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妻在り子無し、39歳の開業医・川辺康之。ブランド物の服に身を包み、ヴィンテージ・スニーカーを履き熟す彼の隠された顔は、水曜の夜毎に女性を犯す連続レイプ犯だった。「『医学界に構築されたヒエラルヒーの中で、開業医の自分は底辺に属している。』という劣等感。」や「救命救急医と浮気する妻に対する強烈な嫉妬心。」等々、様々な邪心を抱えた康之が暗い衝動に突き動かされて行き着いたのは・・・。
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桐野夏生さんの小説で最後迄読み終えたのは「東京島」だけだったが、此の小説に対する自分の総合評価は「星2.5個」と低い物だった。今回読み終えた「緑の毒」は2番目の桐野作品という事になる。
今や死語となってしまった感も在るが、一昔前に「DINKS」という用語が流行った。「Double Income No Kids」(共働きで、子供無し。)の頭文字を並べた用語で、「比較的優雅な生活を送るカップル」を指したりしていた。此の小説の主人公・川辺康之は夫婦揃って医者で在り、子供が居ないという状況で、DINKSのカップル。共にルックスも良く、一般的には恵まれた環境と見做されているが、実質的に夫婦仲は破綻しており、康之は連続レイプ犯という悍ましい顔を持っている。
救い様の無い邪心で溢れ返った此の小説、読み終えた後に思ったのは「作者は一体、何を描きたかったのだろうか?」という事。医学界のヒエラルヒーを深堀りする訳でも無いし、登場人物達の人間描写も浅い感じがする。強いて言えば、「天網恢恢疎にして漏らさず」という訓えか?
話が彼方此方に飛んで、収拾が付かなくなっている感じも在るし、心に残る物は皆無だった。
総合評価は、星2つとする。
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