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私達の最も身近に居乍ら、未だに多くの謎に包まれている昆虫。其の未知なる世界を撮影可能にしたのが、世界唯一の特殊カメラ“蟻の目カメラ”。従来の技術では不可能で在った昆虫達の超クローズアップ映像の撮影を世界で初めて実現させ、丸で昆虫になったかの様な体験を可能にした。
森のオアシス“樹液”を巡る甲虫、鍬形虫、雀蜂の壮絶な死闘、鋭く尖った鎌で獲物を待ち伏せする蟷螂のハンティング。昆虫達が繰り広げる熾烈な生存競争は迫力満点、正に怪獣映画を観ている様だ。
そして、日本に生息する50種類以上の昆虫が登場し、身近に居乍ら、今迄知り得なかった昆虫たちの「生態=真実」が明らかに。
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人類の歴史が約500万年なのに対し、昆虫の其れは約4億年なのだとか。昆虫は我々の“大先輩”な訳だ。そして、其の昆虫は、地球上の生物の約7割を占めるそうだ。そんな昆虫達の生態を追った映画「アリのままでいたい」を観て来た。
先ずは良く無かった点を。ナレーションはDAIGO氏、吉田羊さん、杉崎花さんの3人が担当しているのだが、此の手のドキュメンタリー映画のナレーションは低く、尚且つゆっくりとした声じゃ無いと、落ち着いて観られない。DAIGO氏は嫌いじゃないけれど、彼の高くてシャウトする様な喋りは合わない。
其れと、時折挟み込まれるアニメーションだが、彼は要らなかったと思う。必要性を感じ得ないおちゃらけで、観ていて白けてしまった。
次に良かった点だが、昆虫達を間近で捉えた映像、特に熾烈な生存競争のシーンは、実に迫力満点。昆虫は苦手な自分だけれど、ついつい見入ってしまった。
「蟻の顎は強靭で、自重の約100倍の重量の物を持ち上げられる。(70kgの人間ならば、約7トンの重さの物を持ち上げる計算となる。)」というのは知っていたけれど、他に多くの知らない話が紹介されていた。「蜘蛛の糸は鋼の約5倍の強度を有し、直径1cmの蜘蛛の糸で作られた巣ならば、ジェット機も受け止められる。」、「飛蝗の跳躍力は物凄く、1回で飛ぶ距離を飛蝗自身の体長と比較すると、人間で言えば10階建てのビルを飛び越える程。」等。
又、「交尾を終えた蟷螂の雄は、雌によって食べられてしまう。」と思い込んでいたけれど、「蟷螂は、動く物を全て餌と認識し、捉えて食べ様とする習性が在る。」というのが正確なのも初めて知った。概して雌の方が雄よりも大きいので、其れで雌が雄を食べるというイメージが出来上がったのだろうが、大きい雄の場合は雌を食べる事も在る訳だ。
一番ショッキングだったのは、雌に頭部を食い千切られたしまった雄が、頭部が無い状態で交尾をしていた映像。子孫を残そうとする執念は、何とも凄まじい。
総合評価は、星3.5個とする。