*********************************
「消費者金融最大手『マキオス』の会長に君臨する槙村尚孝(まきむら なおたか)は、 嘗て一緒に空き巣を働いていた原口敏夫(はらぐち としお)という男で、 本当の槙村は30年前に原口によって殺された。」、葛西浩二(かさい こうじ)と名乗る老人の告白を、神奈川県警の宮野裕之(みやの ひろゆき)巡査部長が聞き付けた直後、豪徳寺の空き家の床下から古い白骨死体が発見される。警視庁捜査1課の鷺沼友哉(さぎぬま ともや)警部補は、其の真相追究に乗り出すが・・・。
*********************************
笹本稜平氏の小説「転生 ~越境捜査~」は、「越境捜査シリーズ」の第7弾に当たる。5人の警察関係者と1人の民間人(元ヤクザの大物)の計6人が“タスク・フォース”を組み、警察が動かない巨悪を暴く・・・というのが、「越境捜査シリーズ」の設定。“現代版必殺シリーズ”といった感じ。
「メンバーの1人・宮野裕之巡査部長は、強い正義感を持ってはいるものの、見た目や言動が非常にチャラい上、真相追究の過程で悪い連中から金を巻き上げる事を常に考えている。」等、6人のメンバー達は実に個性的。
「誰もが知る大手企業の会長が、実は成り済ましで、本人は30年前に殺害されていた。」という奇想天外な設定。「そんな有名人なら、古くからの知り合い等が、入れ替わりに気付くだろ?」という思いが在るけれど、「人前に出る事を極端に控え、自身の写真を撮らせる事も無い。」等、一応は“気付かれない状況”は整えられている。
現実味は別にして、とても面白い設定。幾つかのどんでん返しが設けられており、“物語”として読ませる内容でも在る。唯、最後の最後に宮野が得る“報酬”を含め、どうしても非現実性を強く感じてしまう。
総合評価は、星3つとする。