ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「ガリレオ」の高視聴率

2007年11月08日 | TV番組関連
恐らくタイガース・ファンと思われるが、「金村暁投手(ファイターズ)と中村泰広投手(タイガース)の交換トレード」に付いて御自身のブログに書いておられた。その中には「藪恵壹投手がタイガースに戻って来てくれないかなあ。」という一文が。「そう言えば、彼はどうしているんだろうか?」と気になり早速検索してみた所、こちらに本年8月時点での状況が記されていた。39歳という年齢は正直厳しいものが在るが、メジャー復帰を信じて頑張っている彼。イチロー選手や松井秀喜選手、松坂大輔投手等、異国の地でスポットライトを浴びている日本人選手が居る一方で、野茂英雄投手や藪投手の様に”未来”を信じ、歯を食いしばって頑張っている日本人選手も居る・・・。

閑話休題

ドラマ「ガリレオ」が高視聴率を稼いでいる。10月15日に放送された初回「燃える」は、1977年9月26日以降に放送されたスリラー&アクション番組部門(関東圏)では歴代17位となる24.7%を叩き出したとか。その後の視聴率が徐々に下がって来ているとはいえ先週放送分(10月29日)でも21.3%を記録し、これで週間TV視聴率では3週連続で1位というのは凄い事。高視聴率の要因には、キャスティングの上手さも挙げられるだろう。頭脳明晰&クールな物理学者・湯川学役の福山雅治氏、そして男勝りの熱い女性刑事・内海薫役の柴咲コウさんというコントラスト映え。熱きタイガース・ファンの後輩や自分も福山氏のファンで在る様に、同性からの支持も高い福山氏を主演に据えたのが視聴率の押し上げに少なからず影響しているのは間違いないだろう。唯、それだけで高視聴率が稼げる程、ドラマの世界は甘いものでは無い。豪華キャストを謳ったドラマが、視聴率的に大コケしたケースは結構在るし。やはり、このドラマのストーリーが光っているというのは大きいのではないか?

「ガリレオ」は東野圭吾氏の作品「探偵ガリレオ・シリーズ」を原作としている。大阪府立大学工学部電気工学科を卒業し、自動車部品メーカーで技術者として勤務していた経験を持つ東野氏だけに、その作風には理系テーストが感じられるのが典型的な文系人間の自分には新鮮な所。「探偵ガリレオ・シリーズ」も”理系作家”の本領が発揮された作品で、当然乍ら「ガリレオ」にもそのエッセンスが溢れている。全ての事象には必ず理由が在る。というのが湯川の口癖だが、一見”超常現象”と思われる不可解な事件を湯川は”科学の目”で解決して行く。そういった点に魅せられた視聴者が多く、このドラマが高視聴率を上げている最大要因は其処に在る様に感じる。

東野氏のエッセー集「たぶん最後の御挨拶」の中に「酒場で理科を」というエッセーが収録されている。仕事の話では場が重たくなってしまうし、趣味の話といっても皆が共通して同じ物に凝っている訳も無く、又、相手が何処のチームのファンかも判らない段階ではプロ野球の話も控えた方が良いしと、酒場での話題選びはなかなか難しいと思っていた東野氏。理系人間故に理科に関する話題は強いのだが、「そんな話を持ち出した所で、嫌な顔をされるのが落ちだろう。」と考え、その手の話題を口にするのをずっと封印していたのだとか。「世の中には理科や数学が苦手な人が少なくない。」という思いが背景に在ったのは言う迄も無い。

ところが或る日、東野氏が出版社の人間と食事をしていた際、先方の役員が「夏場にビールを冷蔵庫に入れ忘れていると辛い。」といった趣旨の発言をしたので、それなら良い手が在ります。缶ビールごと冷凍庫の中に入れちゃうんです。その上で缶を数十秒転がせば、直ぐに中のビールも冷えます。僕は何度も試していますが、何時も上手く行きますよ。もっと急いで冷やしたい時には、氷に塩を混ぜてやると良いです。とアドヴァイスしたのだとか。「聞いていた人々は『冷たい物に接触させるのだから冷たくなるのだろう。』と単純に考えた様子だった。」と東野氏は記している。そして、その後に次の様な遣り取りが為された。

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役員: そう言えば子供の頃にやりましたよね、アイスキャンディー作り。あの時も氷に塩を入れました。私はそれ迄、塩に熱を奪う性質が在るとは知りませんでした。

