「悪名の棺 笹川良一伝」 Ｐａｒｔ１

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戸締り用心　火の用心♪
戸締り用心　火の用心♪
一日一回　良い事を♪
ニコニコ　ニッコリ　日曜日♪
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一定年齢以上の方ならば、此の歌詞を普通に口遊める事だろう。そして同時に、一人の老人の姿を思い浮かべる筈だ。消防団員の衣装を着用し、手には拍子木を持った白髪の老人。江川卓氏も顔負けの巨大な耳に、眼光鋭いぎょろっとした大きな目の其の老人の名は「笹川良一」＊１と言い、彼が会長を務める「財団法人　日本船舶振興会」のＣＭ（動画）で流されていた曲や、其の際の彼の出で立ちはインパクトを与える物だった。

「ファシスト」、「日本の黒幕」、「ギャンブルの胴元」、「日本のドン」、「戦後のフィクサー」、「競艇屋の怪物」等々、笹川氏に冠せられた「マイナス・イメージの呼称」は枚挙に遑が無い。「右翼活動家」、「元Ａ級戦犯容疑者（巣鴨プリズンに３年間収監されるも、Ａ級戦犯として有罪にはなっていない。）」という経歴も在って、斯く言う自分も彼に対しては胡散臭さ＆嫌悪感を持ち続けていた。幅広く行っていた慈善活動も、自らの「悪」を覆い隠す為の隠れ蓑に思えたし。

ノンフィクション作家の工藤美代子さんが著した本「悪名の棺　笹川良一伝」を読む事にしたのは、「悪」と信じて疑わなかった笹川氏の過去に付いて、自分が実は詳細を知らない事に気付いたからだった。読み進める程に「彼の意外な素顔」を知り、彼に対するイメージが大分変わった。其の立ち位置が「超保守派」とも言える工藤さんだけに、笹川氏に肩入れし過ぎな記述も正直見受けられるが、そういった部分を差し引いても、「悪のイメージを意図的に冠せられた。」という面が笹川氏には在った様に感じる。