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「塵のDNAから捨てた人の顔復元 香港のポイ捨て規制に疑問の声」(5月30日付け東京スポーツ)
此処迄遣るかとも言うべき“ポイ捨て規制”が、世界中で展開されている。
香港では、NGOが米国ヴァージニア州の企業協力を得て、街に落ちている塵を集め、付着した体液のDNAを鑑定し、落とし主の顔をデジタル写真に復元し、其れをポスターにして街中に掲示すると言う。
「1ナノグラム未満の乾いた唾液からでも、本人そっくりの顔が復元出来る。」という技術が、既に確立しているというから驚きだ。
2013年にはニューヨークのアーティスト、ヘザー・デューイ・ハグボーグが、街に落ちている髪の毛、爪、煙草の吸い殻、ガム等からDNA情報を読み取り、其れを3Dプリント作品にするという試みを行い、注目された。
香港NGOは、ポイ捨てを減少させる為の啓蒙キャンペーンとして企画したが、其の方法は何だか人間味が無く、薄気味悪いという声も。
「『ポイ捨てしたら顔を晒すよ、良いの、其れでも。』という香港方式は、市民の街の美意識を啓蒙する目的で始められたキャンペーンですが、捜査目的では無いにせよ、日本では不気味過ぎると敬遠されそう。微量の唾液から本人そっくりの顔が再現されるとなれば、個人情報保護の問題も在るのでは。」。(行政関係者)
DNA鑑定の進化は目覚ましく、米国や日本では、犯罪捜査の手法として開発され、塵からDNA情報を読み取り、遺伝子型判定研究所に持ち込まれた情報は、様々な手順によって処理される。目や髪の毛、染み、そばかす、顔の形等は、身長や年齢等からの人物特定よりも、正確に判断出来る。
シンガポールでは今も道路にポイ捨てしたら、罰金8万円を徴収され、日本でも厳しくなっている。法律や各地の自治体の条例化が進み、廃棄物処理法に引っ掛かれば、6月以下の懲役、50万円以下の罰金という厳しい法律が在る。
新宿区の条例では2万円の過料で、2020年の東京五輪へ向けて、更に厳しくなると見られている。
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「ポイ捨てされた塵に付着した体液のDNAを元に、落とし主の顔をデジタル写真に復元し、其れをポスターにして街中に掲示。」という香港の話は、元記事を読む限りでは未だ実際に行われていない様なので、各種ネットニュースで紹介されていた上の写真は、「こんな感じになります。」というサンプルと思われる。
嘗て、仕事でシンガポールを何度か訪れた事が在るが、ガムのポイ捨て等は法律で厳しく取り締まられていたので、確かに街中は綺麗だった。然し、現地の駐在員からは、「美観維持を中心に、法律で色々厳しく決められている事に関しては多くが守っているけれど、逆に法律で決められていない事、例えば列を作ってきちんと順番待ちするなんていうのは、結構守られなかったりする。」という話も。彼や此れやと法律で厳しく縛ると、法律では定められていないモラル的な面が、好い加減になってしまうというのは在るのかもしれない。
話を香港に戻すけれど、ポイ捨ては取り締まるべきとは思うものの、「ポイ捨てされた塵に付着した体液のDNAを元に、落とし主の顔をデジタル写真に復元し、其れをポスターにして街中に掲示。」なんていうのは遣り過ぎだし、不気味さを感じてしまう。
行政関係者が述べている様に、「個人情報保護の観点からも、我が国では同様の事が行われる事は無い。」と信じたいが、唯、「“正義”やら“自己責任”やらといった名の下に、取るに足りない様な事でも、行った人間を嬉々として“集団リンチ”する風潮が強まっている。」だけに、香港方式を「是」と考える人も、結構居そうな気が・・・。