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「マンホールが突然、落とし穴になる 豪雨に潜む『溺水トラップ』」(7月8日、毎日新聞)
マンホールの蓋が突然、ひとりでに開く事が在る。大雨で下水道の水嵩が急増し、内部の空気圧や水圧が高まって、蓋が吹き飛ばされる現象が起きる為だ。蓋が開いて落とし穴となったマンホールに人が落下し、死亡した例も在る。専門家は「溺水トラップ」と呼び、注意を呼び掛けている。
マンホール蓋製造の業界団体「日本グラウンドマンホール工業会」(東京都)によると、2001年~2020年度の20年間で、こうした現象が原因と見られる怪我や物損事故が、全国で100件近く在った。蓋が勢いよく開いた衝撃で、飛び散った小石等が建物を傷付けるケースの他、蓋が外れたマンホールに走行中の車が嵌まり、運転手が怪我をした事例も在ったと言う。
死亡事故も起きている。高知市によると1998年9月、冠水した市内の道路を歩いていた男子高校生が、マンホールに落ちて死亡。市内の別の場所でも、40代女性が横断歩道を歩いている途中、マンホールに落下して亡くなった。冠水した道路だと、蓋が外れているか、歩行者が目で確認するのは困難で、マンホールに落ちて溺れる恐れが在る。
此の死亡事故を受けて、マンホール蓋の交換が、各地の自治体で進んでいる。古いタイプの蓋は穴が狭かったり、穴の数が少なかったりして、マンホール内部に空気や水が溜まってしまう為、穴を大きくする等した新型に取り換えているのだ。但し、同工業会によると、全国で約1,600万基在るマンホール蓋の内、2割に当たる約350万基は、旧型の儘と推定される。
マンホールの構造に詳しい長岡技術科学大(新潟県長岡市)の斎藤秀俊教授(材料工学)は、ゲリラ豪雨が近年増えている為、旧型の蓋だと飛ぶリスクが高まると指摘。「普段は注意する事が少ないマンホールだが、思わぬ『落とし穴』に成り兼ねない。」とし、大雨の時は注意する様呼び掛けている。
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気象庁が特別警報で“経験した事の無い大雨”という表現を用いる事が、全く珍しく無くなった。其れだけ異常な降水量の大雨が激増している証左だろう。
道路が冠水し、マンホールの蓋が外れる。濁り切った水の中では、マンホールが外れた場所に生じる“渦”を目視するのは困難だろうし、誤って落下して溺死するという事態は、決して考えられない事では無い。死亡事故が上記の2名だけというのは、「もっと多くてもおかしくないだろうに。」という思いが在る。
マンホールの蓋を新型に交換する事で、マンホールの蓋が外れるリスクは減らせそうだが、未だに旧型のマンホールが約350万基も存在するという事実。予算の関係等在るのだろうけれど、“経験した事の無い大雨”がこんなにも激増しているのだから、一日も早く全てを新型に交換して欲しい。