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「極貧層、国民の4分の3に コロナと燃料不足が悪化に拍車 ヴェネズエラ」(10月4日、共同通信)
「経済破綻に喘ぐ南米最貧国ヴェネズエラで、日々の食べ物に事欠く極貧層の割合が、2021年に国民の76.6%に達した。」事、カトリカ・アンドレス・ベジョ大学(UCAB)の実施した調査で判った。
貧困層(極貧層を含む)は94.5%で、何れも過去最悪となった。
調査は、9月29日に発表。極貧率は直近の2019~2020の数値から8.9ポイント、貧困率は0.3ポイント上昇した。国民の大部分が、政府の食料配給制度「CLAP」に頼っていると見られる。
UCABは、「移動の難しさが雇用に影響を及ぼし、貧困を深刻化させている。」と指摘。「新型コロナウイルス禍に加え、米欧による反米左派マドゥロ政権への制裁が引き起こしたガソリン不足が、国民の『通勤の足』を奪い、事態悪化に拍車を掛けている。」と説明した。
2021年は、所得格差もブラジルを抜いて、米州最悪となる見込みだ。現地ジャーナリストのカルロス・カマチョ氏は時事通信に対し、「人口の2割が、既に国を離れた。我々出来る事は、貧困に耐えるか、出国するかだけだ。」と強調。反体制派の締め付けに力を入れる一方、有効な経済・貧困対策を打ち出せないマドゥロ政権への不信感を露にした。
ヴェネズエラは、世界最大の確認原油埋蔵量を誇る。2012年頃迄、貧困率は国民の3分の1程度、極貧層は1割弱だった。然し、故チャヴェス、マドゥロと続く統一社会党(PSUV)政権の失政や石油価格下落、米欧の制裁による石油輸出減少が重なった結果、2013年頃から貧困層が急増している。
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「極貧層の割合が、全国民の76.6%。」というのもそうだが、「貧困層(極貧層を含む)の割合が、全国民の94.5%。」というのは驚きだ。「ヴェネズエラでは、貧困層に当たらない者は、全国民の5.5%しか居ない。」という事なのだから。
「世界最大の確認原油埋蔵量を誇る。」とされるヴェネズエラ。其れでも、こんなに貧困層が多い現実。石油価格下落等、貧困層が急増しているのには様々な理由が在る様だが、「石油生産量が極めて低い国のドバイが、『空港や港湾、道路等、経済活動に不可欠なインフラを整備し、経済特区を設け、行政機能を強化し、外資を誘致する。』等の“石油に依存しない経済体制”を構築した事で、大きく発展した。」という例も在る様に、(其の人物のする事が、ずっと良いという訳では無いにせよ)トップの質によって、国は良くも悪くもなるのだ。