今日は、「通貨」に関する2つのニュースを取り上げる。
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「カナダが1セント硬貨廃止へ、『経済への負担重い。』」(3月30日、ロイター)
カナダ政府は29日、1セント硬貨の流通を今年で中止する方針を発表した。製造コストが掛かり過ぎる一方、通貨としての価値が低い事が理由だとしている。
政府によると、1セント硬貨の購買力は最初の発行当時に比べて20分の1に縮小。一方、1セント硬貨1枚の製造には1.6セント掛かり、流通の中止によって年間約1,100万カナダドル(約9億300万円)のコストが削減出来ると言う。
政府は「一部国民の間で1セントは実用的硬貨というより、寧ろ厄介者と考えられている。1セント硬貨を瓶に仕舞ったり、噴水に投げ込んだりするが、釣り銭としては断る事も多い。」と指摘。更に「金融機関は1セント硬貨の取り扱い、保管、移送のコスト増大に直面しており、1セント硬貨は支払い手段としての価値に比べ、経済への負担が重くなっている。」と説明した。
世界では、オーストラリア、ブラジル、フィンランド、イスラエル、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、スウェーデン、スイス、英国等が少額硬貨の製造や流通を中止している。
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海外旅行を良くしていた昔、旅先で使い切れなかった海外の通貨を「円」に換金した後に、換金し切れなかった少額通貨が手元に結構残った。円換算では、「1円」に満たない通貨が殆どだったが。
「製造コスト」と「通貨としての価値」のバランスが余りに崩れてしまったという事で在れば、そして流通中止によって莫大なコストが削減出来るので在れば、今回の1セント硬貨廃止という決断は止むを得ないだろう。
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「二千円札、今年度も製造せず 此れで9年連続」(4月3日、産経新聞)
財務省は3日、2012年度も2千円札は製造しないと発表した。製造枚零は9年連続。二千円札の人気が回復する兆しは無く、同省の担当者は「2013年度以降も、製造再開は難しいのではないか。」と話している。
二千円札は2000年7月、九州・沖縄サミットの開催に合わせて発行され、沖縄・首里城の守礼門が描かれたデザイン等が話題になった。しかし、日本では「2」の付く御札に馴染みが無かった事等から普及せず、2003年度の1億1千万枚を最後に製造はストップしている。
御札の製造枚数は財務相が定め、独立行政法人国立印刷局が製造して日銀に納入している。2012年度は一万円札を10億5千万枚、五千円札を2億3千万枚、千円札を18億7千万枚製造する。
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二千円札の発行が決まった当初から、「二千円札なんか、本当に需要が在るのか?」という疑問の声は多かった。二千円札の発行理由として当時の政府は「海外では『2ドル札』や『20ドル札』と『2』が付く紙幣が大量に流通している。」という事だったが、此方に詳しく書いてある様に「海外では一般的に高額紙幣を持ち歩く事が少ないのに対し、普通に持ち歩く日本という環境の違い。」を挙げて、「日本で二千円札は普及しない。『新札発行時の首相』という事で、後世の歴史に名を残したい首相の勇み足だ。」という指摘する人も少なくなかった。結果としては・・・。
9年連続で製造零で、来年以降も製造しない可能性が高いというので在れば、もう二千円札自体を廃止しても良いのではないか?「敢えて廃止する必要は無い。製造しない事で、別段コストが発生する訳でも無いのだから。」とか、「消費税が上がれば、もしかしたら二千円札の需要が出てくるかもしれない。」といった声も在るだろうけれど、中途半端にずっと「製造零」とし続けているよりも、スパッと「廃止」とした方が、個人的には良い気がする。