「こんなにも追悼してます！」という猛アピール！？

１９６２年に設立されたジャニーズ事務所は、１９６８年にデビューしたフォーリーブスが人気者となった事で有名な存在となったが、フォーリーブスの人気が翳りを見せて以降、暫くの間“冬の時代”に在った。

然し、たのきんトリオが超人気者となった１９８０年代前半以降、数多の“男性アイドル”を続々と生み出し、今や押しも押されもせぬ超巨大芸能事務所に。所属タレントは様々な分野に進出し、「ジャニーズ所属タレントが居なければ、ＴＶ番組や映画の制作、儲かるイヴェントや出版等は難しい。」なんていう声も在る程。

ＳＭＡＰ解散騒動以降、事務所内のゴタゴタが次々と明らかになり、屋台骨が揺らぎ出している感も在るけれど、とは言え、社会的な影響力が強い芸能事務所で在る事には変わりが無い。

昨夜、何時もの様に日本テレビ系列の「ｎｅｗｓ　ｚｅｒｏ」を見ていたら、２３時３０分頃だったろうか、“緊急速報”として「ジャニーズ事務所のジャニー喜多川社長が本日１６時４７分、解離性脳動脈瘤破裂によるクモ膜下出血にて、８７歳で亡くなられた。」と報じ始めた。先月１８日にジャニー喜多川社長が病院に緊急搬送された事が明らかになって以降、「回復は難しいだろうな。」と思っていたので、個人的には驚きが無かった。

数多の男性アイドルを生み出して来たのは事実で、プロデューサーとしての能力は凄かったと思う。合掌。

で、「ｎｅｗｓ　ｚｅｒｏ」で緊急速報が流されて以降、ＴＢＳ系列の「ＮＥＷＳ２３」とフジテレビ系列の「ＦＮＮ　Ｌｉｖｅ　Ｎｅｗｓ　α」を加え、ザッピングして見続けた。「今回の訃報を、各局がどう伝えるか？」に興味が在ったので。

放送開始時間が「ｎｅｗｓ　ｚｅｒｏ」と略同じ時間帯の「ＮＥＷＳ２３」は、矢張り２３時３０分頃から緊急速報で伝えていて、２つの番組よりも遅い０時１０分から放送開始となった「ＦＮＮ　Ｌｉｖｅ　Ｎｅｗｓ　α」は、番組の頭で訃報を報じていた。足並みを揃えたかの様に大々的に今回の訃報を報じている事に、“大本営発表”の様でも在り、又、「昭和天皇が亡くなって暫くの間、殆どのＴＶ局が延々と“追悼番組”を放送していた。」事を思い返させた。

正確に時間を計っていた訳では無いので、感覚的にしか言えないのだが、フジテレビ系列の「ＦＮＮ　Ｌｉｖｅ　Ｎｅｗｓ　α」は、今回の訃報を比較的サラッと報じた感が在る。又、ＴＢＳ系列の「ＮＥＷＳ２３」の場合は、そこそこ長い時間を使っていた。驚いてしまったというか、呆れてしまったのは、日本テレビ系列の「ｎｅｗｓ　ｚｅｒｏ」。緊急速報として報じて以降、ずっと今回の訃報を取り上げていた。全部で約１時間の放送なのでで、略半分以上を使っていた訳だ。

扱いの違いは多分、其の局での“ジャニーズ事務所所属タレントへの依存度の違い”によるのだろう。「ｎｅｗｓ　ｚｅｒｏ」では月曜日、嵐の櫻井翔氏がキャスターを務めているし、今夏放送の「２４時間テレビ『愛は地球を救う』」で嵐の５人がメイン・パーソナリティーを務める等、日本テレビはジャニーズ事務所所属タレントが多く出演しているＴＶ局なので。

ジャニーズ事務所から出された“異常に長い文章”（ジャニー喜多川氏を賛美する様な内容。）を、メイン・キャスターの有働由美子さんが情感を込め、全てを読み上げていた。何と２度も！

３０分近くを今回の訃報に割く等、ジャニーズ事務所に対する「日本テレビは、こんなにも追悼してます！」という猛アピールの様な感じだった。

ジャニー喜多川社長が残した功績の大きさを、自分は否定する気は無い。だから、ＴＶ局が大きく取り上げるのも理解は出来る。けれど、ワイド・ショーなら話は別だけれど、報道番組でこんなに長く取り上げるのは異常。他に取り上げるべきニュースは幾らでも在るだろうし、どんなに凄いと言っても、言葉は良く無いけれど“芸能事務所の一社長の訃報”に過ぎないのだから。

“稲垣メンバー”や“草彅メンバー”といった無理無理な呼称を使ったり、“ジャニー喜多川社長による所属タレントへのセクハラ疑惑”（個人の性的嗜好は、どうでも良いと思っている。問題は、“逆らえない立場の者”に対して、無理に性的関係を求めた場合だ。）を殆どが取り上げて来なかったりと、“ジャニーズ事務所に対するメディアの異常な忖度”を、今回の訃報の報じられ方で改めて感じた。