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「2021年司法試験 合格率初の4割超え 最年少合格者は18歳」(9月7日、毎日新聞)
法務省は7日、2021年の司法試験の合格者を発表した。受験者3,424人(前年比279人減)に対し、合格者は1,421人(同29人減)。新試験に完全移行した2012年以降で受験者、合格者共最少となったが、合格率は41.5%と前年比2.34ポイント上昇し、初めて4割を超えた。政府が2015年に掲げた合格者の数値目標「1,500人程度」は、2年連続で下回った。
合格者は男性1,026人、女性395人で、平均年齢は28.3歳。最年少は18歳、最年長は69歳だった。18歳の合格者は、新試験が始まった2006年以降で最も若く、法科大学院を修了せずに受験資格を得られる「予備試験」に合格していた。
合格者の内、1回目の受験者は1,024人で、全体の72.06%。予備試験を経た合格者は374人(前年比4人減)で、合格率は93.50%。法科大学院修了者の合格者は1,047人で、合格率は34.62%だった。
法科大学院別で見ると、合格者数は慶応大が最多の125人(合格率55.07%)。早稲田大(同49.78%)と京都大(同61.62%)も100人を超えた。
法学部出身者向けの既修コース(2年間)の合格者は829人(合格率45.45%)、未修コース(3年間)は218人(同18.17%)だった。
司法試験は、2012年には受験者数が8,000人を超えていたが、減少傾向が続く。法科大学院進学を前提に法学部を3年で卒業出来る「法曹コース」の設置によって、2023年からは法科大学院在学中でも、司法試験を受験出来る様になる。
2020年の司法試験は新型コロナウイルスの感染拡大で8月に延期されたが、2021年は例年と同じ5月に実施された。法務省幹部は、「新型コロナが、出願者数や受験者数に影響を与えたという動きは無かった。」としている。
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大学時代、法律を専攻していたので、司法試験という物を意識していた。新試験が導入される遥か前だったが、「当時の『対受験者最終合格率』は約3%。」で、超難関試験として知られていた。其の一方で、「司法試験に合格し、最終的に弁護士となっても、必ずしも高額収入が保証されている訳では無く、弁護士として成功するには“高い営業力”が必要。」という現実も。「超高額の収入を得ている弁護士は多いが、営業力が無くて弁護士業だけでは生活が厳しい弁護士も存在する。」という話も、良く見聞したっけ。
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「旧司法試験第2次試験出願者数・合格者数等の推移から見る対受験者最終合格率」(法務省)
1989年:2.37%
1990年:2.38%
1991年:2.94%
1992年:2.94%
1993年:4.02%
1994年:3.81%
1995年:3.47%
1996年:3.35%
1997年:3.16%
1998年:3.03%
1999年:3.35%
2000年:3.13%
2001年:2.90%
2002年:2.85%
2003年:2.58%
2004年:3.42%
2005年:3.71%
2006年:1.81%
2007年:1.06%
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新試験が導入されたのは2006年という事だから、導入から少なくとも2年間の対受験者最終合格率は2%に届いていなかった。でも、今年は41.5%という事で、昔を知っている者としては隔世の感が在る。当時、「苦節〇年間で、漸く合格。」なんていうのは当たり前で、「18歳で合格。」なんていうのは夢のまた夢。
唯、個人的には「こんなに弁護士を“増産”して大丈夫なのかなあ?」という懸念も在る。アメリカの様な“訴訟社会”なら別だが、日本は其処迄のレヴェルでは無い。「旧試験下でも、弁護士業だけでは生活するのが苦しい弁護士が存在していた。」のだから、営業力の無い場合、今はもっと苦しい弁護士が増えているのではなかろうか。