大晦日から元日に掛けてのTV番組は、例年以上に詰まらない物許りだった。大晦日で言えば、「第72回NHK紅白歌合戦」で見たのは松平健氏の登場場面だけで、後はザッピングすらもしなかった。恒例の総合格闘技系の番組も殆ど見なかったし、懐メロ番組も“自分的には新しい歌”がメインだったので、きちんと見たのはザ・ドリフターズの“3人”のコーナー位。又、元日に関しては、きちんと見たのは1番組だけ。其の1番組とは、テレビ朝日系列の「おしょうバズTV ☆いつの間にか消えたモノ大捜索!」で、此の番組はとても面白かった。
1999年から2020年迄、テレビ朝日系列で放送されていた「志村&所の戦うお正月」。志村けん氏と所ジョージ氏が司会を務めるヴァラエティー番組で、司会の2人の“良い意味での脱力感溢れる遣り取り”が好きだった。だが、志村氏の急死により、昨年からは所氏とバナナマンが司会を務める「おしょうバズTV」にタイトルが変更。タイトルは変わったものの、「志村&所の戦うお正月」の末期に人気が在った「家電やパッケージ、人、常識等、時代の移り変わりを様々な角度からクイズ企画で展開する。」という内容が踏襲され、此れが非常に面白いのだ。「昔は当たり前の様に見聞していた物が、何時の間にか変わっていた事。」に驚かされ、「人の記憶って、当てにならない物なんだなあ。」と痛感。
今回の番組で最も印象に残ったのは、「街の風景」に付いて。東京都に限定されたテーマなので、詳しくない方々にはピンと来ない話だろうが、「“原宿駅前の歩道橋”が、2014年に撤去されていた。」という事実には、「嘘でしょ!」と驚かされた。原宿駅を訪れた事が在る人にとっては、記憶に残る歩道橋。又、代官山や日本橋に在った“有名な歩道橋”も、今は無いと言う。
番組で紹介されていた資料「東京都が管理する歩道橋数(2002年~2021年)」によると、2002年には東京都に「680個」の歩道橋が在ったけれど、2021年には「585個」に減っているのだとか。19年間で「95個」も減っていた(約14.0%減)というのは驚きだ。
歩道橋が減っている一方で、「歩行者分離式信号」が増えているのだそうだ。歩行者分離式信号といっても、嘗ては「車も歩行者も、信号は同時に青。」というスタイルが一般的だったが、最近は「車の信号が全部赤の時に、歩行者の信号は全部青。」というスタイルが主流になって来ている。此れは、「歩行者が横断歩道を渡る時に、車による巻き込み事故を無くす。」というのが理由とか。
又、「新宿駅東口前(元スタジオアルタ前)の“ロータリー”は、2020年7月に完全に無くなり、今は歩行者専用のスペースになっている事。」や、「有楽町駅前の車道が完全に無くなり、今は駅前広場になっている事。」、「上野駅公園口の車道が完全に無くなり、歩行者専用のスペースになっている事。」等も、「そうなの!?」と驚いてしまった。
あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願い致します。
さて、歩道橋があちこちで撤去されているとの事ですが、私は当然のことだと思っております。
と言うのは、高齢化社会が進み、足の弱い老人が増えて来たり、老人に限りませんが、足が不自由で車椅子で生活する人が街に出て行動しようとする場合、“階段を昇り降りしないと道路を渡れない歩道橋”というものは、これらの人々にとって不便極まりないものだからです。
昔は、街を歩く人は健康な人ばかりで、歩道橋もそんな人たちだけが利用していたのであまり問題にはなりませんでしたが、バリアフリーが叫ばれ、車椅子の人も街に出る事が多くなってきた事で、歩道橋の弊害が見直されるようになり、そんな事なら歩道橋を無くして、「車の信号が全部赤の時に、歩行者の信号は全部青」となる、いわゆるスクランブル交差点を増やす方が、老人や車椅子利用者にとって親切、という事になるわけです。
東京のあちらこちらで、車道を完全に無くして、歩行者専用のスペースにする所が増えているそうですが、当地でも、大阪市の繁華街・ミナミの玄関口である南海電鉄難波駅前の道路やタクシープールを廃止して歩行者天国にする社会実験が昨年末より始まり、利便性や交通渋滞への影響を調べた上で、2025年の大阪・関西万博までに歩行者中心の「憩いの場」へと再編し、都市の魅力向上を図る方針が示されました。これも“歩行者や老人、車椅子生活者に優しい社会を目指す取組”と言えるでしょう。こういう取組が全国に広がって行ければ、と願っています。
極端な事を言わせていただければ、スロープやエレベーター等、車いすでも利用できる設備があるものを除いて、それ以外の歩道橋はすべて撤去し、スクランブル交差点に変えて行くべきだと思います。我々だっていつ、車椅子などのお世話になるかも知れないのですから。
“歩行者に優しい街作り”が進んでいるとしたら、逆に今迄が如何に〝歩行者に優しくない街”だったという事の証左なのでしょうね。
記事では触れなかったのですが、「歩道橋に、エレヴェーターが敷設されるケースも増えている。」と、当該番組では紹介されておりました。