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両親を早くに亡くしてから、離れる事無く2人で、一つ屋根の下で暮らしている、40歳の小野寺より子(片桐はいりさん)と33歳の進(向井理氏)の姉弟。過去の失恋がトラウマとなって、恋愛に臆病になってしまった進、そして拘りが人一倍在る上に生命力が異常に強いより子と、癖の在る姉弟だったが、程好い距離を保ち乍ら共同生活を送っていた。
そんな中、彼等の下に1通の郵便が誤配達されて来る。其の手紙を切っ掛けに、姉弟の恋と人生が思わぬ方向へと転がり出して行く。
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顔の大きさも作りも対極に在る様な片桐さんと向井氏が、実の姉弟という設定は非常に無理が在るのだけれど、だからこそ「面白そうだなあ。」と思い、観に行った映画「小野寺の弟・小野寺の姉」。
幼くして両親を亡くした事で、親代わりに弟を慈しみ&育てて来た姉・より子。そして、そんな姉を心から感謝し、大事にしている弟・進。2人が独身の儘で居る“遠因”に、幼い頃、進が姉に対してしてしまった或る出来事が在った。
悪意の無い、一寸したふざけ心での行為が、姉の歯を破損させてしまったのだ。以前より自分の容姿に劣等感を持っていたより子は、歯の破損により、益々自分に自信が持てなくなった。其の事を申し訳無く思い続けている進は、姉を守りたいが為に、好きだった女性と別れる事になり、恋愛に対して臆病になってしまう。
御互い、相手に対して労りの思いを持つ姉弟。しかし、其の思いが強過ぎるが故に、却って相手も自分自身も傷付けてしまっている事を知る。其れが、実に遣る瀬無い。
笑ってしまう場面も在れば、ほろっとさせられる場面も。スローテンポな展開なれど、ストーリーに減り張りが在り、心地良さに浸れる。2人を待ち受ける“恋の結末”には遣り切れ無さを感じたけれど、最後に2人が台所で交わす遣り取りには、ジーンとしてしまった。(幼かった頃、進が描いてくれた自分の似顔絵を、“大事な物”として冷蔵庫のドアにマグネットで留めていたというより子。進から誕生プレゼントとして貰った或る物を、同じ様にマグネットで留めるという場面は、凄く良かった。)
総合評価は、星4つ。