリックス・Ｔ－岡田の放った強烈な打球が、３塁線を襲った。マイコラス自身も「遣られたと思った」と覚悟を決めたが、３塁手の吉川が横っ飛びで好捕し、３塁ベースを踏んで、１塁へ転送。３ゴロ併殺にする超ビッグ・プレーで、ゲームセットとなった。【動画】

 

原監督は「スーパー・プレーとは、彼のプレーを言う。声も出ませんし、呼吸も止まった。そういう状況の中で終了し、其の後は歓喜となった。」と、吉川のビッグ・プレーを振り返った。

 

一方、チームを救った吉川は「兎に角、必死でした。緊張していて、覚えていません。」と興奮を隠せず。オフに中日を戦力外となり、巨人入りした苦労人は、「中日時代から、１球でも抜いた様な事が在れば、怒られていた。其れだけは、ジャイアンツに来ても、確り遣ろうと思っていた。キャンプから、１球も気を抜いた事は無い。野球をやっている以上、１００％続けて行きます。」。努力の積み重ねが、ビッグ・プレーに繋がった。

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昨年オフ、金城龍彦選手や相川亮二選手と年が行った選手を獲得したジャイアンツに、「場当たり的な補強としか思えない。」と批判したが、今は「彼等、特に相川選手が居なかったら・・・。」と思うと、ぞっとする。井端弘和選手といい、アラフォー選手の活躍は、おっさんの自分にとって大きな励みだ。

 

昨日の試合、マイルズ・マイコラス投手の出来も良かったが、バファローズのブランドン・ディクソン投手の出来は更に良かった。７回を投げて３安打、失った１点も野手の“エラー”（記録上はエラーでは無い様だが、実質的にはエラーだと思う。）による物で、此れで負け投手というのも気の毒。

 

８回迄は素晴らしい投球を見せていたマイコラス投手だが、９回に突如崩れた。「此の回を抑えれば初完封。」という意識が強過ぎて、其れ迄の投球が出来なくなったのだろう。一昨日、完璧な投球を続けていた藤浪晋太郎投手が、１つのエラーから大崩れしてしまった様に、一寸した心理的影響が選手を変えてしまう。

 

あっと言う間に、１死満塁の大ピンチを迎える事になったジャイアンツ。打席に迎えるは、打撃好調のＴ－岡田選手。「四球を与えて押し出しか？満塁ホームランを打たれそうな気も。」と、正直、同点や逆転を覚悟した。そして、Ｔ－岡田選手が３塁線に強烈な打球を放った瞬間、「遣られた・・・２点乃至は３点取られたな。」とがっくりしたのだが・・・。

 

横っ飛びした吉川大幾選手が打球を好捕。３塁ベースを踏んでから、１塁にボールを転送し、３ゴロ併殺を完成。あんな強烈な打球を捕っただけでも凄いのに、体勢を立て直して３塁ベースを踏み、そして即座に１塁へボールを投げたというのが本当に凄い。（投じた球は高かったが、其れを好捕した１塁手のレスリー・アンダーソン選手も見事！）強肩とは聞いていたが、思っていた以上の肩の強さ。正に、“心震えるプレー”。

 

昨日の試合、打者としては無安打の吉川選手。「打てなければ守る！」という事で、彼のビッグ・プレーは数安打分の価値が在る。４回裏、高橋由伸選手が見せた好捕といい、ジャイアンツが守り勝ったという試合だった。

 

其れにしても、井端選手や吉川選手、堂上剛裕選手と、ドラゴンズから追われた選手達が、本当に頑張りを見せている。其の一方、古巣のドラゴンズは出足こそ良かったものの、今は厳しい状況に在るのだから、ドラゴンズ・ファンの方々も複雑な思いを持っておられる事だろう。「彼等がドラゴンズを追われたのは、落合博満ＧＭから嫌われた為。」という噂が在る。真偽の程は定かじゃ無いが、少なくとも彼等が活躍している事から、「落合ＧＭに、“見る目”が無かった。」と言われても仕方無いだろう。

 

大きな期待を寄せられてドラゴンズに入団するも、僅か４年で戦力外とされた吉川選手。「“立浪二世”と迄言われていたのに、こんなに早く戦力外になってしまったの！？」と驚いたものだが、“首”になった理由として漏れ伝わって来たのは、「練習態度が余りにも悪い。」という物だった。

 

昨日のヒーロー・インタヴューで吉川選手が、「中日時代から、１球でも抜いた様な事が在れば、怒られていた。其れだけは、ジャイアンツに来ても、確り遣ろうと思っていた。キャンプから、１球も気を抜いた事は無い。野球をやっている以上、１００％続けて行きます。」と口にしたのも、そんな理由への口惜しさが在ったからだろう。