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ヴァレーボール全日本の女子大生・彩夏(あやか)と、彼女を溺愛する医者の姉・多佳子(たかこ)。彩夏の運転で実家に向かう途中、2人はトンネル崩落事故に遭ってしまう。運転席に閉じ込められた妹に対して、姉が採った意外な行動とは・・・。 「涙の成分比」
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小説「傍聞き」でミステリー・ファンの注目を集め、「教場」で「2013週刊文春ミステリーベスト10【国内編】」の1位となった長岡弘樹氏。病院を舞台にした6つの短編小説で構成された「白衣の嘘」は、昨夏に上梓された彼の単行本で在る。
伏線の張り方は、相変わらず上手い。読み進めて行く内に、「彼も此れも、あんな事迄も、こういう事に結び付いていたのか。」と感心してしまう。例えば「ステップ・バイ・ステップ」という作品では、登場人物の1人が或る“生体反応”をする描写が在る。何度か描かれるので気にはなっていたのだが、最後になって「そういう事だったのか。」という事に。
唯、「教場」と比べてしまうと全体的に深みが無く、登場人物達への感情移入も出来無い。だから、自分としては読み進めるスピードも遅くなってしまった。
総合評価は、星3つという感じか。