当ブログでは過去に何度か、「認知症」を取り上げて来た。日本の高齢化が進み、“超高齢化社会”に突入した事で、認知症罹患者の数が急増。認知症罹患者に関する問題が、社会に大きな影を落としている事も在るけれど、9年前の記事「介護」で触れた様に、「父方の祖父が認知症に罹患し、祖母達が大変な苦労をしたという話を聞いていた。」事が大きい。
そんな自分なので、TV番組等で認知症に関する情報に意識して触れる事が多い。高齢者が多い地域に住んでいる事も在り、近所で認知症に罹患したという人を、何人か知っている。だから、認知症に付いては人並み以上に知っている積りだったが・・・。
“3親等”内に、認知症に罹患した人が2人居る。父が亡くなって以降、何方にも良くして貰ったが、特に母方の“彼女”には大変世話になった。感謝しても、し切れない程の存在。
彼女に認知症の症状が出始めたのは、恐らく2年位前。母経由の話で「言動がおかしいな。」と感じたのが其の頃だったが、昔から確りした人で、認知症に罹患するなんて思いもしなかった。でも、言動のおかしさが増え、彼女の“家族”が病院に連れて行った事で、認知症と診断されたのが昨年の事。
今年に入り、「認知症の症状が、少しずつ悪化している様な感じ。」と、母は言っていた。でも、「医師では無いから、飽く迄も“自分の感覚”で『1番軽い症状を“1”、1番重い症状を“10”と10段階評価する。』ならば、今の彼女の症状は“2”から“3”の間位。」と母が語っていたのは、今から2ヶ月程前だった。
「認知症は、急激に悪化する事が在る。」という話を、聞いた事は在った。でも、今になって思うと、「其の言葉を、現実的に捉えていなかった。」と言わざるを得ない。今から1ヶ月程前、即ち母が「今の彼女の症状は“2”から“3”の間位。」と評した僅か1ヶ月程の間に、彼女の症状ががあんなにも悪化するなんて、想像していなかったので。
特に“直近の記憶”が、速攻で消え去ってしまう様だ。母が彼女と電話で話した数分の間で、彼女は“同じ事”を6度忘れ、聞き直して来たと言う。電話を切って唖然としていた母だが、1分もしない内に彼女から電話が掛って来て、“忘れてしまった同じ事”を3度聞き直して来た。次の日も、又、次の日も・・・。
「症状が“2”から“3”の間位だったのに、僅か1ヶ月で“6”から“7”の間位に悪化した感じ。本当にショックだ。」と、落ち込んでいた母。
彼女の家族、そして何よりも彼女自身が辛い事だろう。どんどん記憶が失われて行く中、「私の事で迷惑を掛けて、本当にごめんね。」と何度も母に謝ったという彼女の事を思うと、非常に不憫でならないし、認知症が心底憎い。