ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「名探偵のままでいて」

2023年03月13日 | 書籍関連

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認知症認知障害の一種で在り、人の脳後天的器質的障害により、一旦正常に発達した知能知性不可逆的に低下する状態。認知症は「アルツハイマー型認知症」、「血管性認知症」、そして「レビー小体型認知症」の3つに大別される。

・アルツハイマー型認知症:アミロイドβと呼ばれる蛋白質の一種が、沈着する事で発症する。認知症患者の約70%当該

・血管性認知症:脳梗塞脳卒中後遺症起因する。アルツハイマー型認知症もそうだが、同じ話を何度も繰り返す記憶障害、時間や場所の感覚が曖昧になってしまう失見当識或いは徘徊といった症状が現れる事が多い。認知症患者の約20%が当該。

・レビー小体型認知症:DLBとも呼ばれる。DLB患者の脳や脳幹には、小さな目玉焼きの様な深紅色の構造物「レビー小体」が見られる。此のレビー小体が、手足の震えや歩行障害といったパーキンソン症状レム睡眠障害と呼ばれる大声での寝言日中から眠って許りいる傾眠状態、距離感が捉えられない空間認知機能障害を引き起こす。DLBの最大の特徴で在り、他にを見ない症状は、「はっきりとした幻覚を見る。」という「幻視。認知症患者の約10%が当該。
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パーキンソン病と、一旦は診断された高齢知人Aが居る。手足が震え、時には全く動けなくなってしまう等の症状が在り、長らく治療を受けていたが、症状が改善されるどころか、どんどん悪化して行った。其処で病院を変え、徹底的に調べて貰った所、レビー小体型認知症で在る事が判明。其れ沿った治療を開始した所、症状が改善されたとは言わないけれど、少なくとも悪化する事は無くなったと言う。

其処でふと思い出したのは、もう四半世紀近く前だったろうか、Aが複数人で旅行した際、「部屋で“幽霊”を見た。」と言い張っていた事を。同じ部屋には他にも人が居たのだけれど、彼等の前で「ほら、其処に幽霊が居るじゃない!」と訴えたが、Aが指差した所には白壁しか無かったので、皆困惑したらしい。「はっきりとした幻覚を見る。」という事で、其の頃からレビー小体型認知症を発症していたのだろう。

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嘗て小学校校長だった切れ者の祖父は、71歳となった現在、幻視や記憶障害といった症状の現れるレビー小体型認知症を患い介護を受け乍ら暮らしていた。

然し、小学校教師で在る孫娘の楓(かえで)が、身の回りで生じた謎に付いて話して聞かせると、祖父の知性は生き生きと働きを取り戻すのだった。

そんな中、軈て楓の人生に関わる重大な事件が・・・。
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第21回(2022年)「『このミステリーがすごい!』大賞」を受賞した小説名探偵のままでいて」(著者小西マサテル氏)は、「レビー小体型認知症を罹患し、要介護状態に在る高齢男性が、孫娘の楓から聞かされる話や提示された物“だけ”で、不可解な謎を解き明かすという、所謂安楽椅子探偵。」で在る。彼は謎解きを“物語”と呼び、又、明確論理性に基づく“絵(=幻視)”を見るのだ。

著者の小西マサテル氏はリンク先を見て御判りの様に、数多くの人気番組を手掛けて来た放送作家。だから、読ませる文章を書いている。又、レビー小体型認知症に関する記述鏤められており、興味深く読み進められた

6つのから構成されているが、ミステリーへの深い造詣&愛情が感じられる蘊蓄が幾つも散見され、其の点でも面白い、残念なのは「第3章 “プールの人間消失”」。ネタバレになるので詳しくは書かないが、「幾らレビー小体型認知症を罹患し、記憶が曖昧になっている時が在るとは言っても、其れを推理って呼んで良いのかなあ?」と疑問を感じるので。

最後の最後に明らかとなる“究極の犯人の正体”に関して、自分は著者が仕掛けたミスリード”にまんまと引っ掛かってしまい、別の人間を犯人と推理してしまった完璧に{遣られた!」訳だが、「“昔の事件”と“今回の事件”の犯人が一緒だった。」というのは、時が余りにも空いてしまっていて、「偶然性に頼り過ぎな設定では?」という感じが。

・・・と、減点ポイントも在るのだけれど、全体としては読み易く、まあまあ面白い作品。総合評価は、星3つとする。


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