ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「ターミナルタウン」

2014年06月24日 | 書籍関連

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ターミナルタウンとして、鉄道と共に発展して来た町「静原町」。しかし或る時、乗り換え路線の廃止により、殆ど全ての列車が、此の町を通過する事になった。

 

鉄道に忠誠を誓った町が、鉄道を失った時。其処には何が残るのか。凋落した此の町に、人を呼び戻す事は出来るのか。

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「『日常世界』の中に『非日常世界』を、するりと滑り込ませる絶妙さ。」が特徴の作家三崎亜記氏。冒頭に記した梗概は、今年初めに刊行された同氏の作品「ターミナルタウン」に付いて。

 

「影を失った人々」、「存在しないのに、存在していると見做されているタワー。」、「育てられる事で成長する『隧道』(トンネルの様な物。)と、其れ等を育てる事を生業とする『隧道士』。」、『肉眼で通り過ぎた際の“光”だけは見られるものの、管理室内の線路の監視映像には何も映らない、幻の『451列車』。」等々、不可思議な存在が登場し、其れ等が実に尤もらしい設定で描かれているのには感心する。

 

其の一方で、「何故、影を失わなければならなかったのか?」等、今一つ良く判らない点が幾つか在ったのは残念だった。

 

又、最後の方で、或るミステリアスな人物(此の作品が映像化された際には、荒川良々氏に演じて貰いたい!)の両親が登場するのだけれど、此の設定も不要だったのではないだろうか。敢えて入れた作者の意図が、自分には判らなかった。

 

非日常世界の設定が微に入り細を穿っている事で、読者は不思議な世界に誘われる訳だが、微に入り細を穿っているがに、頭の中が混乱したり、読み進めるのが億劫になったりする面が在る。此の手の作品は人によって、好き嫌いがはっきり分れそう。苦手な人は、「駄目よ~、駄目駄目っ。」【動画】という感じだろう。

 

総合評価は、星3つとする。


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2 コメント

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Unknown (マヌケ)
2014-06-26 12:40:36
書店で目にしましたが、あまりに分厚いのでやめときました。 三崎作品で最後に読みましたのは、掃除がスポーツ競技となっているシュールな世界の物語だったと思います。 つまらなくて、それ以来、関心がなくなってしまいました。 象の公園という、本物の象がいる公園のこれまた、シュールな、村上春樹の象が痩せていってしぼんで消えてなくなる話にも似たような、不思議な世界は嫌いではありませんが、なんだか読んでいて疲れます。 同じようにシュールな世界でもまだ、万城目作品の方がすんなり入ってくる感じがします。 ようやく、長かった監査が終わりまして、金融庁への書類提出が完了し、今から読書にはげもうと思います。 いつもさまざまな作品の紹介いただきありがとうございます。
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>マヌケ様 (giants-55)
2014-06-26 12:50:48
書き込み有難う御座いました。又、監査用の書類作成等で御忙しかったとの事、本当に御疲れ様でした。(官庁に提出する書類って、何でああも無駄に多くて、判り難いんででしょうね。

「ターミナルタウン」、確かに分厚いですね。読書スピードは可成り速い方の自分ですが、此の作品は読み終わる迄、結構時間を要しました。分厚さも然る事乍ら、記事でも触れた様に「微に入り細を穿っているが故に、頭の中が混乱したり、読み進めるのが億劫になったりする面が在る。」というのが在り、中々読み進められなかったからです。

マヌケ様が仰っているのは、三崎氏の「コロヨシ」(http://blog.goo.ne.jp/giants-55/e/646c6620d4d72cb12115fcd22869df71)ですね。「コロヨシ」は例外と言っても良いと思うのですが、三崎作品は「町」に拘った物が多い。そういう面に、ややマンネリ感を覚える人も居る事でしょうね。
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