身体に負担を掛けないで判別

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
「生体ガスで病気診断を　国循、千人対象に１０年調査」（１月３０日付け東京新聞【朝刊】）

息や皮膚から発散される「生体ガス」で体調を調べ、病気の診断も出来る様にしようと、国立循環器病研究センター（大阪府吹田市）のチームが約千人を対象に１０年間、ガスと体の状態との関係を見る調査に乗り出した事が２９日、判った。

こうした規模の調査は国内初。センターの下内章人循環病態生理研究室長は「ガスの採取は、採血と違い体への負担が殆ど無い。疾患の判断が出来れば、健康診断で広く使われる様になるだろう。」としている。

生体ガスに含まれる気体は窒素や酸素の他水素、一酸化窒素、一酸化炭素、アセトン等数千種類に上る。ガスの種類や量は生活習慣や疾患の有無が影響し、微妙に変わる。

チームは健診に来た人に依頼し、ガスの採取を開始。２年に１度採取し、成分の変化と病気、体調との関係を解析する。

息は樹脂製のバッグに吹き込んで貰い、手から発生するガスは密閉した手袋で採る。息と、手の平から発生したガスを同時に採取し、直接分析出来る高感度装置も独自に開発した。

生体ガスは近年注目され、国内外で研究が進行中。エタノールは飲酒、アセトアルデヒドは食道癌や咽頭癌、アセトンは糖尿病と関係する事が判って来た。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

犬の嗅覚を利用して癌患者の呼気を嗅ぎ分けさせるという取り組みが以前から行われていたが、「“癌探知犬”によって、９割以上の精度で癌患者を判別出来た。」という報道が先日為されていた。此のケースは大腸癌患者の呼気という事だが、他に乳癌や胃癌、前立腺癌の患者の呼気でも嗅ぎ分けは成功したとか。

「身体に負担が掛かるから。」という理由から、病院へ検査に行くのを躊躇する人は少なくない。其の結果、早期発見の機会を逸し、最悪の場合命を落とす事も在ったりする。身体に負担を掛けないで判別出来る事柄がもっと増えれば、そういった不幸なケースが減るだろう。