東野氏: (一寸びっくりした上で)塩にそんな性質は在りません。水に素早く溶ける物なら塩でなくても良いんです。砂糖でも構いません。

役員: 「えっ、砂糖でも良いんですか!?」

東野氏: 良い筈です。凝固点降下を起こさせれば良い訳ですから。

役員: 「ギョウコテンコウカ?」

東野氏: 液体に何かを溶かせば、本来の凝固点よりも低い温度にしなければ固体にならない、という現象です。具体的に言うと、水は本来零度で氷になりますが、塩水とか砂糖水になると、もっと低い温度でしか固まらないんです。

役員: (首を捻り乍ら)「へええ、そうなんですか。知らなかったな。でもそれで、塩を掛けると氷の温度が下がるという事の説明になるのかな?」

東野氏: 「水というのは零度で氷になりますが、零度になれば即座に固まる訳では無く、更に冷やしてやっと初めて零度の氷になります。その事は御存知ですか?」

役員: 「ああ、それは知っています。」

東野氏: 肝心なのはこの境界状態に在る水です。今此処に氷が在るとします。それに缶ビールを接触させます。接触した部分の氷の温度は上がり、やがて零度になります。其処から更に熱を缶ビールから奪って、零度の氷は水になります。此処に塩を加えてやりますと水は塩水になります。この塩水が氷と触れている部分の温度はどうでしょう。氷に熱を奪われますが、純粋な水ならば、零度以下にはなりません。でも先程言いました様に凝固点降下が起きているので、塩水は固まらずに液体のまま零度以下になれるのです。
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この遣り取りを真剣に聞き入っていた者達が口々に言ったのは、「そんな事初めて知ったなあ。」、「うん、学校の先生は教えてくれなかったもんなあ。」という言葉。この言葉を耳にした東野氏は、「そうなので在る。学校の先生は肝心な事を何も教えないのだ。その理由を私は、『本人がきちんと理解していないから。』と睨んでいる。」と記している。

異様に盛り上がったこの経験から、「ファックスの原理」や「時計のクォーツとはどういう物なのか。」、「鮫やエイには、何故他の魚の様なが無いのか?」、「蛙は何故海に居ないのか?」といった話題を酒場でする機会が増えたという東野氏。身を乗り出して聞き入る人も多く、知り合いの女性の中には「自分の事をずっと文系だと思っていたが、こんなに科学の話を楽しめるという事は理系なのかもしれない。」等と言い出す人も居たとか。

「学校の先生が教えなかったからいけないのだ。」という考え方には、正直抵抗を覚える。教えて貰わなかったとしても自ら学ぶ道が閉ざされている訳では無いし、「各政党のマニフェストを全く目にしてもいない内から、『政治は難しい。』とか『自分が投票したって何も変わらない。』と言っている様な連中の”逃げ口実”」と何等変わらない気がするし。唯、科学の世界に興味を持つ”入り口”を、学校の先生がもっと与えて上げたらベターだろうな。とは思う。米村でんじろう氏の面白実験を、キラキラと目を光らせて見入っている子供達の姿を見てもそれは感じる。

とはいえ、「如何に志願者を篩い落とすか。」が主眼の選抜試験が存在している以上、思考力よりも記憶力を優先せざるを得ない教育システムに学校が身を委ねなければならない面も在ろう。子供達の「何故?」に対する「説明」を、懇切丁寧にする余裕は教育現場に無いのも事実か・・・。*1

*1 我が愛する脇役の一人・大泉滉大先生が、「モグラ撃退器」の仕組みを説明(動画)した際の懇切丁寧さを望みたいもの。

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5 コメント

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だからw (帆印)
2007-11-08 03:33:53
伝次郎さんが、はやるんだよね。
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Unknown ((まめ)たぬき)
2007-11-08 08:19:25
一生懸命ネタをしゃべっていても
聞いてくれず
本をみりゃ書いてある公式に必死になられると
正直授業をしてるほうは、がっくりですけどね。

15年ほど前、結構聞いてくれたネタは
「熱湯をこぼした時より
煮え立つ味噌汁(など)のほうがやけどがひどいから
料理をする時には
幼児がひっくり返さないように気をつけろ」
という沸点上昇のものでした。

理科を遊び(実験・観察が遊びと化している)
あるいは単なる暗記物と思っていて
日常生活とのつながりを見出そうとしないなら
そりゃ理科離れもしますが
「100%学校のせい」にしてほしくはないですね。
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私も毎週見ています (マヌケ)
2007-11-08 09:45:52
視聴者には犯人が初めからわかっていて殺害方法を推理して追い詰めていくスタイルは刑事コロンボや古畑任三郎ですね。 謎解きが物理や科学の応用というところに面白味があります。 毎回、犯人はだいたいゲストのようですし。 柴咲コウさんの目の演技が愛くるしいですね。 福山君はカッコイイですね。 視聴者の期待はこの二人の恋愛がどこまで展開するか、しないのか、もありますよね。
全く関係ありませんが、先日パルコから飛び降りた女性の場合は殺人未遂ということになるのでしょうか?あれだけ大勢が下を歩いていれば、だれかにぶつからない方がおかしいです。 アメリカで起こった事件で、飛び降り自殺を図った男性が落下する前に、つまりまだ生きているうちに、下の階で夫婦喧嘩から猟銃を発砲した男がいて、その弾が飛び降りた男の腹に当たりました。 しかも、当時、そのアパートでは外装工事が行われていて、落下物防止のためのネットが張られており、飛び降りた男は弾を受けなければ助かった可能性が高いというものです。 この場合、猟銃を撃った男は殺人未遂でした。 口論でかっとなって窓に向けて発砲したのですが、まさか人が落ちてくるとは、なのですが、マグノリアという小説の中でも世の中の偶然の確率について記した箇所にこの事件が紹介されています。 
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>マヌケ様 (giants-55)
2007-11-08 11:59:10
書き込み有難う御座いました。

マヌケ様もあの番組を見ておられるんですね。仰る様に、最初から犯人が判るというパターンは「刑事コロンボ」等と同じですよね。この手のパターンは視聴者の関心を繋ぎ止める為に、普通の推理物以上にストーリーが魅力的で無いといけないので、作り手は大変だと思います。柴咲コウさんが他番組(映画も含め。)で見せる演技は正直好きでは無いのですが、この番組での彼女はGood。やはり福山氏のクールさと対照的なのが、番組にメリハリを生み出しているからでしょうね。

自ら命を絶つという行為にはどうしても受け容れ難いものが在りますが、百歩譲って認めるにしても「他者は巻き添えにするなよ。」という思いです。巻き添えを食らった男性は重態の状況に在り、万一意識を取り戻したとしても相当重い後遺症が残るでしょうね。巻き添えを食らった事で彼の人生が暗転してしまったというのは、本当に気の毒だし遣り切れない。被害者の親族は自殺した女性の親族(遺族)に対して補償を求めるでしょうが、遺族側が彼女からの財産放棄をしてしまうと”法的な”補償は不可能になり、後は”道義的な”補償に頼るしかないという事になるのかと。

マヌケ様が書いて下さった話、何とも皮肉ですね。そう言えば以前読んだ本に、何とも皮肉な実話が紹介されていました。大分前に読んだ話なので記憶違いが在るやもしれませんが、確か「家の中で銃を乱射した際、外に飛んだ弾が男性の下腹部を貫通した後、別の女性の下腹部に当たって内部に留まってしまった。銃弾は摘出したものの、その後に彼女が妊娠している事実が判明。どうやら最初に男性の下腹部を貫通した際に彼の精子が付着し、そしてそれが彼女の下腹部に留まった事で妊娠してしまったと思われる。」という事だったかと。精子って空気に触れてしまうと死んでしまうという話だと思いますので、もし事実ならば極めて低い可能性の事が起きてしまったという事になりますよね。
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みたくてもみられない・・ (syuu)
2007-11-10 12:18:28
 このドラマ、私も初回を観ました。次回も絶対見るぞ!といきまいていたのですが、我が家でのテレビ権が弱いためにいつも別のチャンネルに回されてしまいます・・・・泣 多分、ずっと後になってレンタルして観ていることでしょう(苦笑)
 ところで、でんじろうさんの授業は本当に面白いですよね。まだ小さいうちのちびこでさえも、夢中になってみています。同じ授業を学校でも・・・というのはあまりに極端すぎると思いますが、ちょっとした興味の糸口を広げてあげることは必要なのかも知れないですね。それでみんなが興味を持たなくても、その中の何人かが興味を持って、自分で調べてみる、人に聞いてみる・・そんな取り組みがとても大切なのかも知れませんね。
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